タイムトンネルの”Revenge of gods”

タイムトンネルの”Revenge of gods”を観ました。今回ははるか昔に飛ばされて、何と「トロイの木馬」で有名なトロイア戦争です。トニーとダグがギリシア軍に会って、いきなり英語で話し始めます。19世紀のインドネシアで現地人が英語しゃべるというのは絶対にあり得ないということはないですが、さすがに紀元前12世紀にはまだ英語どころかその元になっているゲルマン諸語だって無いと思うのですが…
で、この回もう無茶苦茶。トニーがトロイとの戦いに参加して危なくなると、タイムトンネルの総責任者の司令官は、「マシンガンを転送しろ!」と命じます。マシンガンだけの転送は失敗に終わり、今度はジグスという警備員にマシンガンを持たせて紀元前12世紀に送り込みます。もう歴史にひたすら介入しまくりで「戦国自衛隊」状態。そしてトニーをマシンガン乱射で救ったジグスは、すぐに現在に戻されます。それが出来るんだったら、何故トニーとダグが戻れないのか、何の説明もありません。
後逆に、トロイの兵士が間違って転送されてタイムトンネルの基地に現れます。彼は警備員と戦った後、剣を投げつけて元の時代に帰って行きましたが、残された剣を見て、「トロイア戦争は神話じゃなくて本当にあったんだ!」とスタッフが話しますが、トロイア戦争が歴史的事実であることは、シュリーマンが遺跡を発掘してとっくに知られていた筈ですが…
また、「イーリアス」を始めとするこの戦争の記録は、事実と神話をごちゃごちゃにしていますが、何故かこの話に登場するユリシーズ(オデュッセウス)を始めとする登場人物は神話の話を事実のように語ります。

タイムトンネルの”Crack of doom”

タイムトンネルの”Crack of doom”を観ました。この回は、インドネシアのクラカトア火山の1883年の大爆発の直前にトニーとダグが送り込まれます。例によって何故か英語がペラペラの現地人とかは置いておいて、この回は色々新しいことがあって、なかなか面白かったです。タイムトンネルのスタッフによる新しい試みで、2人一度に転送するのではなく、1人にエネルギーを集中させる、ということを行い、トニーが首尾良く「現在」に戻ります。しかしトニーがそこで見たのは時間が止まった世界でした。仕方なくトニーは、メモを残して、自分でタイムトンネルを操作して、クラカトアに戻ります。その後、今度はトニーとダグの世界とタイムトンネルのコントロール・ルームの間の通信が、短い時間だったけど成功します。その通信(まるで天から降ってくる声)を聞いて、それまでトニーとダグの言うことを信じなかったイギリス人の火山学者とその娘が避難することを了承します。なおこの時の大爆発で、島は全て吹っ飛び、またその時発生した大津波によって、全部で3万6千人もの死者が出ています。
次の回は、トロイア戦争で、あの木馬が出てきます。(要するに、製作会社である20世紀フォックスがかつて映画にしたことがあるものの、そのフィルムがそのまま使われています。)

「タイムトンネル」の”The last patrol”

「タイムトンネル」の”The last patrol”を観ました。アメリカが舞台なので南北戦争かと思ったのですが、1812年の米英戦争(第二次独立戦争)のニューオリンズの戦いが舞台でした。多分アメリカ人なら誰でも知っている歴史なんでしょう。この回でユニークなのは、イギリス軍側の司令官の子孫が、その司令官が何故ジャクソン将軍の強い方面を攻撃して500人を犠牲にしたのかの理由を知りたくて、志願してトニーとダグが流されている地点にタイムトンネルで送られる、という点です。結局その子孫は真相を知りますが、ジャクソン将軍の攻撃で撃たれて、トニーとダグに真相を20世紀に伝えてくれることを頼んで息絶えます。ジャクソン将軍はこの戦いの勝利によりアメリカ大統領になります。

