「謎の円盤UFO」の全26話の感想

「謎の円盤UFO」の全26話を観終わっての感想。ともかく子供の時から好きだったシリーズをようやく全話観ることが出来たのはとても良かったです。全編を通じて、ともかくストレイカー司令官がほぼ常にメインで話が進むということが分かりました。このドラマは撮影の途中でスタジオの工事の都合で長い中断が入っており、途中で最初に出ていた役者の一部がいなくなります。その一人がフリーマン大佐で、ストレイカーの盟友で副参謀的なキャラでしたが、26話中17話にしか登場していません。ストレイカーに次いで登場回数が多いのがフォスター大佐で、何故元単なる民間のパイロットだった彼が大佐にいきなり抜擢されるのかは理解出来ませんが、彼も色んな女性を口説いたり、エイリアンに拉致されたり(夢でしたが)、死刑判決を受けたりと、なかなか忙しいキャラでした。フリーマン大佐が登場しなくなって代わりに出てくるのがレイク大佐(女性)でしたが、なかなか美人ですがイマイチ存在感に乏しかったように思います。(このレイク大佐を演じている女優、何とあのベネディクト・カンバーバッチのお母さんです!)
ストーリーの展開は、最初はお気楽路線でやたらと女性を口説いたりするシーンが目立ちましたが(どうもイタリア人の脚本家がいたようです)、ストレイカーの私生活の話が混じりだすと、途端に暗くシリアスになりました。ある意味脳天気なアメリカのSFドラマとはそこが違います。またオカルトとか超能力とかサイコ系の話が多いのも特徴で、これはもうイギリス人の趣味としかいいようがありません。
特撮は全体に素晴らしいですが、難点を挙げれば、インターセプターのプラモ臭さが抜けなくて今一つリアル感に乏しいのと、スカイワンの発進シーンで水中からの発進なのに排煙が盛大に上がっていることです。(水中だったら泡になる筈です。)これは多分普通の空気中で撮ったシーンと水中シーンの合成なんでしょうが、スカイワン以外でも魚雷が爆発するシーンで同じように煙りが出ている所がありました。
まあ色々ありますが、私にとってはあらゆるSFのテレビドラマの中で、No.1ではないかという思いは変わりません。このドラマが今一つ視聴率的には良くなく、わずか26話で打ち切られたというのは、内容があまりにも大人向け(女性を口説く、女性がベッドの側で半裸になって誘惑する、何故かスカイダイバーの女性スタッフはブラジャー付けずに網目ユニフォームを着ている{”Sub-Smash”の時の女性クルーは付けていましたが}、仕事が忙しすぎて奥さんに離婚される、レイプや殺人のシーンがある等々)であり、それまでのジェリー・アンダーソンのファン層との食い違いが大きくてTV局側が扱いに困った、と言うところじゃないでしょうか。ただ、アメリカへの売り込みに失敗したサンダーバードと違って、これはアメリカでも放映されたみたいですが。(ストレイカー司令官を演じたエド・ビショップがアメリカ人だったり、イギリスに本部があるのに車が右側通行だったり、と結構アメリカを意識した作りになっています。)

「謎の円盤UFO」の”The long sleep”

「謎の円盤UFO」の”The long sleep”を観ました。これが最終回なのですが、最終回らしき話はまったくありませんでした。日本語版がこの最終回をどのように処理したか分かりませんが、多分ナレーションで「ストレイカー司令官とSHADOのUFOとの戦いはこれからも続くのである」とか言って終わったんじゃないかと推測します。おそらくこれを撮影している時には打ち切りはまだ決まっていなかったんじゃないかと思います。
お話は、10年前にストレイカーが車ではねた女性(突然女性が道路に飛び出したのであり、ストレイカーに落ち度はない)が10年間の昏睡状態の後、意識を取り戻します。女性は跳ね飛ばされた時に「UFOを見た」と言って気絶したため、ストレイカーは意識の戻った女性を取り調べます。10年前にその女性は家出してロンドンにやってきて、ティムという男性と知り合い、一緒に田園地帯の農場の空き屋敷に泊まります。そこでティムとその女性は多分LSDか何かをやって(とても60年代的)、ラリって騒いでいましたが、そこにUFOとエイリアンがやってきます。エイリアンは何かをその屋敷に仕掛けようとしていましたが、その女性とティムがふざけて、そのメカの円筒形の部品を持って行ってしまいます。それで追いかけっこをしている内にティムはふざけて屋根から落ちて死んでしまいます。女性はその後エイリアンに追いかけられて意識を失いますが、翌朝目覚めて空き屋敷を出てヒッチハイクでトラックに乗りますが、その運転手にレイプされそうになって車から降りて走り出して逃げて、ストレイカーの車にぶつかったものでした。結局エイリアンが仕掛けようとしていたのは、一発でイギリス全体を吹っ飛ばすことが出来る爆弾で、ティムと女性が持って行った円筒形のものはその起爆装置でした。エイリアンは死んだティムを操ってその女性に何かの薬剤を注射し記憶を取り戻させ、起爆装置を回収しようとします。SHADOも同じことをしますが、一足遅く起爆装置はティムの手に渡ります。ティムは起爆装置をセットして爆弾を起動させます。SHADOはそれを何とか分解しようとしますが出来ず、結局ロケットに積んで宇宙に持って行ってそこで爆発させるようにします。ティムは自分の役目を終えると白骨死体に戻りました。また女性の方は、ティムとSHADOの手で2回自白剤のような注射をされた結果、急速に老けて老婆と化して死んでしまいます。何か最終回とは思えない後味の悪い話でした。写真の右側はSHADOの医師ですが、ポーランド系の役者さんみたいで、とても独特な英語をしゃべり、かなり奇妙な味を出しています。

