TU-8200Rのデュアルモノ、各種出力管の比較に最適

TU-8200Rのデュアルアンプは出力管の聞き比べには非常に便利であることを発見しました。
真空管はご承知の通り、ヒーターまたはフィラメントが温まるまで時間がかかり、真空管をすぐ差し替えても、本来の音を聴くには待たないといけません。しかし、このデュアルアンプなら、スピーカーを接続していないチャネルに次にテストする真空管を刺しておけば、ヒーターは暖められますので、スピーカーの接続と入力のチャネルを切り替えれば、すぐ新しい真空管のテストが出来ます。
なお、このTU-8200Rは自動バイアス機構が入っているので、EL34、6550、KT66、KT77、KT88、6L6GC等がバイアス調整無しで差し替え可能です。左右の回路は独立していますので、左右で別の真空管を刺してもデュアルモノの構成では問題ありませんでした。(あくまで待機状態としてです。1台のアンプの左右に別の真空管を刺して鳴らすのはさすがに止めた方がいいと思います。)

写真はJJ製EL34とGenalexのKT77(ロシア製)を比較しているもの。JJのEL34はまだ買ったばかりでちょっと高音が強すぎてキンキンする感じです。それに対しKT77は、高音の品位が高いです。(KT77というのはKT88とかの類似管ではなく、EL34の高級グレードとして企画されたものです。但しビジネスとしては失敗して、マイナーな存在です。

NHK杯戦囲碁 富士田明彦7段 対 余正麒8段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が富士田明彦7段、白番が余正麒8段の対戦です。布石は比較的淡々と進みました。局面が動き出したのは白が右上隅に上辺からかかった石を放置していたのを動き出してからです。白が攻め返して上辺の黒が中央に一間トビしているのにボウシしたのがやや打ち過ぎで、黒が右辺の白とこのボウシした白を切り離して打ちやすくなりました。しかし白は後にこの中央の白を動き出し、中央での戦いになりました。黒が中央から左辺にケイマして中央の白を攻めたのに白がすかさず切断を決行したのが、機敏でした。黒は上辺を諦め中央の白への攻めに賭けました。しかしこの白はなかなか攻めきれず、黒は更に右上隅から中に延びる白の一団を攻め、右上隅でこの一団を二つに切断しようとしましたが、先に当てを打つべきだったのを打たずに切断に行ったのが間違いで、白は連絡し、なおかつ上辺の黒を取り込むという大戦果を挙げました。こうなると中央の黒の大石の眼が無く、かつ左辺と左下隅も怪しいという黒が一方的に攻められる展開になりました。左辺と左下隅は白が無理に取りに行かなかったので両方活きましたが、中央の黒が2つに分断されて両方に眼が無く、黒の投了となりました。

TU-8200Rデュアルモノラル

半年くらい前に全段差動プッシュプルアンプというのをヤフオクで落札してその音を経験しました。私なりの感想は、定位とか音場とかは非常にいいけど、音色そのものにはあまり魅力が無い、でした。それで定位とか音場の良さは、要するに回路的にクロストークが0になるようにしているからだと思いました。であれば、シングルアンプで、モノラル2台で聞けば、全段差動プッシュプルアンプの定位の良さと、シングルアンプの音色の良さが両立出来るのではないかと考えました。それで実験として、手持ちの真空管アンプでは一番安いエレキットのTU-8200R(6L6GCシングル)をもう1台購入して、それでデュアルモノをやってみました。結果は、
(1)音場の自然さ、音像の明確さ、音が前に出る等の全段差動PPの特長がちゃんと出ました。
(2)副産物で音の力強さが増しました。考えてみれば当然で、同じ電源で半分の出力段しか使ってないのですから、余裕が出るのは当り前です。
(3)音色はもちろんシングルアンプの快い音そのままです。
ということで、実験は大成功です。TU-8200Rはキット状態でなら6万4千円ぐらいで買えますので、2台でも13万円未満です。それでかなりのレベルの高い音を聴くことが出来ます。
後さらにステップアップとしては、BTL接続にして、チャンネル毎の出力を倍にするというのがありますが、個人的にはあまり回路を複雑にするよりシンプルなままの音を楽しみたいと思います。

スター・トレックの第3シーズンの”The Savage Curtain”

