「白井喬二戦後作品集 地の巻 (石川五右衛門)」を読了。収録作品と初出は以下の通り。「石川五右衛門」(「サンデー毎日」1950年?月)、「大盗マノレスク」(「苦楽」1947年3月)、「明治女学校図」(「オール読物」、1951年1月)、「太公望」(「苦楽」、1946年11月)、「風俗犯」(「苦楽」、1948年5月)、「助六」(「苦楽」1947年?月)。初出不明のものも、昭和20年代の作品と思われます。文藝評論家の尾崎秀樹が、白井喬二の葬儀での弔辞で、「大盗マノレスク」と「明治女学校図」だけを白井の戦後作品として挙げています。私は正直な所、戦後の他の作品と比べてこの2作が特に優れているとは思えません。むしろこの本の中では「石川五右衛門」や「助六」の方が好ましく思えました。「明治女学校図」は明治時代の東大の学生が、卒業式の在校生側として招かれたけど、菓子の供応が無い、ということで集団で卒業式をすっぽかして乱暴狼藉を働いて全員退学になる話です。白井も自分で書いていますが、その中に後に有名になった人が多数含まれていたので、興味深く読まれた、ということではないかと思います。「助六」は当然歌舞伎からキャラクターを借りていますが、お話自体は歌舞伎とはまったく異なります。
白井喬二の「白井喬二 戦後作品集 地の巻 石川五右衛門」
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