「原子力潜水艦シービュー号」の”Mutiny”

「原子力潜水艦シービュー号」の”Mutiny”を観ました。英語のタイトルは「(部下の上官への)反乱」という意味です。
なかなかシリアスな話でしたけど、色々詰め込みすぎの感もあります。
ネルソン提督が新しい潜水艦ネプチューンの試験航行に同乗しています。その途中で強い電磁波と放射能が検出され、そこでネルソン提督は信じられない程巨大なクラゲ(腔腸動物)を発見します。ネルソン提督はクルーの一人と一緒に調査のためにネプチューンの外に出て岩石を採取しようとしますが、その時巨大クラゲがネプチューンに覆い被さってネプチューンは動けなくなり、やがて爆発してしまいます。外にいたネルソンともう一人のクルーは海上に浮かび上がり、ウェットスーツにタンクの空気を入れて簡易的なゴムボートを作り、それで海上を漂います。しかしもう一人のクルーは浮かび上がる時にクラゲに何カ所も首筋を刺されており、それが元でおかしくなり、海の中に消えます。ネルソンは結局ある船に救助されて助かります。ネルソンは元気を取り戻すとシービュー号に戻り、ネプチューンがやられた現場に向かいます。しかしどことなくネルソンの様子が変なことにクレーン艦長が気付いていました。やがて電磁波の影響でバラストタンクのポンプが故障し、シービュー号は海底に沈下します。クレーン艦長はそこで、コンピューターにお伺いを立て(この辺りがとても1960年的。当時一般にはコンピューターは何でも出来る、という誤ったイメージが普及していました。)、上昇ではなくダイブして、圧壊深度ギリギリまで潜って操縦に必要なスピードを得ようとします。このことをネルソン提督に言うと、突然ネルソンは感情的に怒り出します。クレーンは艦長を解任されますが、咄嗟に銃を取り出し、コンピューターの指示を実行します。結果的にそれは正解でシービュー号は上昇に転じることが出来ましたが、ネルソンはクレーンの「裏切り」に対し、涙を流しながらクレーンを非難します。クレーンは調査のために外に出たダイバーが脳細胞に何かの損傷を受け結局死亡したのを知らされ、ネルソン提督も同じように脳細胞をやられたのではないかと思います。その後、ネプチューンを破壊した巨大クラゲが今度はシービュー号を包み込みますが、クレーン艦長は電撃を流してクラゲの中枢神経を攻撃するよう指示します。この策でクラゲは撃退することが出来ました。医務室に連れていかれたネルソン提督は、脳細胞のダメージではなく、病院でもらった薬に対するアレルギー反応であったことがわかり、薬を捨てて一件落着で元の冷静な提督に戻り、クレーン艦長の指揮振りを讃える、という話です。
最初、核実験の放射能でクラゲが巨大化したゴジラもどきのお話かと思いましたが、ちょっと違いました。

マックス・ヴェーバーの「R・シュタムラーにおける唯物史観の『克服』」

マックス・ヴェーバーの「R・シュタムラーにおける唯物史観の『克服』」を読了。松井秀親訳で、河出書房の「世界の大思想」の「ウェーバー宗教・社会論集」に収録されているもの。これも難解で二度読むことになりましたが、それでも内容を十分に理解することは現在の私の時間の使い方の中ではほぼ無理でした。この論考でも私が言う所の「ヴェーバー的倒錯」は発生するのであり、私はシュタムラーの「唯物史観による経済と法-社会哲学的一研究」を第一版も第二版もまるで読んでいません。ヴェーバーがこの論考でシュタムラーを激しく批判しているからといって、シュタムラーをロッシャーとクニースと同列扱いにするのは問題かと思います。少なくともシュタムラーの書籍は、それまでマルクスの一連の書籍をきちんと論じることが出来なかったブルジョア科学者の中で、初めてそれを行い、少なくともマルクス主義者の中にも修正主義者を生むくらいのインパクトを生んでいます。この論考は1907年に発表されたもので、ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の書かれた後です。ヴェーバーの「プロ倫」を読んで誰もが気付くことが、これは唯物論に対する強力な反証である、ということです。すなわち、全てが経済という土台に影響を受けた上で存在する、と主張する唯物論に対し、典型的な上部構造である宗教が逆に「資本主義」という「経済そのもの」が強く影響を受けている、という主張なのですから。シュタムラーもそういう意味では、唯物論に反論した先駆者の一人です。しかし、ほぼ同じような立ち位置にいながら、ヴェーバーはシュタムラーが唯物論で経済を全ての他の要素に先んじる基本要素としたのに対し、シュタムラーは今度は唯心論的に宗教その他を基本要素に置き換えただけで、なるほど唯物論を批判しているものの、その方法論は唯物論とまるで同じではないか、という批判を加えます。また、ヴェーバーは自身の「価値自由」的立場から、シュタムラーがSein(存在、あるもの)とSollen(当為、~すべきもの)の区別を混同していることを批判します。しかし、おそらくシュタムラーは「理想的な法体系」というものを信じているのであって、そこからすべての論理が出てくるのであって、それを批判するのは単なるヴェーバーとの立場の違いのように思います。それから、ヴェーバーのこの論考での主張は、かなりの部分が「経済と社会」の「法社会学」の冒頭での主張と重なっているように思います。すなわち、「ロッシャーとクニース」とこの論考は、批判そのものよりも、ヴェーバーが自身の理解社会学の方法論を確立していく上での踏み台として使われているように思います。

