家のオーディオのスピーカーはバックロードホーンというのを使っています。市販品ではなく、ハセヒロオーディオという所が出しているキットに自分でスピーカーユニットを付けて組み立てたものです。ただ組み立てといっても、音道の形に既にカット済みのスライスした木材を重ね合わせてボルトを入れてネジで止めるだけなので、誰でも作れます。ただ、追加で載せたスーパーツィーターのネットワークは自作する必要がありますが。バックロードホーンの構造はスピーカーの背後からホーン状の音道がくねくねと折りたたまれたようになっており、スピーカーの後ろから出る低音をホーンで増幅して出してやります。そのためこの方式はよく「低音を盛大に出すスピーカー」だと誤解されるのですが、実際はバックロードホーンの低音は不足気味です。超低音も出ません。私の所のもクラシック音楽を聴くには不十分なんでサブウーファーを別につけて補っています。(FostexのCW250Aをペアで使っています。)バックロードホーンの長所は、強力な磁気回路を持って、かつ軽いコーン(振動板)というスピーカーの理想に近いユニットを使えることです。このことで微細な音が忠実に再生されます。こういうユニットはそのままでは低音がまるで出ないので、それを補ってやるのがバックロードホーンの音道です。元々弱い所を補ってやっと普通にしているだけで、低音が盛大に出たりはまったくしません。密閉型のスピーカーだと、スピーカーの振動板が常に空気バネでブレーキがかけられるため、どうしても音の立ち上がりが丸く詰まった感じになってしまいます。バスレフはそれよりましですが、やはり空気バネは働きます。それに比べるとバックロードホーンは、後面が開放に近いので、スピーカーの振動板が自由に動け音の立ち上がりは最高です。音楽だけでなく映画で銃や大砲の音をきちんと再生するにはバックロードホーンしかないと言ってもいいくらいです。
ちなみに、このスピーカーユニット(ペア)にかかった費用は以下の通りです。
ハセヒロオーディオ MM-171 ¥43,800(買った当時、以下同)
Fostex FE166En 2個 ¥20,000
吸音材など ¥2,000
ネットワーク (フィルムコンデンサーと固定抵抗)¥3,000
Fostex T900A (2本)¥87,020
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合計 ¥155,820
スーパーツィーターのT900Aがかなり高価なのですが、これを載せなければ7万円しません。
(スーパーツィーターは当初はT90Aというペアで¥33,118のを使っていました。これなら丁度10万円くらいです。)
でもそれを入れても、いわゆる高級HiFiスピーカーとしては市販品よりずっと割安です。
月別アーカイブ: 2017年7月
博文館の「新青年」昭和2年9月号
博文館の雑誌「新青年」、一冊だけじゃ雰囲気が十分わからないかと思って、同じ昭和2年の9月号も入手しました。この9月号には、谷譲次の「めりけんじゃっぷ 商売往来」シリーズの「じい・ほいず」(Gee Whiz!「おやまあ」ぐらいの意味)が載っています。谷譲次は本名長谷川海太郎で、谷譲次、林不忘、牧逸馬の3つのペンネームを使い分けた多才の人です。林不忘としては有名な「丹下左膳」を生み出した人です。多才が災いしてマスコミの引っ張りだこになり、そのせいで病気(喘息)になり、わずか35歳で命を落とします。長谷川海太郎は実際にアメリカを放浪した経験があり、当時としては非常に新鮮なアメリカ情報だったろうと思います。今読んでも十分面白いです。
その他、この号は「劇と映画號」となっていて、小山内薫の「演劇に関する或考察」などが載っています。探偵小説だけを載せていた訳ではなく、このような多彩な内容で、都会の青年を惹き付けたといいます。
白井喬二の「捕物にっぽん志」(連載第1回)
