本日のNHKの囲碁は新春スペシャルで、芝野虎丸2冠と仲邑菫初段の対局です。タイトル保持者と初段の対戦は普通に考えればタイトル保持者が勝つのが当たり前ですが、対局前のインタビューで芝野2冠が「簡単には勝たせてくれない」と述べていましたが、その通りの碁となりました。その証拠として、普段はあまり持ち時間を使わないで冷静に打っているイメージの強い芝野2冠が途中1分の考慮時間を4回も連続で取りました。これは難しい局面で形勢判断をし打ち方の方針を決めるのと、部分的な折衝を読んでいたのだと思いますが、それだけ仲邑初段が芝野2冠を追い詰めていたということです。仲邑初段の判断で見事だったのは、白が右辺から右下隅の黒模様の中で隅の星に付けて策動した後、右上隅の黒の渡りを止めるぞという手を打って、もし黒が受ければ右下隅から右辺の白を捨て石にして締め付けようとした時に、右上隅を捨てて右辺から右下隅の白を取りきった判断です。この振り替わりで白は確定地が増えましたが、黒の模様は100目近い広大なものとなり、少なくともこの時点では黒は悪くなかったと思います。また左上隅の黒を攻められた時に先手で活きたのも見事でした。しかし中央の折衝で白の侵入を止めるのに頑張り過ぎ、左辺の黒3子を取られてしまったのが損が大きく、その後左辺と左下隅を絡めて手にしようと策動しましたが、芝野2冠に冷静に受けられ不発で、黒の投了となりました。しかし仲邑初段が決して話題作りのために初段を与えられたのではなく、初段以上の実力を既に12歳という年齢で持ち合わせていることを証明したと思います。
ピンバック: NHK杯戦囲碁トーナメントに仲邑菫女流棋聖が登場! | 知鳥楽/ Chichoraku