NHK杯戦囲碁 山下敬吾9段 対 伊田篤史8段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が山下敬吾9段、白番が伊田篤史8段の対戦です。この2人はどちらも本因坊丈和並みの豪腕で、がっぷり噛み合う対局です。これまでの対戦成績も五分五分のようです。布石は伊田8段の作戦なのか、2隅を三々、さらに黒の星の構えにも三々入りと徹底した実利作戦です。黒は必然的に中央が厚くなりました。まず白は上辺に入っていき、黒は眼を取って攻めたてましたが、白の右上隅とからめたしのぎで、上辺は取りあえず白がほぼ活き形になりました。次に白は右辺に入っていきました。ここでも黒は白を厳しく攻め、白は右辺に一眼も無い格好で中央に逃げました。黒は地合では白に大きく先行されて、取りあえずこの右辺の白を攻め続けるしかありませんでした。黒はそこで厳しい手で白を攻めましたが、白にうまくかわされて空振り気味でした。白は右辺から下辺に進出し、多少の薄みはあるもののほぼ右下隅の白と連絡し、安心しました。黒は頑張らないといけない形勢で、取りあえず左下隅の白を攻めて自身を厚くし、また左辺の白にかぶせて中央を厚くし、白の大石を分断する手を打ちました。白は右辺からの石は取りあえず先手一眼ありましたが、後一眼を作るのが大変でした。しかし包囲する黒もあちこち薄く、戦いは予断を許しませんでした。白は右辺下部に仕掛けていき、ここが大きな劫になりました。劫材はしかし黒に多く、結局劫は黒が勝ちました。しかし白は劫材で中央の黒と右辺の黒を切り離しました。ここの劫は2段劫で黒から解消するには2手必要でした。その1手の余裕を使って白は左上隅から中央に延びる黒の一段を攻めました。この黒を攻める手がすべて劫材になり、劫は白が勝ち、中央の黒を取って右辺の白は大きく活きました。その代償で右下隅と下辺の白は黒から突き出され、下辺は黒地になり、右下隅も黒からもう一手打てば死という大きな振り替わりになりました。しかし左上隅から延びる黒はまだ活きていおらず結局ここも劫になりました。劫は黒が勝ちましたが白は代償で右上隅と右辺すべてを地に、大きくリードし、黒の投了となりました。豪腕通しの見応えのある碁でした。

伊豆山/熱海

25年ぶりくらいに職場旅行に行ってきました。私の会社の中では今いる開発部隊だけが今でも職場旅行をやっています。場所は熱海市の伊豆山で、健康保険組合の保養所です。ご覧のように窓から見える景色は中々です。一泊して翌日に、熱海市内でガラスのサンドブラスト加工の体験をしました。

SSDの状態チェック

新しいサーバーのSSD、やはり寿命が実際どうなのか気になるので、smartcontrolsというSSDの状態チェックをするソフトをソースからインストールしました。(ソースをコンパイルするには、CとC++のコンパイラが必要。
# yum install gcc gcc-c++ でインストール出来ます。)
結果は以下で、さすがにまだ買ったばかりで何の問題もありません。
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smartctl 6.6 2017-11-05 r4594 [x86_64-linux-3.10.0-862.14.4.el7.x86_64] (local build)
Copyright (C) 2002-17, Bruce Allen, Christian Franke, www.smartmontools.org

