NHK杯戦囲碁 呉柏毅5段 対 小池芳弘7段(2023年4月9日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が呉柏毅5段、白番が小池芳弘7段の対局です。序盤で黒は右辺に模様を築きましたが、白は小ゲイマ2つで手堅く活きるスペースを確保した後、右上隅黒への覗きから逆襲に転じ、上から白を攻めに来た黒2子を取り込むという大きな戦果を上げ、ここで白が優勢になりました。しかし黒もじっくり打って下辺を大きくまとめ、一時は形勢不明に戻りました。しかしヨセで黒が左上隅で白を切って白1子を取り込んでから、白がそこの利きを上手く使いながら左辺の切りに回り、白が左辺の地を増やしながら、同時に中央に付きそうだった黒地を最小限に削減しました。その後右上隅で劫になり、黒が勝って戦果を上げましたが、それでも地合いは盤面でもどうかということになり、黒はコミを出せず投了となりました。

スタートレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”Encounter at Farpoint”

スタートレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションのパイロット版である”Encounter at Farpoint” を観ました。前のスター・トレックから80年後という想定で、今度のエンタープライズ号は銀河系間を航行出来る巨大なもので、また円盤部の居住セクションがエンジン・戦闘パートとは分離できるという設定になっています。またホログラムにより地球の森のような空間もあり、前作よりかなり進んでいます。
艦長はジャン=リュック・ピカードで、カーク艦長と違い、初老で沈着冷静、仕事に集中する余りずっと独身という設定です。カークに似ているのはむしろ副官のウィリアム・ライカーです。今回はヴァルカン星人は登場せず、その代わりにデータというアンドロイドが登場し、その役目を担っています。後はクリンゴン星人がクルーにいたり、女性も多く活躍しています。このパイロット版では提督役で、ドクター・マッコイの人も登場していました。お話は結構難解でQという連邦の人間よりはるかに進んだ知性体が出て来て、連邦人を野蛮と笑い裁判にかけて裁こうとします。ピカード艦長がその挑戦に見事に勝ち、宇宙クラゲのペアを無事に解放して感謝されるという話です。ちょっとTV番組としてはハイブロウすぎると思いました。今後に期待です。

バッティングセンター再び

私は止まっているボールより、動いているボールを打つ方が好きなので、これらを買いました。家の近くの久地ゴルフガーデンというゴルフ練習場の中に、バッティングセンターがあります。15年前くらいに結構はまって、週3~4回で3ヵ月くらいここに通い、今でも両手にバットダコが残っているくらい、打ち込みました。木製バットは私のこだわりで、バッティングセンター据付の金属バットはスイートスポットが広くて、適当に打ってもそれなりに飛ぶので好きではありません。ただ問題は、バッティングセンターの軟式ボールというのは、長持ちさせるため普通の軟式ボールより硬いので、木製バットは1ヵ月くらいで折れてしまいます。今回のバットが4本目です。それが分っているので今回は安目のバットにしました。なお15年前くらいは40台後半でしたが、反射神経の衰えはあまりなく、140Kmとかでも問題なく打ち返せていました。今回60台でどうなるか試してみます。

ガンサー・シュラー指揮の運命・ブラ1

ガンサー・シュラーという音楽家をご存知ですか?アメリカでは2度グラミー賞を取った人で有名と思いますが、日本ではあまり知られていません。元々クラシック畑の人で、シンシナティ交響楽団の首席ホルン奏者を皮切りに、その後作曲家、指揮者となり、またジャズの世界でもあのマイルス・デイヴィスと一緒のバンドを作って活躍しています。また小澤征爾と一緒にタングルウッド音楽祭を始めた人であります。このCDはそんなシュラーが、ニューヨークフィルなどの腕利きの奏者を集めた少人数のオケを作り、自身が書いた「指揮法教程」という教科書の実践例として、自分のレコード会社であるGM Recorgingsから出したもので、内容はベートーヴェンの「運命」とブラームスの第1番の交響曲です。何でこのCDを買ったかというと、15年くらい前に、ブラームスのこの交響曲のカタログ征服を目指して、入手出来る全てのCDを集めようとしていたことがあり、その中で入手したものです。そういう経緯なのでまったく期待しないで聞いたのですが、演奏は素晴しいものでした。演奏スタイルはいわゆる新古典派的というか、「何も足さない、何も引かない」というきわめて楽譜に忠実な演奏です。そうした演奏は得てして無機的でダイナミックスに乏しい非人間的な演奏になりがちなのですが、シュラーの指揮から出てくる音楽は、まったくそういうネガティブなものがありません。またオケの一人一人の技量も素晴しく少人数ということもあって、そのアンサンブルの見事さはかつてのトスカニーニや1960年代のカラヤンを思わせるものです。ブラームスの1番は結局現時点までで220種類ぐらい集めましたが、その中で堂々のベスト10に入る演奏だと思います。4300円くらいとちょっと高いですが、今でもAmazonで入手可能です。