白井喬二の「捕物にっぽん志」の連載第1回分を読了。「歴史読本」の昭和34年6月号に掲載。エッセイみたいなものではなくあくまでも小説です。実在が疑われる怪しげな文献を典拠にして、これまた怪しげな歴史をでっち上げるのは白井喬二の得意技ですが、この作品がまさにそれです。日本に古来から、天皇家に伝わる「三種の神器」と対を成すように、民間に伝わる神器というべき「石歴翁(しゃくれきおん)」というのがあって、ふとしたことでそれが土蜘蛛族の手に入るが、知恵で勝るヤマト族の熊野戸畔(くまのとべ)がそれを奪ってしまい、戸畔の部下の捕り物の名人の可美真手(うましまで)と土蜘蛛族の捕り物の名人である聯小が対決するというお話です。白井喬二のことですから、「捕物史」といっても普通のものを書く筈がないと思っていましたが、ここまでぶっ飛んだものだとは想像外でした。
第221回TOEICの結果
博文館の「新青年」昭和2年5月号
古雑誌の漁りついでに、「新青年」の昭和2年5月号を入手。丁度横溝正史が編集長をやっていた頃です。この雑誌は、大正から昭和初期にかけてのモダニズムの雰囲気をもっともよく体現した雑誌と言われています。確かに表紙には見えにくいですが情報にローマ字でSHINSEINENと書かれているのが新しい感じですし、表紙絵のキャラクターは何となく「ひょっこりひょうたん島」の人形達を思い出させます。ただ、目次を見たらぱっと見た感じでは、「キング」などとそんなには変わらない感じで小説主体です。ただその小説の中身が、「キング」のように時代小説主体ではなく、翻訳・国産を合わせてミステリー(この当時の言い方では「探偵小説」)で占められているのがそれらしいです。また特集として「なんせんす號」となっており、ショートショートみたいなのが載っています。試しに小酒井不木のを読んでみましたが、どうってことはなかったです。「マイクロフォン」という短信みたいなのに国枝史郎が登場しています。(青空文庫で読めます。)翻訳物はO・ヘンリー、コナン・ドイルとB・アドラアでアドラアはどういう人か知りませんが、なかなか一流の作品を掲載している感じがします。
田中圭一の「ペンと箸 ~漫画家の好物~」
田中圭一の「ペンと箸 ~漫画家の好物~」を読了。「ど根性ガエルの娘」を買ったらAmazonがおすすめで出してきたもので、確かに吉沢やすみの息子さんも登場するので関連があります。有名漫画家の子供さんを呼んで、その漫画家が好きな(好きだった)食べ物を聞いて、親の漫画家の話を聞きながらそれを食べるという企画物。そして最大の特長は、そのインタビューの様子をその漫画家のタッチを真似して書くという所です。田中圭一の模写はかなりのレベルで、よく特長をつかんで模写していると思います。登場する漫画家は、最後の永野のりこを除いて、私が読んだことがある漫画家ばかりで、ちばてつや、手塚治虫、赤塚不二夫の御大から、平松政次や中島徳博、江口寿史といった少年ジャンプ系、そして魔夜峰央とか西原理恵子とか上村一夫とかともかく多岐に渡ります。個人的に懐かしかったのは「まんだら屋の良太」の畑中純。娘さんが月子のタッチで描かれていて、うるっと来ました。出てくる漫画家は皆子供と良好な関係を築いていた感じで(実際には吉沢やすみの例のようにそうでもない場合もあるのでしょうが、あくまでも取材の表面上はそうです)、なかなかほろっと来る話が多くてお勧めです。
ちなみにWebでも読めます。第1話はここです。
NHK杯戦囲碁 苑田勇一9段 対 三谷哲也7段