=== START OF READ SMART DATA SECTION ===
SMART Attributes Data Structure revision number: 1
Vendor Specific SMART Attributes with Thresholds:
ID# ATTRIBUTE_NAME FLAG VALUE WORST THRESH TYPE UPDATED WHEN_FAILED RAW_VALUE
5 Reallocated_Sector_Ct 0x0033 100 100 010 Pre-fail Always – 0
9 Power_On_Hours 0x0032 099 099 000 Old_age Always – 316
12 Power_Cycle_Count 0x0032 099 099 000 Old_age Always – 19
177 Wear_Leveling_Count 0x0013 100 100 000 Pre-fail Always – 0
179 Used_Rsvd_Blk_Cnt_Tot 0x0013 100 100 010 Pre-fail Always – 0
181 Program_Fail_Cnt_Total 0x0032 100 100 010 Old_age Always – 0
182 Erase_Fail_Count_Total 0x0032 100 100 010 Old_age Always – 0
183 Runtime_Bad_Block 0x0013 100 100 010 Pre-fail Always – 0
187 Reported_Uncorrect 0x0032 100 100 000 Old_age Always – 0
190 Airflow_Temperature_Cel 0x0032 075 062 000 Old_age Always – 25
195 Hardware_ECC_Recovered 0x001a 200 200 000 Old_age Always – 0
199 UDMA_CRC_Error_Count 0x003e 100 100 000 Old_age Always – 0
235 Unknown_Attribute 0x0012 099 099 000 Old_age Always – 14
241 Total_LBAs_Written 0x0032 099 099 000 Old_age Always – 266356686

原子力潜水艦シービュー号の”The last battle”

原子力潜水艦シービュー号の”The last battle”を観ました。
今回の話では飛行機でワシントンに向かっていたネルソン提督が睡眠薬で眠らされ、飛行機をハイジャックした「ドイツ訛りの英語をしゃべる」2名に拉致され、パラシュートで何処へか連れ去られます。そうです、今回の敵は某国ではなくて、ナチスドイツです!ナチスの残党がとある洋上の島に基地を作って、第4帝国の建設をたくらんでいます。拉致されたネルソン提督以外にも、世界的に有名な核物理学者、エレクトロニクスの学者、心理学者、そして世界的なアスリートなどが拉致されており、彼らは皆死んだと思われていました。
ネルソンは他のメンバーを説得し、あり合わせの道具でモールス信号無線機を作り、世界に向けて発信します。それをシービュー号がキャッチし、全速力で救助に向かいますが、実は全部ナチスの残党の罠で最初から仕組まれたもので、本当の目的はネルソン提督ではなくシービュー号そのものでした。シービュー号を島の南側の湾に誘い込んで、そこでキャッチネットという金属の網をかぶせて動けなくして乗っ取り、ナチスの残党の乗組員が乗り込んで、太平洋上のワシントンとモスクワの丁度中間地点から、それぞれに向けて核ミサイルを発射し、お互いに核攻撃を受けたと思わせ、米ソの全面核戦争にもちこんでその両国が共倒れになった後にナチスが第4帝国を建設する、という計画です。ネルソン提督達は今度はお手製の爆弾を製作し、ナチスの制御ルームの爆破を企てます。爆弾を完成し、いよいよ決行となった所で、すぐにナチスの残党の将軍達が出てきてネルソン提督達を阻止します。実は世界的なアスリートが裏切ってナチスと通じており、爆弾は彼の妨害工作で爆発しないようになっていました。絶望するメンバー達でしたが、ネルソン提督だけは何かを待っていました。シービュー号が島の南側の湾に誘い込まれ、まさに金属ネットが投下されようとするその瞬間、爆発しない筈だったネルソン提督達のお手製爆弾が爆発し、シービュー号は危機を脱します。実はネルソン提督がアスリートの言っている事に矛盾を発見して彼の行動を監視しており、彼が爆弾を爆発しないように作り替えた後、さらにそれをまた爆発するようにしただけでなく、自分の腕時計を使って時限発火装置まで取り付けてあった、というオチです。うーん、おそるべし、ネルソン提督。

「原子力潜水艦シービュー号」の”Hail to the chief”