スター・トレックの第3シーズンの”The Savage Curtain”を観ました。今回のは「今週の女優」パターンではなかったですが、何というかアーウィン・アレンのタイムトンネル的な話でした。ある星の探査に来たエンタープライズ号でしたが、その星の表面は溶けた溶岩で覆われており、空気中には毒ガスだらけで生物はいないだろうということで、探査を打ち切ろうとします。そこに突然エイブラハム・リンカーンのイメージがスクリーンに映し出されます。彼はエンタープライズ号に乗り込みたいと申し入れます。カークは半分それがエイリアンだろうと思いつつも、個人的にリンカーンに深い敬意を持っていたため、最高の礼を尽くして自称リンカーンを迎え入れます。そのリンカーンは19世紀より先の科学知識は持っておらず、まったくリンカーンそのものでした。リンカーンは星の表面に行こうと言います。そこでカークとスポックが、突然出来た地球に似た地表の部分の所に転送で降り立ちますが、フェイザーは何故か転送されず、通信も出来ませんでした。そこにはもう一人、ヴァルカン人の1世紀前に死んだ伝説の人スラックがいました。スラックはヴァルカンの世界に平和をもたらした人です。カークとスポックとリンカーンとスラックと対照的に、別にジンギスカンや、クリンゴン人や、21世紀の地球で悪辣な戦争を行った将軍や、人体実験を行ったマッドサイエンティストなどが現れます。そこに、体が岩で出来たエイリアンが現れ、地球の善と悪との哲学が良く理解出来ないので、カーク達善のグループとジンギスカンらの悪のグループを戦わせて、どちらがより強いかを試そうとしていました。善グループの内スラックは戦うことに反対で、悪グループを説得しに行きますが、あっさり殺されます。しかしクリンゴンが声真似でスラックが助けを求める声を出します。スポックはヴァルカン人がそのような助け声を出すことが無いことを知っていて、罠だと見抜きますが、リンカーンが二人が戦っている間に後ろに回ってスラックを助けると言います。しかし結局スラックもリンカーンも殺され、4:2になりますが、何故か最後は肉体で戦ってカークとスポックが勝つというものです。しかし岩石エイリアンは善悪どちらも同じ方法を取っただけではないかと批判しますが、カークが切れます。カークは戦わないとエンタープライズ号が破壊されるという脅迫を受けていました。という内容ですが、陳腐です。善側が悪側が考えもつかないような平和的でかつ効果的な何かで相手に勝つなら意味がありますが。また何故ジンギスカンが悪でリンカーンが善なのかも、人種差別的でおかしいです。やはり第3シーズンはイマイチですね。

キャプテン・スカーレットの”Crater 101″

キャプテン・スカーレットの”Crater 101″を観ました。いつもはミステロンズが何かの破壊工作を予告して、それをスペクトラムが阻止するというのが筋ですが、今回はスペクトラム側がミステロンズが月面の裏側のクレーター内に作った基地を破壊するという物です。しかし、火星での例のように、ミステロンズの基地は破壊されてもすぐ復活しますので、爆破の前にミステロンズの基地の中のパワーソースを破壊する必要があります。そのミッションにキャプテン・スカーレット、キャプテン・ブルー、ルーテナント・グリーンが志願します。しかし作戦では地球標準時間の午前0時に核爆弾を爆発させるようになっていたのが、ミステロナイズされた月面基地の人間により、2時間前に爆発するようセットされます。月面基地の女性は無線が届かないスカーレット一行にそれを知らせるため、無人のロケットを発進させ、ミステロンズの基地のあるクレーターに着くようにします。そのロケットを見たスカーレットは、基地の女性からお守りとして渡されたペンダントにまつわるエピドード(予定より早く着いた金星ロケットの記念)から、核爆弾が「予定爆発時間より早く」セットされていることに気がつきます。キャプテン・ブルーとルーテナント・グリーンを先に脱出させ、スカーレットは基地の動力源と思われる何かのクリスタルを外すことにギリギリで成功し、なんとか脱出出来た、というストーリーです。いつもより緊迫感があって楽しめました。