ところで、PCのDVDドライブはリージョンコードフリーだと勘違いしていたのですが、一定の回数(4回まで)を超えてリージョンコードを切り替えると、それ以上切り換えが出来なくなるのですね。昨日日本のDVDを観た時にリージョンコードが再び2(日本)になって、コード1のこのタイム・トンネルのDVDが再生出来なくなりました。実にたまたまなんですが、PCでもブルーレイを再生しようと思って、PC用のブルーレイディスクドライブを買ったばかりで、そちらでリージョンコードを1に設定して無事にタイムトンネルを観ることが出来ました。その時また分かったのは、ブルーレイディスクの再生は、miracastは使えないということです。まあ、別にブルーレイディスクプレーヤーがあるから、いいのですが。

「タイムトンネル」の”Visitors from beyond the stars”(星の彼方からの来訪者)

「タイムトンネル」の”Visitors from beyond the stars”(星の彼方からの来訪者)を観ました。硫黄島の次は宇宙船の中に飛ばされたのでてっきり未来の話かと思ったら、1850年頃のアリゾナのある町にUFOとエイリアンが現れるという話なので笑ってしまいました。(アリゾナはUFOが多く見られる州として一部で有名です。例えばアリゾナの北方にあるセドナでは多くのUFO目撃談が伝えられていて、UFOに関する一種の「聖地」にさえなっています。)で、そのUFOに乗っている宇宙人が、この頃のアーウィン・アレンのドラマと共通していて「宇宙家族ロビンソン」でもそうなのですが、銀色の服を着て、顔を銀色に塗って、という何とも古くさい宇宙人イメージです。(タコ形火星人よりはましかもしれませんが。)で、その宇宙人が何をしに来たかと言うと、彼らの星でタンパク質資源が足らなくなったので、それを調達に来たということです。それなら牧場の牛とかをまとめてかっさらっていけばいいと思いますが、この宇宙人はせこくて、酒場の親父が備蓄している食料まで持っていこうとします。でも、最後にトニーとダグが彼らの唯一の武器みたいな箱を壊してしまったので、彼らは引き上げます。その後、彼らの星の人間がタイムトンネルのコントロール室に現れ、UFOを捕獲したんじゃないかという嫌疑をかけて、さんざん地球の科学のレベルの低さをあざ笑って、最後は誤解が解けて帰って行く、というお話です。

「タイムトンネル」の”Kill two by two” (2対2の殺し合い、第二次世界大戦中の硫黄島での話)

「タイムトンネル」の日本が出てくるもう一つの話、”Kill two by two”(2対2の殺し合い)を観ました。トニーとダグは今度は1945年2月の南硫黄島に飛ばされます。そこの日本軍の監視所で、年老いた日本兵と若い上官の日本兵に遭遇します。何故か二人とも英語をしゃべり、特に若い方はスタンフォード大学で教育を受けたという設定でネイティブと変わらない英語力です。しかし、何か狂気に取り付かれたような、非常に好戦的な男として描かれています。それで見守っていたタイムトンネルのスタッフが、トニーとダグを転送するために南硫黄島の地理の確認が必要なため、現在ペンタゴンにいて元日本軍兵士で硫黄島を経験しているナカムラを連れてきます。タイムトンネルのモニターで若い兵士を見たナカムラはあれは私の息子だと言います。それによると、特攻を命じられた若い兵士は失敗して不時着しますが、アメリカ暮らしが長かったため、ハラキリをして恥を償うことが出来ず逃げ出しており、死に場所を求めて自棄になっている、という何というかもう無茶苦茶な設定です。そして父親のナカムラの方が、息子もトニーとダグと一緒に転送させないと、南硫黄島の地理についてしゃべらない、と我が儘を言い出します。(転送したって、現在に連れ戻せる訳でもなく、二人と一緒に時の中を彷徨うだけだと思いますが、その辺の矛盾は無視していました。)
さすがにこれは日本での放映は出来ないだろうと納得しました。

「タイムトンネル」第4話、”The day the sky fell in”(空が落ちてきた日)(真珠湾攻撃)

