超三結真空管アンプキット

「音の工房」のPCL86シングル+超三結真空管アンプキット、かなり進展しました。抵抗と半導体類は半田付けが終わり、後はコンデンサーですね。一部のフィルムコンデンサーをアムトランスのものに替えていますが、サイズが大きくて他の部品に接触しないように半田付けするのに苦労します。後、ショットキー・ダイオード、これは定電圧を取り出す時に使うようですが、実に12本もあり、また発熱のためか少しプリント配線板から浮かせて取り付けるとなっており、ちょっと大変でした。このキット、プリント配線板なので簡単かと思っていましたが、半田付けの箇所が予想以上に多く、そんなに簡単なキットではないですね。

PCL86シングル+超三結アンプの組み立て

PCL86シングル+超三結アンプの組み立て開始。といっても多くの配線はプリント配線板なんでそんなに難しくはありませんが、今回初の試みでオーディオ用の銀はんだというのを使っています。そのために今回初めて温度調整が可能な半田ごてを導入しました。
抵抗は取り付ける前に全てテスターで測定して抵抗値を確認し、組み立てマニュアルと回路図を両方チェックし、マニュアルに間違いが無いか確認して慎重にやっています。
ペーストは使わず、液体フラックスを使っています。そして半田付けの後、綿棒に無水アルコールを付けてフラックスを落としています。

JBL 4307

ワーフェデールのDenton 85thを返品してお金を返してもらった後、結局これを買いました。JBL 4307。往年の名機4343に比べるとかなり小さいですが、これが私の部屋では限界です。スピーカーケーブルをつなごうとしていたら、うっかり左のウーファーのセンターコーンをへこましてしまい、心が折れかけましたが、昔何かで読んだガムテープをくっつけて引っぱるという方法で何とか直しました。しかし、サランネットは常用した方が良さそうです。クラシック音楽ファンで何でJBL?という話ですが、私はJBLがジャズ向き、タンノイがクラシック向きという説をあまり信じていません。今時のスピーカーは万能選手と思います。
またこのスピーカーは出力音圧レベルが91dB/mあるので、真空管アンプでもOKかと思いましたが、そちらはKT88プッシュプルでも高音が歪んでイマイチでした。なのでアキュフェーズのE-600で鳴らします。

超三結アンプキット

久し振り(約10年ぶり)に、真空管アンプのキットに挑戦しようとしています。「音の工房」という所で売っているPCL86シングルアンプ、超三結です。「超三結」というのは1990年代に上条信一さんという方(故人)が考案された回路で、5極管の出力の大きさと3極管の特性の素直さのいいとこ取りを狙った回路で、初段の増幅に半導体も使うのも面白い点です。
本当は老眼で抵抗のカラーコード読んだりするのは大変で、もうキットは手を出さないつもりでしたが、超三結アンプの完成品は売っていません。(訂正:「音の工房」でこのキットに入力切替を追加した形の完成品を売っています。)
サンバレーのぼろキットの教訓で、付いて来た部品をそのまま使うのではなく、以下を差し替えで色んな電子部品通販サイトから取り寄せ中です。
(1)抵抗→全て同じ抵抗値で、定格が1.5~2倍のTOAかTEのものに変更。
(2)電解コンデンサー→ニチコンの温度定格105℃のものに変更。
(3)スイッチ→ミヤマスイッチというメーカーの安物が付いて来たので、トグルスイッチX2、ネオン照光ロッカスイッチX1を私の勤めている会社のものに変更。トグル:M-2022、照光式ロッカ:JW-S11RKKM。ミヤマのロッカはネオンで100Vにそのままつなげますが、JW-SのはLEDなんで別に電源が必要です。幸いこのキットには真空管を下から照らすLEDがあるので、そこから取れると思います。
(4)フィルムコンデンサー→Amtrans他の良質そうなものに変更。
(5)真空管→これは付いて来たものを使いますが、予備をエレキットで注文。またeBayでマツダ製を落としました。
(6)真空管ソケット→アムトランスのセラミック製に変更。
(7)出力トランス:キットについているのは、東栄変成器のT1200という1,900円の安物。春日無線で4,000円くらいのシングルアンプ用出力トランスをゲット。電源トランスは14.2V出力があって特注品になるので止めました。
(8)線材:OFCのものに変更。
結局、キットの部品は8割り方交換になりました。定格を上げた抵抗とかコンデンサーが付属のプリント配線板にちゃんと載せられるかどうかが肝になりそうです。なおボリュームは始めからアルプスのRKシリーズのが付いていて、これは良心的で交換不要です。
それにしてもAmazonでは電子部品は非常に買いにくいですね。例えば抵抗で「抵抗 47KΩ 5W」とかで検索してもまったく違う仕様のものが多数出てきてしまいます。またあまり聞かない名前の中国製が多数出てきます。
今回使った通販サイトは
(1)マルツオンライン
(2)アールエスコンポーネンツ(いつの間にかカード払いOKになっていて、個人もOKでした。前は法人の社員だけで代引きだけでした。)
(3)千石通商オンライン
(4)アムトランスのオンラインショップ
(5)春日無線のオンラインショップ
などです。

