NHK杯戦囲碁 芝野虎丸名人 対 牛栄子女流最強(2023年8月13日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が芝野虎丸名人、白番が牛栄子女流最強の注目の一戦です。布石で黒は二連星の後、右辺に右下隅から大々ゲイマに開くという、中国流の変型のような、初めて見る形を披露しました。白が右上隅でダイレクトに三々に入ってから、右辺が黒、上辺から左上隅にかけてが白という模様の張り合いの展開になりました。そこで黒が上辺左というか左上隅に深く潜って行きました。ここからこの石の死活を巡って激しい差し手争いになりました。その結果中央で大きな劫が出来ましたが、白は臆することなく最強の手で応じ続けました。結果として、白黒双方に眼が無く、攻め合いかあるいはセキかという感じになりましたが、結局黒白双方が相手の石5子を取り合うといういい加減の別れになりました。しかし劫を巡って白は中央で厚みを築いており、形勢は白のリードとなりました。その後白は右辺の黒模様に、右上隅との渡りを見ながら打ち込んで行きました。この打込みはあわよくば黒を攻めてやろうというもので、白が右辺に展開するのを黒が妨げることは出来ませんでした。残るは下辺から右下隅にかけてで、ここでの白の消しも成功しました。残るは左下隅で、ここの白を確実に活きておけば白に残ったのではないかと思いますが、白は下辺の出という大きな手を選択しました。結果的に左下隅は劫になり、劫は黒が勝って元々白地だったところが大きな黒地になりました。これでわずかに黒が抜け出しました。終ってみて黒の3目半勝ちでした。しかし敗れたとはいえ、牛女流最強の一回戦に続く力強い打ち回しが印象に残りました。

スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”Coming of Age”

スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”Coming of Age”を観ました。何と言うか良く分らないストーリーで、まずはピカードの長年の友人の提督のクィンが突然エンタープライズ号にやって来て、エンタープライズ号で何か不正が行われている可能性があるので調査を行う、と宣言します。そしてその部下のレミックがスタッフ一人一人に、ピカードの船長日誌の内容が正しいかどうか根掘り葉掘り聞いていきます。その高圧的な態度にスタッフはフラストレーションを募らせていきます。最終的には不正はまったく見つからなかったと、レミックはクィンに報告します。クィンの本当の目的は、最近連邦の中に様々な政治的な陰謀があるため、ピカードを提督に昇進させ、同時にスターフリートアカデミーの校長にし、自分の側に置いておこう、というものでした。しかしピカードはエンタープライズ号の現場に留まることを選びます。一方で、ウェスレーがスターフリートアカデミーの試験を受けますが、後一歩という所で落ちます。ピカードはウェスレーを慰めるため、実は自分も一回落ちた過去を打ち明けます。
という話ですが、ウェスレーがアカデミーの試験を受けるのと、ピカードが校長になるというのがまったく関連のない話になっているのがイマイチと思いました。校長を引き受けたら、ウェスレーを特例に合格にするとかいう裏取引がある、とかの方が話によりまとまりがあったと思います。

中村真一郎の「江戸漢詩」

中村真一郎の「江戸漢詩」を読了。あまり知られていませんが、日本で漢詩作りが一番盛んだったのは江戸時代の後半から明治の初めにかけてです。その証拠の一つは、明治時代の新聞には、必ずといっていいほど、読者投稿の漢詩の欄がありました。それほど漢詩作りが一般の人にまで広く行われていた訳です。乃木大将や大正天皇といった方はその最後のグループに属します。また私見ですが、現在日本にやってくる海外の観光客が称賛して止まない日本の文化というものは、ほとんどが江戸時代後期に熟成したものだと思います。例えば漫画やアニメの絵の元は江戸時代の絵師の絵で、手塚治虫の決して二度書きしない流れるような線は、浮世絵師の絵が元だと思います。
この本はそうした漢詩の全盛期の作品を、頼山陽みたいな有名な人だけでなく、かなり広い範囲で集め解説したものです。その題材も伝統的な風景を描写することに留まらず、生活の隅々までに及び、中には吉原の遊女についての粋なものも存在します。またこの時代女性の漢詩人が活躍したのも大きな特長で、例えば頼山陽の生涯を通じた愛人だった江馬細香が有名です。
漢詩は明治に入り、従来の漢籍の教養から西洋の科学へと人々の学習の重心が移っていくに従って衰えていきます。しかし漢詩もまた、日本人が外国の文化を自家薬籠中の物にするという典型の一つだということを、この本は教えてくれます。

KriptonのKX-1.5 外観補修

こちらは川崎の賃貸の方でメインに使っているKriptonのKX-1.5ですが、狭い部屋でスピーカーを取っかえ引っかえしたり、やむを得ず上に液晶ディスプレイを置いたりで、傷だらけになっていたので、思い付きでラッピングフィルムを上と側面に貼ってみたら良い感じになりました。前面の傷はアクリル塗料を塗りました。
KX-5PXと違って、クルトミュラーのコーンではなく、カーボンポリプロピレンですが、このスピーカーもなかなかいいです。能率が88dB/mあるので真空管アンプでも無理なく鳴らせます。

エディアルド・パニアグアの”Alarifes Mudéjares”