「タイムトンネル」の第4話、”The day the sky fell in”(空が落ちてきた日)を観ました。これが「タイム・トンネル」全30話の中で、2話だけ日本では放送されなかったものの内の1話です。トニーとダグはハレー彗星騒ぎに巻き込まれた後、今度は1941年の12月6日のハワイに飛ばされます。そうです、真珠湾攻撃の1日前です。(攻撃の日は日本では12月8日ですが、時差があるためハワイでは12月7日です。)トニーの父親は海軍少佐で真珠湾攻撃の後行方不明となり生死が分からなくなっていました。トニーは実の父親に会って警告し、その命を救おうとしますが…というストーリーです。トニーの父親は日本軍の爆撃で傷つきますが、真珠湾に向けて回航中の空母エンタープライズに向けて最後の力を振り絞って「これは演習では無い、引き返せ」という無線通信を行います。トニーはその父親に自分が息子であることを告白しますが、父親はおそらくトニーが未来から来たという事実を最後になって認識し、「私の小さな息子が生き延びてくれて良かった」と答えます。その後トニーとダグはそのビルから脱出しますが、更に日本軍の爆弾が落ち、ビルは完全に吹っ飛びます。これがトニーの父親が行方不明になった真相でした。なかなか感動的な回になっています。もちろんステレオタイプな日本人の描写(ハワイの日本大使館員)はありますが、それほど気になるものではありませんでした。

アーウィン・アレンの「タイムトンネル」第1話と第2話

アーウィン・アレンの1960年代のSFのTVドラマで、「宇宙家族ロビンソン」「原子力潜水艦シービュー号」ともう一つ並んで有名だったのが「タイムトンネル」です。昔NHKで放映していましたが、全30話の内、日本で放送されたのは28話です。残りの2話は日本軍が敵として登場するので、日本での放送にはふさわしくない、とカットされたみたいです。それが観たくてアメリカのAmazonでDVDを買いました。
取り敢えず、1話と2話を視聴。リージョンコードの違うDVDを大画面で再生するというのも、miracastを買った目的の一つだったんですが、手持ちのPowerDVD12も、PCに最初から入っていたWinDVDもmiracastに対応しておらず、結局PowerDVD18のアップグレード版を買う羽目に…トホホ…
1話目はタイタニックの沈没に乗り合わせ、2話目は10年後の未来(といっても1978年)で何と火星に向けた有人飛行のロケットの中に転送される、という展開です。(1960年代の終わりに、10年後は火星への有人飛行が実現していると思っているのがなかなかすごいです。)
どっちの話も、今一つ話の進み方が中途半端です。また特撮も、タイムトンネルの装置そのものはいいですが、宇宙空間シーンは書き割りそのものでかなりちゃちです。

伊藤大輔監督の「王将」

伊藤大輔監督の「王将」を観ました。「富士に立つ影」のDVDが単独では手に入らず、「阪東妻三郎傑作選」みたいな10枚組で求めたのでその中に入っていたものです。いわゆる将棋指しの坂田三吉のお話です。1948年の撮影で阪妻の戦後の主演作品ですが、阪妻の芸域の広さにちょっと感動します。ただ、お話は原作の北條秀司によるかなりな脚色が入っており、事実とはかなり異なっているそうです。ただ子供のような無垢な性格、という所は間違いないようです。なお大映からは「将棋が映画になるか」と反対され、伊藤監督が執念で仕上げたもので、ワンシーンワンシーンよく考えて撮ってあって、特に最後の小春の危篤の際に、東京に関根名人の就位祝いに来ていた坂田三吉が電話でお題目(南無妙法蓮華経)を唱え、それを聞いた小春がお守りであった王将の駒を握りしめながら微笑みながら死んでいくシーンは、感動的です。なお知りませんでしたが、「ガラスの仮面」の主人公の北条マヤは、坂田三吉がモデル(一芸に秀でているが、他のことは何も出来ない人として)なんだそうです。なお、坂田三吉自身は「贈名人・王将」ですが、坂田の曾孫弟子の谷川浩二が実力制の名人(十七世)となり、坂田の夢を果たしています。