黒澤明の「生きる」

結局、オリジナルの「生きる」をAmazon Primeで見直しました。その結果、今回のカズオ・イシグロ版は単なる二流のダイジェスト版だな、と思うようになりました。今回のイギリス版が時間を短縮して色んなオリジナルの小さなエピソードをはしょっていますが、それらの小さなエピソードが実は本当にオリジナルの感動を増幅していることが良く分りました。またオリジナルでは、お役所仕事への批判という要素も強くありますが、イギリス版はそれをかなり弱めてしまっています。このお役所仕事の巨大な無力さが観る人に実感されないと、最後の仕事で公園を作り上げた主人公の鬼気迫る熱情が十分理解出来ないと思います。またイギリス版で、マーガレットとウィリアムズがUFOキャッチャーみたいなので獲得するウサギのオモチャは、オリジナル版で小田切とよが工場で作っていたものがそのまま使われていて、これはオリジナルへのオマージュだなと思いました。
それからオリジナルのもう一つの素晴らしさとして、主役の志村喬は言うまでもなく、とよ役の小田切みき(あのチャコちゃんのお母さんです)、文士の伊藤雄之助を始めとして、出てくる役者が皆本当に上手いのに感心しました。この時代はまさに日本映画の黄金時代だったのだと改めて思いました。
また主人公が胃癌であることを知って歓楽の世界を知るのは「ファウスト」ぽいなと思っていましたが、オリジナルではちゃんと伊藤雄之助演じる文士が「僕がメフィストフェレスの役を務めます」と言っていました。

オリバー・ハーマナスの「生きるーLIVING」

「生きるーLIVING」を観ました。ご承知でしょうが、黒澤明の不朽の名作を、カズオ・イシグロがイギリスを舞台に翻案したものです。十二分に感動的で良く作られていますが、それでもオリジナルに及ばない映画と思いました。残念だった点は、
(1)主人公がブランコに乗って口ずさむのがオリジナルは「ゴンドラの歌」でその歌詞が「命短し恋せよ乙女」で見事に映画の内容と共鳴していましたが、この映画では「ナナカマドの木」というスコットランド民謡で、単なる子供時代に親しんだ懐かしい歌、になってしまっていました。(ググったら、これはカズオ・イシグロがオリジナルはあまりに直接的過ぎるとしてこの歌に変え、歌によって亡き妻(スコットランド出身)と亡き妻が生きていたころもっと精力的に働いていた自分を懐かしむ、ということでこの歌にこだわったようです。しかし亡き妻なんて写真一枚しか出てきませんし、またオリバー・ハーマナス監督もこの歌は別のに変えたかったようで、カズオ・イシグロのこだわりは独りよがりなものになっていると思います。)
(2)オリジナルでは元部下の女性でオモチャ工場で働いていた人に「あなたも何か作ってみたら」と言われ、公園建設を思いつきますが、この映画はそういう理由付けがなく唐突に主人公が公園作りを開始します。
(3)主人公に歓楽の世界を教える文士が、オリジナルでは伊藤雄之助によって演じられ、名演でしたが、この映画の同じ役の俳優はあまり存在感がないです。

オリジナルには無い、新人の部下を付け加えたのは、悪いアイデアでは無いと思いますが、逆にそれほど効果的とも思いませんでした。

一つ心に刺さったのは、「何か(前向きなこと)をやろうとすると憎まれ役になる」というセリフで、実際に最近もそういう経験をしたので、ちょっと身につまされました。
オリジナルを観ないでこれを観た方には、是非オリジナルを観ていただきたいです。リメイクがオリジナルを超えることはまず無いということです。

トワイライト・ゾーンの”The Jungle”