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が苑田勇一9段、白番が三谷哲也7段の対戦です。苑田9段は西の宇宙流と言われる豪快な棋風、三谷7段は最近本因坊リーグに入った若手有望株です。対局は苑田9段が初手高目、3手目でいきなり左上隅に掛かって見たことがない布石です。左上隅は白が掛かってきた黒を一間に挟みましたが、ここで黒が二間に高く挟み返したのも珍しい打ち方でした。しかし結果的にはほぼ定石形の分かれになりました。先手の白は右上隅の三々に掛かり、黒は手を抜いて右下隅を一間に締まりました。この後白が右上隅でケイマしたのを黒が押していって黒の壁が出来ました。そこで白は右辺を割り打ちしました。黒は左下隅に掛かって白が受けた後、黒は右辺を下から詰めました。白は左下隅に掛かりっぱなしの黒にコスミつけ、黒が立った時に下辺を三線に割り打ちました。ここで黒がいきなりこの白に上から付けていきましたが、これがどうだったか。白が跳ね、黒が切って戦いが始まりましたが、結果として黒が2子を取り、白は黒1子を制して厚くなりました。この下辺の黒は後に白から左下隅の下がりを利かされ、這って活きなければならなかったのは辛かったです。次に右辺の白1子を攻めようと黒はボウシしました。これに対し白はまともに2間に開かず、間を開けて飛びました。これが好手で、黒は上辺の白にもたれて押していきましたが、白は受けず右辺に手を戻して、攻めが利きにくい形になりました。黒は手を抜いた上辺の白を跳ね、更に下がりを先手で利かしましたが、左上隅の白は厚い形をしていてこの白には響かず、また黒は切りを狙われて、ここで既に白が打ちやすい碁になりました。その後中央で戦いが起きましたが、右辺では白は黒1子を取ってはっきり治まりました。中央での折衝の結果黒は白3子を取って地をまとめましたが、それを取り切る間に白は左辺を打ち、白も左下隅からの地を大きくまとめ、白が勝勢になりました。最後は盤面でも大幅に白が地合でリードということになり、白の中押し勝ちでした。三谷7段の冷静な打ち回しが光った一局でした。
「悦ちゃん」のTVドラマ
大月悠祐子の「ど根性ガエルの娘」3巻
大月悠祐子の「ど根性ガエルの娘」、第三巻を読了。予告で「衝撃の第15話」って書かれていたからどんなものかと思っていましたが、正直な所あまり衝撃を受けるようなものではなく、第1巻、第2巻の流れから十分予想できるような内容でした。ただ、1、2巻に比べると、より大月悠祐子自身が全面に出てきている内容になってきています。ある意味「親を克服しようとする子供」の普遍的なお話としても読むことができます。この巻では元々連載していて週刊アスキーの編集部が、「一度壊れてしまった家族だけど、その後元通りになって良かったね」的にまとめようとしたのを、大月悠祐子が拒否して原稿を引き上げ、結局連載が「ヤングアニマルdensi」に移ってそこで続くことになります。私はこの3巻で終わりかと思っていましたが、まだ続いています。ここで読めます。
大月悠祐子の「ど根性ガエルの娘」1、2巻
大月悠祐子の「ど根性ガエルの娘」1、2巻を読了。
吉沢やすみの「ど根性ガエル」については、私が9歳の時少年ジャンプでの連載が始まっており、まさにど真ん中世代です。ジャンプ特有の人気が出るととことん連載を引っ張るというシステムのせいで、当時から吉沢やすみがネタに詰まっていることは読んでいる方でも理解していました。その時、吉沢やすみが取った手段は、ネタに詰まると登場人物を増やすということで、たぶん連載の最後の方は登場人物が100人くらいになったんじゃないでしょうか。また、「ど根性ガエル」の後の作品もいくつか読んでいて、人気が出なくて苦労していたのも記憶しています。ギャグ漫画家というのは本当に大変で、継続してネタを出していくのはかなり至難の業だと思います。長く続けられる漫画家って、この本にも書いてありましたけど、さいとうたかおみたいにプロダクション作ってシステム化して他人の知恵を借りないと無理ですね。
この作品の吉沢やすみは、ギャンブル依存で、DVに走り、娘のお金を盗み、といい所がないようですが、それは結局吉沢やすみが本物のアーチストなんだと思います。そんな中、奥さんと結婚するきっかけは、本当のピュアラブという感じでほっこりします。
ストーリーとしては、第3巻の15話で衝撃の展開になるみたいで、それを読んでみないとまだ何とも言えません。