「謎の円盤UFO」の”Timelash”

「謎の円盤UFO」の”Timelash”を観ました。この回は中学生の時ではなく、小学生の時の最初の放送の時に観て、強く印象に残っているものです。確か邦題は「時間凍結作戦」。まだ小学生だったので細かい筋は覚えていませんでしたが、最後に写真のようにストレイカーがバーズカで、時間を凍結させている間にSHADO本部を攻撃してくるUFOを一人だけで迎撃するシーンをずっと覚えていました。
お話はSHADOのスタッフの一人のターナーがエイリアン側と通じてSHADO本部のどこかに時間を凍結させる装置を取り付けます。レイク大佐を空港に迎えに行っていたストレイカーとレイク大佐だけがこの凍結を免れますが、SHADO本部に入るとそれまで夜の8時だったのが突然昼間に戻り、また凍結した人間を目撃します。SHADO本部の中で一人だけ動いている者を見つけそれがターナーでした。ストレイカーとレイク大佐はターナーを追いかけますが、ターナーは広い映画スタジオの中を逃げ回ります。その内UFOの音が聞こえてきて、ストレイカーはターナーの追いかけをやめてバズーカを取り出してUFOを撃墜しようとします。しかしターナーがレイク大佐を気絶させ、バズーカのキーを持って行ってしまいます。再びストレイカーとターナーの追いかけ合いになりますが、時間を操れるターナーはなかなか捕まりません。ストレイカーはマシンガンでターナーを撃ちますが、彼が見えている所には既に彼はいない、ということが分かり、360°の方向にマシンガンを乱射して、それがターナーに命中して倒します。何とかキーを取り戻したストレイカーはバズーガで見事1撃でUFOを撃滅します。本部に戻ったストレイカーは時間凍結装置を壊すため、SHADOの装置を手当たり次第破壊し始め、そのどれかが奏功して時間が流れ始めますが、ストレイカーは2週続けて発狂扱いされて医務室に連れて行かれ、そこで強力な自白剤を注射されて真相を語り、ようやく皆が理解する、というストーリーです。
後1話を残すだけになりました。

「謎の円盤UFO」の”Mindbender”

「謎の円盤UFO」の”Mindbender”を観ました。ムーンベースに後一歩という所まで接近したUFOが何故か突然コースを変えてムーンベースから離れ、その後自爆します。その理由を突き止めるためムーンベースにやってきたストレイカーですが、調査に携わったパイロットの一人が突然気が狂ったような行動を起こし、ムーンベースの女性スタッフを殴り倒します。同じような事件がSHADO本部でも起き、そのスタッフはレイク大佐を人質にして逃亡しようとしましたが、フォスター大佐に撃ち殺されます。そして次におかしくなったのがストレイカー司令官その人ということで、幻覚の中で映画の一シーンとして自分の息子を事故で亡くすシーンを見せつけられます。結局、自爆したUFOが残していったガラス状の石に触ったものが全員おかしくなっているということで、偶然幻覚の中のストレイカーがそれを叩きつけて割ったため、幻覚は治まりました、という話しです。どうもこのUFOには、サイコ系のお話が多いようです。

「謎の円盤UFO」の”Reflections in the water”

「謎の円盤UFO」の”Reflections in the water”を観ました。終わりが近づくにつれ、脚本のレベルが上がって来ているように思います。今回はエイリアンはいつものちまちました攻撃ではなく、とうとう50機という大編隊で地球を襲おうとします。更にはその準備として凝っているのが、火山島の中にUFOを潜ませておく基地を作り、さらにはその近くの海底にドームを作り、その中に何とSHADO本部とまったく一緒の設備を作り、そこで働くスタッフもストレイカー司令官を含め全員そっくりさんを揃えています。で、その目的はムーンベースとインターセプター、そしてスカイダイバーに対して、UFOが襲来しても攻撃するなという嘘の指令を出すことでした。しかしよく考えると本物のSHADO本部の方が機能しないようにしている訳ではないんですから、発信場所からすぐばれそうなものですが…今回またもストレイカーは司令官にあるまじき行為で、フォスター大佐と一緒に海底ドームの調査に乗り出し、あわや、ということになります。
最後は、インターセプターとムーンベースに備え付けのミサイル迎撃車、スカイワンの総動員で、50機のUFOを皆殺しにするというある意味カタルシスのある結末でした。インターセプターは3機しかなくて、UFO3機しか墜とせない筈ですが、何故かこの回では途中でミサイルを補給しています。

