アン・バンクロフトの映画「卒業」

アン・バンクロフトの映画「卒業」を今さらながらに初めて観ました。観た理由ですが、サイモン&ガーファンクルの名曲「ミセス・ロビンソン」がどうもずっと思っていた歌詞の内容とは違うんではないかということを確かめたかったためです。まずミセス・ロビンソンは、この映画の主人公ベン(ダスティン・ホフマン)を誘惑し不倫を重ねる身持ちの悪い女性です。歌詞の内容はミセス・ロビンソンを褒め称えるようで、実は皮肉っているのが真相のようです。ただ、映画版の同曲はシングルカットされたのとアレンジが違い、歌い方にも皮肉る調子があり、また歌詞も少し違うようです。どうもシングルカットされる時に一般に受ける内容に変えたのではないかと思います。それから「サウンド・オブ・サイレンス」については「え、ここで使うの?」という感じで違和感がありました。逆に「スカボローフェア」については実にピッタリのシーンで登場します。何故かというと「スカボローフェア」は元々イギリスのバラードで、妖精の男性に結婚を迫る若い女性に対し、妖精が絶対に不可能なことを出来たら結婚すると言い、若い女性が負けず「じゃあこれをまずそちらが出来たら私もそれをやる」と不可能なことを要求し返す、という内容に基づいているからです。(「スカボローフェア」では、「針と糸を使わず縫い目が無いシャツを作ってくれ」「潮の満ち引きする間の砂地に家を建ててくれ」といったことが要求されます。)
また面白いのは、音楽でサイモン&ガーファンクル以外にデイブ・グルーシンが参加していることです。私はデイヴ・グルーシンは中本マリの「アフロディーテの祈り」で知りました。
映画の内容は非常に有名なのでコメントは省略します。

シャルランのLP

中野英男さんの「音楽 オーディオ 人々」という本の中に、トリオが日本で販売していたシャルランレーベルの話が出てきます。それを読んで「あれ、シャルランって持ってなかったっけ」と思いました。しかしその時は確かめていませんでした。今回、5月から3ヵ月かけて例のクリーニングマシンで手持ちのLPレコード約1,000枚を洗いました。それで棚卸しも出来て、シャルランのLP3枚を確かに所有していたことが確認出来ました。ORTF四重奏団のフォーレの室内楽です。現在このLP3枚はCD2枚組で復刻されています。今何十年かぶりに聴いていますが、うーん、高音質という感じはあまりしないですね。非常に自然な録音ということは確かですが、テープのヒスノイズが若干目立ちますし、また強音では音が少し歪んでいるように思います。私としては仏ハルモニアムンディやエラートの方が好みです。

NHK杯戦囲碁 一力遼碁聖・天元 対 佐田篤史7段


本日の(深夜2:15より放送)NHK杯戦囲碁は、黒番が一力遼碁聖・天元、白番が佐田篤史7段の対戦でした。この碁での最初の焦点は左下隅で、白の星に黒が三々に入ってからの大変化でした。黒が2本這って白がケイマしたのに黒が付けて白が押さえて、という変化で隅の黒と白の両方に眼が無く、結局黒の先手セキという別れになりました。これは既に定石化された手順とのことで二人とも時間を使わないで打ち進めました。しかし、あらかじめ調べていないでこれをすらすら打てる人はアマチュアにはまずいないと思います。いきなりの三々入りが元々昔はなかったので、この定石(?)も当然ありません。昔はプロはこのような大型定石は盤面のかなりの部分が形が決まってしまうので嫌って避ける人が多かったのですが、まあ時代の変化ですね。この別れは既にAIで互角とされているものであるため、当然AIによる形勢判定も五分でした。ちなみに一力碁聖・天元は最初の頃はダイレクト三々は打ちませんでした。しかしその後かなり研究したようで今はダイレクト三々の本まで出しています。
次の局面で焦点になったのは、黒が右下隅から下辺にかけて潜航艇のように低く打ち込んでからで、黒はただ中央に逃げていくだけの手を打たず、ここで治まるような打ち方をしました。この部分が一段落して次に黒は上辺の白の間が開いている中に打ち込んでいきました。白が当然包囲してきたのに黒は最強の手を打ち続け、最終的に活き形を得ました。しかし黒は後手で活きに行かず、右側の白を切って行きました。この積極策が劫を奏し、白は分断された左側を活きに行かなければならなくなり、結局上辺で黒が覗いたのに白は継ぐと全体を攻められてもたないため、妥協した手を打ち、黒は後手で活きるのではなく、白の種石を取ってつながる、という大きな戦果を挙げました。ここでAIの判定も黒の勝率が80%以上になり、白は打ち続けたものの、地合の差が大きく、黒の中押し勝ちになりました。