私のオーディオチェック用ソースその2。エディアルド・パニアグアの”Alarifes Mudéjares”。タイトルは「ムデハル様式の建築家達」という意味。ムデハル様式とは、レコンキスタ(キリスト教徒によるスペインの国土の奪回運動)の後、スペインに残ったイスラム教徒の技術とキリスト教が融合して建てられた、アラゴンなどに多く残っている建築様式のこと。
このCDはパニアグアらしく人を喰っていて、建築家達がノコギリを引いたり、トンカチで釘を叩いて、という教会を建てるシーンから入っています。音場は広大ですけど、縦長の建物の中というのが良く分り、左右は狭く、上が広いです。特に2階か3階に水盤か人工の泉があるのか、水が高い所から流れているのが面白いです。教会の外からは秋なのか虫の声がしています。そこで演奏される曲は、建築様式と同じでキリスト教とイスラム教が混じり合ったスペイン独特のものです。エディアルド・パニアグアは「聖母マリアのカンティガ」を多数録音していますが、カンティガの音楽ともかなり近いです。というかパニアグア一家のことですから、厳密な考証に基づくものではなく、かなりの部分想像によるものでしょうが。

ひかりTV(ドコモ)という最悪のサービス

今回購入した新居が、山の中で地デジの難視地域にあたります。一応藤野中継局というアンテナが新居から900mくらいの山の上に立っているのですが、アンテナ屋さんに来てもらって電波強度を測ってもらったところ、山蔭になるため最低でも35dBくらい欲しいのが21dBしか出ないということで、アンテナは断念しました。

それでTVをネットにつないで地デジを観るドコモの「ひかりTV」というのに申し込んだのですが、契約して2か月ぐらいで解約しました。まずは最初の説明だと、チューナー(セットトップボックス)をネットにつなぐだけでOKですよ、という説明でしたが、これが大間違いでIPV6接続というあまり一般的ではない設定でつなぐため、WiFiルーター(ASUS)経由でつなぐのに非常に苦労しました。サポートに聞いても、「ONUとルーターとチューナーの電源を抜いて10分ぐらい経ってから入れなおしてください」と言うだけで何の役にも立ちませんでした。結局Webで調べてASUSでIPTVを使う設定が分かったので、それを設定し取り合えずルーター経由で地デジを観られるようになりました。

ところが、回数で3回目、累計で5時間くらいしか使っていないタイミングで、地デジ視聴中に急にチューナーが落ち、そのまま電源を入れなおすことも出来なくなりました。サポートに問い合わせたら、例によって「電源を入れなおして…」かあるいは向こうから電話するので候補日時を3つ挙げろ、とかそういう回答だけでした。明らかにチューナーの故障なんで代品を強く要求し、やっと送ってもらいました。しかし今度は、最初にdアカウントでログインして使用開始するところで、DNSの名前解決エラーで先へ進めませんでした。これはきっと前のチューナーでの設定が残っているのだろうと、サポートに言ってそれを解除してもらいましたが、それでもつなげるようになりません。
それでドコモのサポートというのが、メールで問い合わせる度に担当者が変わり(つまり人数はかなり沢山いる)、しかもそれまでのやり取りの履歴をまったく参照せずに、不具合の詳細を教えろとか、「電源を抜いて…」とか、「電話するので候補日時を3つ…」を繰り返すだけでした。
それで分かったのが、このサポート部隊はおそらくドコモの携帯のサポート部隊と同じであり、ひかりTVについてはマニュアルがあってそれに書いてある回答をしているだけだということです。しかもCRM(顧客情報管理システム)みたいなものも使っていないようでやり取りの履歴が共有されておらず、本当に最悪のサポートでした。

ドコモについては、昔携帯電話の仕事をしていた時に、新しい携帯の機種のチェックのため半年だけ契約したことがあったのですが、それを解約する時「(短期の解約者として)ブラックリストに載りますけどいいですね」みたいな脅しを受けたことがあり、元々非常に悪い印象を持っていましたが、今回の件でその悪い印象が更に強くなりました。なお、「ひかりTV」の評判について検索してみましたが、「故障が多い」ということで納得しました。

結局、地デジについては、考えてみればNHKしか観ていないので、NHK+というWebブラウザーでNHKの番組を観るサービスに申し込みました。実際は30秒遅れの配信で、また高校野球など一部のコンテンツは配信されていませんが、私は朝の「おはよう日本」と日曜日の囲碁番組を観ているだけなのでこれで十分です。

手持ちのCDの枚数

新居への荷物運び、LP約1,700枚は完了、CDは7割程度完了です。
それで前から気になっていた、手持ちのCDの枚数が全部でどのくらいか、新居で全部ちゃんと棚に並べられそうなので、ラフに計算(英語で ballpark estimate と言います)してみました。そうすると4,300枚くらいになりました。写真の棚が700枚くらいですから、これの6個強くらいです。1枚平均1,000円として、430万円とちょっと高級な車が買える金額をつぎこんでいます。今はダウンロードとかストリーミングが主力ですが、場所を取るとはいえ媒体を持っているというのはある種の満足感があります。

NHK杯戦囲碁 小池芳弘7段 対 本木克弥8段(2023年8月6日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が小池芳弘7段、白番が本木克弥8段の対戦です。この碁は右下隅から戦いが始まり、最後まで続きました。その発端は右辺下方で黒が延びていれば普通だったのを、ハネて白が切ったため、激しい戦いが始まりました。右辺は白黒ともほぼ同型となり、両方が活き活きとなりました。この戦いで白は下辺で得をし、また中央の黒3子も半分死んだ形となりました。なので黒としては右辺から延びる白を攻めて得を図らなければなりませんでしたが、白は上手く上辺になだれ込んで活きました。その後いろいろありましたが、最後は中央の黒が切断されて眼が無く、攻め合いも2手ぐらい白が良いということになり、黒は最後に中央の白のダメヅマリを追及しましたが、セキ活きとなり、結果中央の黒の死が確定し、黒の投了となりました。