ワーフェデールのDenton 85th レビュー(その4)

ワーフェデールのデントン85thの高音での音割れ対策の続き。
(1)バイワイヤリングへの変更
(2)ウェイト載せ
(3)ウッドブロックでラックとスピーカーの間を空ける
(4)左右スピーカーの間のラック類をすべて撤去(→どうもスピーカーから発生した音割れが、前と後ろが開いている箱形のラックで共鳴している感じだったので)
(5)AVラックのスペース部に、先日8cmフルレンジスピーカーを作った時に使った吸音材を入れる
という対策を行いました。
この結果、高音での音割れはまだ若干発生していますが、ピアノのCDを聴いていて聴くに堪えなかった前の状態に比べれば大幅に改善しました。
それで、私はこの音割れの原因がツィーターだと思っていたのですが、どうもウーファーが悪さしているのではないかと思うようになりました。このケブラーコーンというのは腰が強すぎて、ダンピングの利いた低音を出すのにはいいですが、どうもクロスオーバー周波数(3.5KHz)辺りで暴れているのではないかと。ケブラーというのはデュポンが開発したスーパー繊維で同じ重さなら鉄より強く、防弾チョッキにも使われています。なのでエージングでどの程度落ち着くか不明ですが、しばらく使い続けるつもりです。なお、オーケストラなどのCDではほとんど問題ありません。

ワーフェデールのDenton 85th レビュー(その3)

ワーフェデールのデントン85thの気になる高音の割れ(特にピアノ)ですが、ふと思いついてバイワイヤリング接続を試してみたら、完全ではありませんがかなり改善されました。思うにこのウーファーのケブラーコーンはかなり固くて反動で逆起電力がかなり出ていて、高域を濁らせていたのかと思います。それから、オーディオマニアである私の前の会社の元上司は反対するのですが、ウェイトを片側7.5Kgほど載せてみました。こういうキャビネットをわざと共振させているスピーカーにウェイトは邪道かもしれませんが、少なくても定位は向上し、不快な高域の共振も減りましたので効果は出ています。

ワーフェデールのDenton 85th レビュー(その2)

ワーフェデールのデントン85thですが、真空管アンプで鳴らすのは諦めて、アキュフェーズのE-600で鳴らしています。このスピーカーはシビアにサウンドチェックするようなものではないと思いますので、サランネットは付けたままにしました。相変わらずオケの押出し感は見事です。ただちょっとウーファーのケブラーコーンがまだちょっと硬い感じです。オケがいい一方でソロ楽器は今一つで例えばクラシックギターなんかはかなり音像が膨らみますし、またキャビネットの共振が余計な感じです。このキャビネットがピアノを鳴らした時に割れたような感じに共振することがあり、ちょっとこの点はイマイチです。また、スーパーツィーターを付けてみようと実験しましたが、やはりその音がキャビネットで共振して良くなかったです。オリジナルのままで聴くのがいいようです。

松下製5AR4(整流管)

ヤフオクで落とした松下製5AR4(整流管)が届いたので、300Bのシングルアンプ初号機に挿入。別に先日買った半導体整流でまったく問題ないし、どっちが音質いいかも今の所私には判定出来ていません。しかし少なくとも整流管に関しては現在細々と生産されているものより、昔大量に生産されていた時代のものの方が品質がいいようです。現在の真空管アンプであっても、整流管を使っているのはどちらかというと少数派で、マッキントッシュにしてもウエスギにしてもトライオードにしても皆半導体整流です。上杉佳郎さんは1970年代の製作記事で既に整流管にはもはやメリットが無いと言っていますし、「情熱の真空管アンプ」の木村哲さんも整流管の方が音がいいと言うのは信じがたいとされています。あ、それからこのアンプのヒューズ飛び多発事件のため、アンプにおける突入電流防止について色々調べましたがが、マッキントッシュの銘機MC275の突入電流防止って単にサミスタ(電流が通って温度が上がると抵抗値が下がる素子)を入れているだけなんですね。驚きました。サミスタが十分暖まっている状態でスイッチをOFFにし、すぐONにするとサミスタの保護機能は働かず、ヒューズが飛ぶと思います。実際にMC275を使っている、前の会社の上司に聞いてみたら、何回かヒューズや真空管をダメにしたとのことです。