「謎の円盤UFO」の”The psychobombs”

「謎の円盤UFO」の”The psychobombs”を観ました。エイリアン側が行った数々の作戦の中で、今まで観た中ではもっとも効果的でSHADOに大きなダメージを与えました。更には後一歩でSHADO本部もストレイカーを始め多くのスタッフもろとも爆破される寸前でした。SHADOの防衛網をかいくぐってイギリスに着陸したUFOが催眠電波みたいなもので3人の男女を操ります。この3人はUFOに操られている状態では、人間としては考えられないようなパワーを出します。そのパワーでまず武器も無しにSHADOのレーダー基地に潜入し、高圧電線をショートさせて基地を爆破します。この攻撃に関してはストレイカーに降伏勧告状が届いており予告されたものでした。予告の次のターゲットはスカイダイバーの3号機で、厳重な警戒にも関わらずエイリアンに操られた男がスカイダイバーに乗り込み、やはり電源をショートさせてスカイダイバーを爆破します。最後のターゲットがストレイカー司令官とSHADO本部であり、エイリアンに操られた女性がやはりSHADO本部の主電源をショートさせようとします。しかし危機一髪でスカイワンが操っていたUFOを撃破して助かる、という話しです。
写真は基地から発進するスカイダイバーです。(この後爆破されてしまいますが。)
ちなみに、「謎の円盤UFO」の撮影は最初に使っていたスタジオが使えなくなって、数ヶ月中断して別のスタジオでの撮影になります。その中断の影響で一部の役者が継続して出られなくなり、例えばフリーマン大佐は後半の話には登場せず、替わってレイク大佐(女性)が登場しています。ムーンベースのエリス中尉も後半は登場していません。

「謎の円盤UFO」の”The man who came back”

「謎の円盤UFO」の”The man who came back”を観ました。後半になると段々とUFO側の攻撃が合理的になって来た感じで、今回は3機で襲来し、1機がコースを変えてSIDを攻撃しに行きます。インターセプター1機が後を追いかけましたが間に合わず、SIDはUFOの攻撃で完全には破壊されなかったものの、機能停止してしまいます。このチャンスに大挙襲来すればと思いますが、UFO側はまたも回りくどい作戦を取り、ルナモジュールで地球に帰還しようとして事故ったクレイグを捕まえ、その意識を消してあるプログラムを入れ、外から無線で操ります。この辺り、”Kill Straker!”とストーリーがかぶるのがイマイチです。そのクレイグは最初にSIDを作った一人で、SIDの修理に必要な人間です。クレイグとペアになる人間は、もう一人のエンジニアとフォスター大佐でしたが、クレイグはエンジニアを殺そうとし、またフォスター大佐にトレーニングルームで怪我を負わせます。こうなると後はSIDのことを知っているのはストレイカー司令官一人となり、クレイグとストレイカーがNASAのロケットでSIDの修理に向かいます。そこでクレイグが…という話しです。結局ストレイカーは助かるのですが、一人だけでSIDの修理が出来たのか気になります。またエイリアン側から見れば、SIDの監視網が不在でしかもストレイカーが不在の今は攻撃のチャンスの筈ですが…

小津安二郎の「麦秋」

小津安二郎の「麦秋」を観ました。紀子三部作の二番目です。ですが「晩春」の紀子とはがらっと性格が違い、持ち込まれた縁談を断り、自分で相手を決めます。しかし単純に見合い結婚から恋愛結婚へ変わったと言えないのは、本人同士が結婚を約束する前に、紀子と相手の矢島(一度結婚していますがその妻は病死し、女の子が一人残されています)の母親の間で結婚が決まってしまう、というこれもある意味とても日本的です。「晩春」の紀子から「麦秋」の紀子への変化は、昭和20年代で女性の考え方ががらっと変わっていったことの反映なのか、小津監督が前作とはまったく違った紀子を描きたかったのかは分かりません。
紀子以外で興味深いのが、昭和24年から26年でわずか2年の間に、日本の復興が進み、豊かになっていることです。特に紀子の家に電話があるのに驚きました。この時代に家に電話機があるのはかなり豊かな家ということなのではないでしょうか。しかしそういう日本の復興の中で、紀子の母親は今でも南方戦線に送られ生死不明で未だに戻ってこない紀子の兄を待ち続けている様子が描かれます。
笠智衆は今回は紀子の父親ではなく、兄であり、かなり若々しく描かれています。また紀子のある意味非常に勝手な行動にもかかわらず、他の家族が皆紀子のことを本当に心配しているというのがちょっと心を打ちます。また紀子の会社の専務から持ち込まれた縁談について最初は皆乗り気だったのが、相手の年齢が40歳と分かったら急にトーンダウンするという現金さも面白かったです。
原節子の演技は、「晩春」の時は不自然な笑顔が気になったのですが、今回はより地に近い感じで演技しているという感じで笑顔はこちらの方が自然でした。