PCL86→結局VALVO

各社のPCL86の音を比べたのではなく(超三結アンプで真空管の聴き比べをするには、30分ランニングした後バイアス調整をしなければならないので大変です)、中の構造を比較して見て、素人目かも知れませんが工作精度とか丁寧さという意味で一番高レベルに作られていると思ったのが、ドイツのVALVOです。今はもう無い会社ですが、品質の良さでは定評があって、テレフンケンのよりも良いと言われていたり、実はテレフンケンの一部のハイグレードの真空管はVALVOのOEM品だったみたいです。それでPCL86超三結アンプのPhilips製PCL86を取り外して、このVALVOを付けました。バイアス調整をし直して聞いてみたら、また少し発振が出るようになりましたが、スピーカーケーブルにフェライトコアのノイズフィルターを巻いたら、ほぼ問題ないレベルになりました。それで音質ですが、Philipsがやや大人しめで、超三結らしい高音のきらめきが抑えられていましたが、このVALVOでまたきらめきが蘇りました!ちょっと癖がある高音といえばそうなのですが、耳には非常に快い高音です。PCL86の主流はPhilipsの方なんでしょうが、異端もいいものだと思います。そんな訳で、またeBayでVALVOのPCL86を何本か落札して取り寄せ中です。

なお、超三結というのは三極管で五極管に100%のNFを掛けているので、真空管を変えても差が出ないと思っていらっしゃる方がおられたら、それは違うと申し上げます。PhilipsとVALVOで音ははっきり違います。これはプラセボではなく、ある程度の耳がある人だったら誰でも分かると思います。

PCL86-各ブランド毎のハードウェア形状比較

PCL86の各ブランドを良く見ると、ハードウェアの形状という意味で結構色々違っています。6つの部分にて仕様を比較してみました。結果的にどことどこのが同じ仕様、同じ製造場所の物なのかが分かったように思います。
結論としては、以下のようになりました。異なる仕様の数は10種類でした。
1.PhilipsとSiemensは同じ仕様、それに準じてEIとMullardは上部ゲッター部材の形状のみ異なります。これら4社は同一グループと言って良いと思います。
2.Mazda(UK)はPhilipsとはまったく異なります。これに対しMazda(仏)は両者の混ぜこぜ仕様です。
3.Lorenzは10本はPhilipsと同じ。SELで1本、ITTで1本だけ異なる仕様のものがあり、それもSELとITTでそれぞれ違います。
4.HaltronとTungsramは同一仕様。
5.EdicronとEuropa80も同一仕様。
6.ValvoとPolampはPhilipsとも異なり、またこの2つ双方でも違います。

私がPCL86を使っているのは超三結アンプで、超三結は真空管による差が出にくいと言われています。(100%NFをかけたのに近いため。)しかし、これだけハードウェアの形状が違うと音も当然変わってくると思いますし、実際にこれまで数種類試した限りでは確実に音の差はあります。

P.S. 最初上部の円盤またはリングを放熱用かと思っていましたが、これは蒸発型ゲッターといって高周波加熱でタングステンやバリウムを蒸発させてガラスの内側にゲッター層を作り、これが余分なガス類を吸着して真空度を保ちます。また、同じく上部のフィンみたいなのも、私は放熱フィンかと思いましたが、おそらくこれもゲッターです。リボン型のゲッターは真空管の初期からありました。現在でもサエスという会社から、ストリップ型ゲッターというものが販売されています。→(2022年1月21日追記:と思ったら、グリッドが熱くなりすぎるとそこから電子が出てきて{グリッドエミッション}真空管としての動作がおかしくなるので、それを防止する放熱フィンがJJの300Bの一世代前のものなんかに付いています。そちらかもしれません。)