ワーフェデールのDenton 85thのレビュー

今回新たに購入した、ワーフェデールのDenton 85thのレビューです。これを購入したのは、真空管アンプで現代のスピーカーがどの程度鳴らすことが出来るのかを実験したかったからです。実は10年以上前に買ったクリプトンのKX-3Pという出力音圧レベル87dBのスピーカーで既に試してみましたが、300Bのシングルアンプ、KT77のプッシュプルとも、それぞれ音量は狭い部屋の中で聞くには十分なものが出ます。問題は、鋭い音の立ち上がりで歪むことで、たとえばピアノの高音の強い音が割れます。これはシングルの方がひどく、プッシュプルでも若干出ます。良く人が音楽を実際に聞いている音量は1Wも無いから、3W+3Wの真空管のシングルアンプでも十分といった議論をする人がいますが、それは間違いだと思います。音楽の音量にはVUメーターで表されるような平均的な音量とピークレベルメーターで表されるような突発的に立ち上がる音量の両方があります。小出力のアンプは前者に対応出来ても後者については出力不足で歪みます。
それでKX-3Pはダメでしたが、このワーフェデールのDenton 85thは出力音圧レベルが88dB/mと現代のスピーカーにしては高いので、もしかしたら、と思って買いました。実はワーフェデールの前にJBLの3ウェイを検討して、こちらは出力音圧レベルが90dB/m以上ありますから真空管でも問題無いと思ったのですが、残念ながらブックシェルフタイプでは大きすぎるか小さすぎるかで丁度いいサイズがありませんでした。
それでワーフェデールは出力音圧レベルもありますが、落ち着いたデザインにも惹かれました。普通のブックシェルフに比べると一回り大きめで、構造的には普通のエンクロージャーの回りを木のキャビネットが取り囲むような構造になっています。この構造が独特の再生音を作っています。好意的に言えば独特の音場を作ってくれ、否定的に言えば若干ですが余計な音を付け加え音像の輪郭をぼかしている感じです。故にこのスピーカーはサウンドマニア向けではなく音楽ファン向けです。
ユニットは、ツィーターがテキスタイル、つまりソフトドームです。ソフトドームとは言っても、KX-3Pのもそうですが、現代のソフトドームは得意の弦やボーカルだけではなく、ピアノについても綺麗に再生します。ウーファーは16.5cmのケブラーコーンで、センターキャップ部はツィーターと同様の柔らかめの素材が使われていて、つながりを良くしています。このウーファーの腰は非常にしっかりしていて、低音についてはかなり強い押し出し感を感じる音になっています。なおサランネットを外すと、外側のキャビネット部は若干ですが、フロントホーンの形状になっています。なのでスピーカーの置き方としては、ラックに平行ではなくて、メーカーが推奨している通り、それぞれ左右を少しユーザー側に向けた方がいいと思います。
音はちょっと聴いた感じではレンジが狭いような気もするのですが、良く聴きこむと高域も低域も十分伸びています。特に低域はバスレフ(パイプ状のダクトが2本背面に付いています)であるにも関わらず、40Hzがある程度の音量で鳴らせています。このバスレフは低域を持ち上げるというより、スピーカーの背圧を抜いているような感じです。
音楽ジャンルとしては何を聴いてもそつなくこなしますが、特にオーケストラの量感の再生に優れていると思います。ボーカルはほんの少しですが音像がヴェールをかぶったような感じで、これはエージングで改善されるかと思います。音場は前にではなく横と後方に拡がる感じです。
最近ずっとバックロードホーン+サブウーファーをメインにして来ましたが、こういう一本でOKというスピーカーもなかなかいいと思います。これだけの質のスピーカーがペアで14万円でしたので、コストパフォーマンスは高いと思います。(昔RogersのLS3/5Aをペアで買った価格より安いです。)
最後に真空管アンプで鳴らせるかですが、シングルはさすがにまだ苦しくやはり音割れが発生します。プッシュプル(定格:20W+20W)はそれに比べほぼ問題ありませんが、若干低域の制動が弱い感じで、アキュフェーズのE-600で聴くのが当然とはいえ、このスピーカーにはふさわしいようです。