ロスト・イン・スペース 新シリーズ@Netflix

Eigoxの授業で、アーウィン・アレンの1960年代のTVドラマをYouTubeで探して観ている、という話をしたら、その先生がNetflixで「宇宙家族ロビンソン(ロスト・イン・スペース)」の新シリーズをやっていることを教えてくれました。「宇宙家族ロビンソン」はちょっと不思議なことに、東日本で育った人は観ていた人が少なく(多分放映される機会が少なかったのだと思います)、西日本で育った私ぐらいの世代の人では逆にまず知らない人はいない、というドラマです。(何度も再放送されていました。)
新しいNetflixでの「ロスト・イン・スペース」は、元のドラマの登場人物だけを借りて、ほとんど別のストーリーにしてそれがかなりの部分成功していると思います。「ロスト・イン・スペース」は映画にもなっていますが、それは元のストーリーを再現しようとして却って失敗していましたので、今回のNetflix版のストーリー構成はいいと思います。元のドラマでのロビンソン一家は、ある意味1960年代のアメリカの理想的な家族でした。しかし今回のドラマは色々と問題をはらんだ家族構成になっています。一番違和感があるのはジュディ(長女)がアフリカン・アメリカンだということで、妹(ペニー)と弟(ウィル)とは父親が違うという身も蓋もない設定です。差別する気はないですが、”black sheep in the family”そのものだと思いました。まあそれは置いておいて、色々と問題のある家族が、様々な苦難に遭遇して次第に一致団結していくという、ある意味西遊記の一行の天竺への旅みたいな、王道のドラマ構成になっています。
ただ、10話観てずっと違和感があったのが、ドクター・スミスです。元のドラマでは、ドクター・スミスは元々ロビンソン一家の地球以外の惑星への移住を妨害しようとしたスパイで、完全な悪役でした。しかし、理想的な家族のロビンソン一家と対照的な悪役は次第にドラマの進行上無くてはならない役柄になり、途中から完全にロビンソン一家を喰った主役となります。そういう中で、「ずるくて自己中心的だけどどこか憎めないキャラ」となっていきました。しかし、今回のドクター・スミスは、まず女性だというのが驚きなのですが、それ以上に性格が完全に変で、自分の目的(犯罪者としての過去を消して、移住先のアルファ・ケンタウリで人生をやり直す)ためには、平然と殺人も行います。この新しいドクター・スミスのダークさに、最後までなじめませんでした。
もっとも、今公開されている最初の10話は導入編に過ぎず、「ロスト・イン・スペース」というタイトルとは裏腹に、ロビンソン一家は孤独ではなく、他の家族も一緒に遭難しています。それが最後の第10話でオリジナルのドラマのメンバーだけで孤立します。従って本篇はこれから始まる、という感じです。

原一男監督の「ゆきゆきて、神軍」

原一男監督の「ゆきゆきて、神軍」を観ました。この有名な映画を観たことがなかったのでDVDを買ったものですが、あまり予備知識がなく観たので、最初普通の映画と同じく俳優が演じているのだと思っていたら、途中からどうもこれはドキュメンタリー、つまり奥崎本人なんだということにようやく気がつきました。奥崎の過激な思想にはついていけませんが、それよりショックを受けたのは戦時中のニューギニアのあまりにも悲惨な話です。ニューギニア戦線での日本軍の飢えとの戦いは、水木しげるの漫画などでも扱われていますが、戦争が既に終わって20日も経っている(しかも戦争が終わったことは皆知っている)にもかかわらず、2人の兵隊に敵前逃亡の罪を着せて軍法会議も無しに5人の人間で射殺し、なおかつその死肉を皆で食べた、というのに衝撃を受けました。さらに別の部隊ではくじ引きで犠牲者を決めていたとも。おそらく関係者が口をつぐんでいるだけで、この手の話は他にも山のようにあったのではないかと。所詮私たちが知っているのは氷山の一角だと思いました。
奥崎謙三本人については、その暴力肯定の思想は承服出来ませんが、ある意味筋を通している人という感じはしました。また昭和天皇が責任を取っていないので皆無責任のまま、というのは丸山真男の「無責任の体系」と同じ発想です。