トワイライト・ゾーンの”The Jungle”を観ました。アフリカのある国にダムを作るプロジェクトが進行していました。水力掘削機のエンジニアであるリチャードの妻のドリスは、アフリカの魔法使いによる呪いを恐れ、現地のシャーマンからもらった怪しげな魔除けを所持していましたが、リチャードは迷信だと言ってそれを火にくべてしまいます。リチャードが家を出る時にドリスは、二度と帰ってこれない、と言います。馬鹿な、とリチャードがドアを開けるとそこには山羊の死体がありました。リチャードはそれによって会社の経営層に、現地民による呪いの危険性を訴えますが誰も相手にしません。リチャードは家に帰ろうとしますが、そこで車が故障したり、タクシーに乗ったら運転手が急死したりします。家に電話しようとしたら、怪しげな動物の鳴き声が聞こえます。何とか家にたどり着いたリチャードですが、そこでライオンの鳴き声を聞きます。寝室のドアを開けるとそこには本物のライオンが居てリチャードに襲いかかり…という話です。
ちょっとお話の出来としてはレベルが低いです。トワイライト・ゾーンだから何でも起きる、というだけのお話です。

NHK杯戦囲碁 六浦雄太7段 対 佐田篤史7段


NHK杯戦の囲碁は、本日より新しい71期のスタートです。それに伴いセットもBGMも新しくなり、また解説の碁盤もタッチパネルの電子式のものになリました。皮切りの対戦は、黒番が六浦雄太7段、白番が佐田篤史7段の好対局です。今回解説が前期優勝の関航太郎天元で、司会・読み上げ・記録も含め佐田篤史7段の27歳が最年長というのも驚きです。この碁の最大の攻防は左辺で、黒が大きく地模様を形成したのに、白が打ち込んで、黒が詰めた時に白が手を抜いて左下隅を滑って地を稼ぎました。この手は間接的に左辺へのワタリを見せる手が利くので、左辺の攻防に多少の支援にもなっていますが、おそらく素直に中央に飛んで頭を出していた方が優っていたと思います。黒が当然ボウシしたのに白が上方に付け引いて活きに行きましたが、黒が2目の頭を自ら跳ねられに行ったのが強手で、結局白が単独で活きる手は無く、かといって攻め合いにもならず、左辺の白が取られて左辺に40目以上の黒地が完成しました。これで黒が勝勢になり、以降黒が手堅く打ったため差は縮まりましたが、最後半劫を白に譲って、黒の1目半勝ちでした。

NHK杯戦囲碁トーナメントに仲邑菫女流棋聖が登場!

第71期のNHK杯戦囲碁トーナメント、ついに仲邑菫女流棋聖が登場です!間違いなく最年少記録(14歳)です。これは楽しみ。TVという意味では既に2021年1月のお正月のお好み対局で芝野虎丸名人と対戦したことがありますが、本戦参加はまた別です。一回戦は大西竜平7段との対局です。

アウター・リミッツの”I, Robot”

アウター・リミッツの”I, Robot”を観ました。アシモフの同名の小説と2004年の映画とは別で、エアンド・ビンダーの1939年と1942年のアダム・リンクシリーズに基づいています。アダム・リンクは登場するロボットの名前です。ドクター・リンクはヒューマノイド形ロボットの開発に成功します。しかしある日不幸な事故が起き、棚が壊れて発電機が落下してきてドクター・リンクは頭を強く打って死にます。ロボット、アダム・リンクは声を聞きつけ博士を助けようとしていましたが、そこに運送業者がやってきて、アダム・スミスが手に持っていた棚の金具を見て、ロボットが博士を殺したと思い、警察を呼びます。アダム・リンクは逃げている途中で水際で遊んでいた小さな女の子に出会い、女の子は驚いて水の中に落ちます。アダム・リンクは女の子を水の中から引っ張り上げますが、力が加減できず、その腕を骨折させてしまいます。結局、博士の姪のニーナが、引退していた弁護士カトラーを呼び、その意見もあってロボットは裁判にかけられることになります。カトラーは手を尽くして弁護しますが、検察側は、博士の家にあったフランケンシュタインの本に言及して、ロボットがこれを読んだ筈だと言います。また助けられた女の子は恐怖のあまり、ロボットに襲われ傷付けられたという証言をします。さらに別の博士が呼ばれ、ロボットの回路を少しいじると、ロボットは法廷内の椅子や机を破壊し始めます。これらの諸々の不利な証拠で、結局ロボットは有罪の判決を受け、解体されることになります。解体場に連れて行かれる途中で、例の女の子がロボットを見つけ走って来ますが、そこにやってきた輸送用のワゴンに轢かれそうになります。ロボットはダッシュして女の子を拾い上げニーナに向かって投げ、女の子は助かりますが、ロボットはワゴンにぶつかりバラバラになります。
というアイロニーの利いた、なかなか感銘を受けたエピソードでした。なお、ニーナの夫の新聞記者の役で、ミスター・スポックのレナード・ニモイが登場しています。