手持ちのPCL86のブランド

手持ちのPCL86のブランド別。これだけ持っている人はそんなにいないと思います。入手先はeBay、ヤフオクと、イーケイジャパン(エレキットの会社)の販売サイト(エレキットにPCL86シングルアンプがあるのでその保守部品として売っています。但しマッチドペアでは販売されていません。)。
1.LORENZ/ITT ドイツのLorenzがITTに買収されたもの。Lorenzの真空管は第二次世界大戦のドイツ軍の通信機器にも使われたようです。戦後はラジオ用がメインのようです。
2.LORENZ 1.と同じでしょうが、ITTが書いていない箱もあります。
3.POLAMP ポーランドの会社。現在一番多く出回っているものです。会社(国営電球メーカー)はもう無くなっており、出回っているのは昔(1960~1970年代)製造したものだと思います。東欧では真空管のカラーTVがかなり後まで製造されていたみたいで、箱単位で未使用のが売られている場合があります。(PCL86のような複合管は、白黒TVに比べ大量の真空管が必要なカラーTV用として開発された例が多くあります。PCL86の原型である6GW8{ECL86}はまさにカラーTVの音声出力用に開発されたみたいです。PCL86でヒーターが14Vになったのは、トランスレスのラジオ用ではないかと思います。トランスレスのラジオでは、使う真空管のヒーターを直列に接続して、100V、115V、250Vにしていました。なので少しでもヒーター電圧が大きい方が使いやすかったようです。例えば日本の1960年前後のトランスレスのラジオは整流管を含めて5本の真空管を使い、そのヒーター電圧は12V+12V+12V+30V+35Vで合計101Vでした。)
4.Mullard イギリス。技術的にはフィリップスから供与を受けたものではないかと思います。
5.Edicron これもイギリスの商社で製造はどこか別の国と思います。EIその他複数の製造元があるようです。
6.SIEMENS ご存知ドイツのシーメンス。
7.Philips オランダ。おそらくPCL86の元祖だと思います。
8.HALTRON イギリスの商社のブランドのようです。
9.VALVO ドイツ製です。会社はもうありません。品質の良さで定評があったようです。一部のテレフンケンの真空管はVALVOのOEM供給品だそうです。
10.TUNGSRAM ハンガリー。真空管製造のもっとも古い会社の一つのようです。
11.EI ユーゴスラビア。音の工房のアンプキットに付いていたものなので箱はありません。このEIも比較的沢山市場で見かけます。テレフンケンの製造ラインを引き継いだという話と、逆にテレフンケンの偽物として流通していたという話があります。
12.MAZDA(1)MAZDAはGEの真空管・電球のブランド名です。日本では東芝がいわゆるマツダランプを販売していました。これはMazda Electroniqueというフランスの電球会社の製品のようです。
13.MAZDA(2)販売はThorn-A.E.I. Radio Valves & Tubes, Ltd.で調べてみたらBrimarの子会社みたいです。
14.EUROPA80 ドイツのゾーリンゲンの会社。商社だと思います。
その内、ハードウェアとしての構造上実質的に何種類あるか、調べてみるつもりです。

NHK杯戦囲碁 河野臨9段 対 林漢傑8段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が河野臨9段、白番が林漢傑8段の対戦です。黒の布石は右上隅が三々の変形中国流とでもいうべきものでした。序盤で黒が下辺の左側に打ち込み、白が飛んだのに隅に付けていってサバキに行きました。白の当てに強く劫に受けて、劫材はと思いましたが、下辺のノゾキがぴったりの劫材でした。その後白の右下隅のノゾキの劫材に受けずに劫を解消し、白は代償に右下隅の地を侵略しましたが、この別れは若干黒が上手く立ち回った感じです。その後黒は左辺上方に打ち込んで行きました。黒の弱石はこの左辺の一団、対して白は右上隅と下辺に弱石を抱え、黒の打ちやすい碁になりました。白が左辺の黒を攻めることにより、右上隅の白は左上隅からの白とつながり強くなりましたが、黒は左辺からの石が中央である程度強くなったので、下辺の白を攻めに行きました。途中、上から覗いて白に継ぎを打たせた一子をコスんで引っ張り出したのが強手でした。結果として下辺の白が切り離され、単独では眼がありませんでした。そこで左辺からの黒の一団の眼を取って攻め合いを目指しましたが、黒の方が2手ぐらい長く、20子が取られてしまいました。しかし攻め取りなので黒は手を入れる必要があり、白が他で頑張れるかと思いましたが、最後は左辺で動き出して、白の一部を取り込んで攻め取りすら無くなり、白の投了となりました。黒の名局だったと思います。

各社PCL86の内部構造の違い

以前オークションで集めた色んなブランドのPCL86を良く眺めて見ると、同じ規格の真空管にもかかわらず、各社でかなり構造が違うことに気が付きました。例えば真空管の一番上の円盤みたいになっている部分がシーメンスだと文字通り中が詰まった円盤ですが、EI(ユーゴスラビア)だと、金属の輪っかです。またその円盤部を支える縦の金属部も、ITT Lorenz(ドイツ)、Tungsram(ハンガリー)、Polamp(ポーランド)で3社3様で太さがまるで違います。またITT LorenzとTungsramは中にロット番号と思われる数字が入った四角のプレートが入っていますが、ITTがほぼ正方形を垂直に立てているのに、Tungsramのは45度に傾けて立てています。こういう物理的な構造の違いって、必ず音質の差となって現れると思います。いつか全部聴き比べして違いを評価してみたいですね。このPCL86というのは真空管の時代の最後期に作られたもので、技術的には色々と進んでいたみたいです。