サンバレーの非科学的記事の例

KT170について調べていたらサンバレーの記事が出てきて、ああまたいい加減なことを書いているなと思ったので紹介します。
このページで、いわゆる赤外線放射温度計で稼働中の真空管の温度を測ろうとしています。「非接触の赤外線温度計でプレート中央温度を測定してみると」とありますが、そもそも赤外線放射温度計でガラス越しの中のものの温度を測れるのでしょうか?私が持っているFLUKEの59miniという赤外線放射温度計のマニュアルには、イラストですが、窓越しには中のものは測れず、窓を開けて測れとなっています。
また測定器メーカーのジャパンセンサー(株)のHPでは、「真空槽内のワークを窓越しに温度を測定する場合は、使用する窓材が温度計の測定波長領域において赤外線を十分に透過している必要があります。」とあります。一般的に安価な赤外線放射温度計の波長は10µ前後(リンク先のマニュアル参照)です。一方真空管のガラスは硼珪酸ガラス(BK)とか鉛ガラス、石英硝子などのようです。(ここを参照)鉛ガラスは分かりませんが、上記のHPによれば硼珪酸ガラスと石英硝子はこの10µという波長の赤外線を通しません。被測定物から出る赤外線で温度を測定している赤外線放射温度計では、従って真空管内部の各部の温度を測ることは出来ず、ここで測定しているのは単に真空管のガラスの表面温度です。これは実験で簡単に確かめられます。
左はKT150ですが、①と②の箇所を、手持ちのFLUKEの59 Miniという赤外線放射温度計で測ってみました。もしこれがプレートの表面を本当に測定しているのなら、プレートの熱伝導性から考えて①と②の温度に大きな違いは無い筈です。(真空管の中は当然空気の対流はありません。)やってみた結果は①が130℃で②が115℃と15℃も違いました。これは明らかにガラス管表面の温度です。真空管の外側は空気の対流により熱が上方に運ばれますから、上の方が下より温度が高くなります。
EL34よりもKT170の方が温度がはるかに低いといっていますが、それは熱せられたプレートから表面のガラスまでの距離による違いの方がおそらく大きく、プレートの温度がKT170の方が低いということはこの測定結果からは言えません。それどころか、プレート電流がKT88の1.25倍なんだから、プレート表面の温度はKT170の方が高い筈です。まあ大したことではありませんが、一時が万事で、ここのブログの記事はともかく非科学的なやり方でおかしな結論を出していることが多く、最初から眉唾と思って読んだ方が間違いがないです。

ハクセキレイの幼鳥


このブログは「知鳥楽」という名前ながら、最近野鳥が登場することがありません。最近は撮りには行っていませんが、昔撮影した中でお気に入りのものをアップします。この写真はハクセキレイの幼鳥で、葛西臨海公園でデジスコで撮影したものです。2007年の8月の撮影です。クリックで拡大します。