「謎の円盤UFO」の”Destruction”

「謎の円盤UFO」の”Destruction”を観ました。この回も中学生の時の再放送で観てよく覚えているもの。フォスター大佐がプレイボーイの本領を発揮して、海軍の高官の秘書のサラ・ボーザンケイを誘惑して情報を手に入れようとします。「君のことなら何でも知っているさ」「どこにホクロがあって?」「紳士には言えない所さ」といった吹き替えのセリフまで覚えています。
ストーリーとしてもこれまで観た中ではベストと言ってよく、前半のサラ・ボーザンケイの不可思議な行動の解明と、後半のUFOが海軍の艦船を攻撃にきてあわや、という所でスカイワンがUFOを撃墜する緊迫感も良いです。
お話はある勤務中の海軍の艦船がUFOを目撃しますが、その艦船の船長はその正体が何かを確認することなく、すぐに対空ミサイルでUFOを撃墜します。その時に写真が撮られ次の日に大々的に新聞で報道されます。例によってもみ消し工作に動くSHADOですが、何故か海軍はあっさりその事実を撤回してしまいます。ストレーカーはそんな海軍の動きに疑問を感じ、フォスター大佐を海軍の高官の秘書であるサラ・ボーザンケイに接近させます。ボーザンケイは、ムーンベースの設計者であったエンジニアの娘で、父親はUFOに拉致され脅迫を受けて、海軍の艦船が行っていた行動に関する目的地のデータを、部屋に備え付けた望遠鏡から出るレーザー光線でUFO側に連絡します。(写真はそのレーザー光線を宇宙空間で受けて身もだえるインターセプターのパイロット)ストレイカーは海軍の高官にUFOのことを打ち明け、危険が迫っていることを話し、海軍が何をしようとしているのか問い詰めます。それによると、海軍である毒ガスを開発しましたが、それは強力すぎて使用することが出来ず、また分解させることも出来なかったため、そのガスを特殊な容器に詰めて、海溝部の深淵に廃棄処分しようとしていたのでした。もしそのガス容器がUFOの攻撃を受けてガスが漏れ出したら、地球の人類は全滅します。UFOの攻撃で艦船側のミサイルは故障して発射できなくなり、艦砲射撃も射程外に出られて万事休す、というシーンで海面からスカイワンが颯爽と登場し、UFOを撃墜します。なお、UFOがSHADOの防衛網をくぐり抜けたのは、レーダーを妨害する装置を新たに開発したから、ということになっています。

「謎の円盤UFO」の”The cat with ten lives”

「謎の円盤UFO」の”The cat with ten lives”を観ました。何というかまたイギリス人大好きのオカルトがらみで、インターセプターのパイロットのリーガンが休暇中に知人の家に出かけてそこでやるのが何と「コックリさん」。この「コックリさんセット」(アルファベットを書いたカードとグラス)は実はUFOのエイリアンのプレゼントで、このコックリさんをやっている間にリーガンはどういう仕組みか知りませんが、エイリアンに洗脳されます。そして帰りの途中で拾った猫に実はエイリアンが乗り移っていて(SHADOの精神科医により、エイリアンの正体は実は精神体みたいなもので、乗り移るボディを必要としているという仮説が出されます。)、洗脳したリーガンを操るという内容です。リーガンはインターセプターの他の2機をいじってパワーが出ないようにし、自分のインターセプターはムーンベース目がけてカミカゼ攻撃コースに。間一髪という所で、SHADO本部に入り込んだ猫を捕まえるために使ったのが…(以下ネタバレ防止のため省略)ということで、何か科学性に乏しい回でした。
冒頭で、3機のUFOが襲来しますが、実はこの3機はおとりで、インターセプター3機がそちらを攻撃する間に、もう1機がムーンベースを攻撃するという、今回初めてエイリアンが割りにまともと思える作戦をつかっていました。
写真はSHADOがトレーニングのために採用している変な格闘技で、柔道+空手+ボクシングみたいなもの。まあマーシャル・アーツかもしれませんが。(柔術であれば、空手的な要素もあるのでおかしくはないですが。)