「原子力潜水艦シービュー号」の”Hail to the chief”を観ました。アメリカ大統領が、ジュネーブでの平和会議に出席しなければならないのに、直前に頭部に大怪我を負い脳に血栓が出来て意識不明になります。秘密裏にシービュー号に運んでそこで、MGQという新たに開発された磁力で血栓を溶かす装置でまず治療し、それで駄目だったら開頭手術をという段取りになります。ここでまた「某国」が登場し、そのMGQに仕掛けをし、人間が死んでしまうレベルに磁気を上げた状態で、メーター類は正常値を示すように細工します。それがばれたのは、結局その装置で磁気を強大にすると、シービュー号の計器がすべて狂ってしまうからです。最初に某国のスパイの女医がMGQをテストした時に、シービュー号は計器が狂って位置がわからなくなり、岩礁に衝突し浸水が起こり、クルーが必死に修理します。(どうでもいいですが、このようにやたらとシービュー号は故障しますが、どう考えても放射能漏れが起きていると思います。しかしクルーが被爆したという話は今まで出てきていません。大体放射能注意マークですらどこにも貼っていないというのは変です。)クレーン艦長は次にこのような現象が起きたら、どこから磁気が出ているかをチェックする探知機を装備させます。駆逐艦とシービュー号は無事ランデブーし、潜水球で大統領が送り込まれます。そして医務室でまさにMGQによる治療が始まる時に、ネルソン提督は異常な磁気が医務室から出ていることを突き止め、医務室に急行してMGQの機械を破壊します。結局大統領は外科手術で処置され、健康を取り戻し、無事会議に出席出来ました、という話です。途中で、クルーの一人のコワルスキーがランデブーの場所を記したものを持ってバイクでシービュー号に向かうのですが、途中某国の手のものによってそのデータを盗み見られてしまいます。しかし、結局ランデブーの場所には某国の飛行機とかは現れず、あれは一体何だったんだという感じで、イマイチ脚本が良くないと思います。

新藤兼人と「盤嶽の一生」

映画監督の新藤兼人が映画界に入ったのは、白井喬二原作山中貞雄監督の映画「盤嶽の一生」を観て感激したからみたいです。以下、Wikipediaより。
「すごい映画に出合った。尾道の“玉栄館”という映画館で見た。山中貞雄監督の『盤嶽の一生』で、人の生き方を考えさせる、知恵の働いた映画だった。「これだっ」と思った、突然ね、映画をやろうと思った。
— 新藤兼人、中国新聞1990年特集「私の道」」

「原子力潜水艦シービュー号」の”Long live the king”

「原子力潜水艦シービュー号」の”Long live the king”を観ました。この所荒唐無稽な話が続いていたのですが、今回はなかなか良く出来た話でした。ある東南アジアのアメリカの友好国でクーデターが起こり、国王が爆殺されます。クーデターを起こした勢力は反アメリカです。国王には12歳の王子がおり、その王子が国王を継ぐことになります。王子はアメリカに滞在しており、クリスマス休暇の直前だったシービュー号に王子を秘密裏に友好国まで送り届けるミッションが下ります。王子は自分が王になったことがわかった途端に威張りだし、ネルソン提督やクレーン艦長を振り回します。そんな中王子が寝ている所をナイフで襲ったものがいました。またシービュー号は敵勢力の潜水艦から魚雷攻撃を受けますが、かろうじて回避してその潜水艦を逆に撃沈します。王子はたまたま覗かせてもらったシービュー号の潜望鏡で、洋上に救命ボートで漂っていたジョンという男を見つけ、それをシービュー号に収容するよう命じます。ジョンは自称宝探しの男でしたが、不思議な性格でたちまち王子の心をつかみ、親友になります。そうこうしている内にその国に到着しましたが、そこではアメリカが国王を暗殺しまた王子も殺したというデマが流されていました。ネルソンはシービュー号の位置が知られてしまうという危険を冒しながらも、国王となった王子の無事な姿をTV電波へと流します。これが功を奏して、クーデターは鎮圧されます。しかしシービュー号は複数の駆逐艦に取り囲まれ、今にも攻撃を受けそうになります。しかしそれはアメリカの第7艦隊の駆逐艦でした。こうして王子は無事に国王に就任しますが、ジョンはそれを見届けるとどこかに姿を消しました。ネルソン提督が改めてジョンを拾った場所を確認すると、それは「クリスマス島」の側でした。(おそらくジョンはサンタクロースだったのでは、ということが匂わされています。)改めて艦内でクリスマスを祝うネルソンとクルー達でした。

米林宏昌監督の「思い出のマーニー」(英語版)

毎日「原子力潜水艦シービュー号」を観るのもちょっと飽きたので、気分を変えて「思い出のマーニー」を英語版で観ました。この映画は映画館で観て以来ですが、とても好きな映画です。英語版で観ても、元々このお話の原作はイギリスですし(以前原作も読みました)、マーニーもアンナも英語名ですし、マーニーってそもそも外人そのものなんで、英語しゃべっててもまったくといっていい程違和感はありませんでした。この映画は一番最後で、「あーそうだったのか(マーニーとアンナの本当の関係が)」と分かる映画なんですが、今回その結末を知った上でもう一度観て、「あーなるほど」と思うセリフがいくつかありました。原作はイギリスですけど、日本人の繊細な美意識が加わって素晴らしい画面になっています。鳥好きの私としては何種類かの鳥が正確に描写されているのもうれしかったです。
まだ観たことがない方には是非一度観てみることをお勧めします。