TOEIC Speaking Test 新形式第1回目を受験

TOEIC Speakingテスト、多分12回目。最近低迷しており、何回やっても過去の最高点(170点をこれまで3回取っています)を超えられないので、もう止めようと思っていました。しかし、今回から問題形式が変わり、一番苦手だった「電話で解決策を提案する」問題が無くなったのでもう一度人柱を兼ねて受けてみる気持ちになりました。その問題が無くなった代わりに、Part2の写真描写問題が1問から2問に増えています。ただ、これまで一つの写真に45秒だったのが一枚辺り30秒に短縮されています。
全体としては易しくなったように思います。ただ、これまでの試験と統計上の整合性を取るため、出来たと思ってもそれがより高い点につながるとは限りません。

以下それぞれのパートの感想です。

1. 朗読
これまで普通のスピードで読んで12秒くらい時間が余っていましたが、今回2問とも15秒余りました。ということは文が短くなっているのだと思います。それから、a, b, and c の構文で最初の2つは語尾を上げ、最後で下げるというのが良く出ますが、今回は2問ともそうでした。これは今回が初めてです。

2. 写真描写
2枚とも比較的説明しやすい写真でしたが、45秒から30秒に減った影響は予想以上に大きく、言うことを絞らないと中途半端で時間切れになります。2枚ともちょっとバランス的には失敗しました。

3. 市場調査、アンケート回答
仕事の日にどこでランチを取るかという問題。一番解答時間が長い3問目は「お客さんが来るのでこの辺りでランチでお勧めの店を教えて欲しい。」というもの。この場合、間違っても「今はパンデミックで外で食べるのはお勧め出来ないのでデリバリーサービスを使ったらどうか」などと複雑なことを言おうとしない方がいいです。複雑なことを言おうとして文法ミスをするより、簡単でも間違えないでしゃべる方が得点につながります。これはライティングの方も同じです。内容は架空なので適当に作ればいいです。これもまあ簡単でした。

4. 資料を見ながら解答する。
これが拍子抜けするくらい簡単でした。ある人が○○の本社からXXの営業所に出張する旅程表の話。鉄道で往復するだけの簡単な旅程。1問目が行きの列車スケジュール、3問目が帰りの列車スケジュールでほぼ同じで拍子抜けしました。通常は3問目は「午後のセッションを全て説明してください。」のような長い説明を求められますが、今回は帰りの列車の時刻表の詳細を言うだけでした。

5.意見を述べる
自分で話す内容を組み立ててしゃべるのが1問減ってかなり心理的に楽になりました。しかも今回は一番パターン化しやすい agree/disagree 問題でした。(大学であることを学生の必須科目にすることに賛成か反対か)ちょっと2つ目の理由で言いよどみがありましたが、一応予定していたことはギリギリ全部言えました。

Speaking と Writing テストはL&Rテストに比べて受験者が1/100であるためか、これまでずっと同じ形式が続いていて、変わったのは準備時間の長さくらいでしたが、今回の変更は歓迎します。まあ高得点が取れたという自信はないですが。(これまでの経験だと自分で予測するある範囲の得点の、最低点が実際の得点だと思って間違いないです。)まあこのテストについては英語会話力のベンチマーキングとしての有効性については大いに疑問がありますが、それはまた別の機会に書きます。

おかしな「日本は素晴らしい」報道について

今回のオリンピックで、外国人の記者やスタッフが「日本の○○に感動した」っていう報道、ほとんどある2,3の限られたサイトが流しているように思います。
例えば日本のコンビニが夜中の2時にでも開いていて感動した、とかがありますが、それはコンビニの多くが家族経営で、フランチャイズ契約のためやりたくないのに24時間対応している、といった実態を無視した馬鹿げた「日本素晴らしい!」記事だとかしか思えません。祭が終れば、後には3兆円の借金が残る訳ですが、そのツケは当然後の世代にそのまま送られます。1976年のカナダのモントリオールオリンピックも大赤字でその借金を返済するのに30年かかっていますが、日本の経済、これから30年間保つのかな?

スター・トレックの第2シーズンの”A Private Little War”

スター・トレックの第2シーズンの”A Private Little War”を観ました。スター・トレックとは思えないような、偏見とおかしな理屈丸出しのストーリーでした。昔カークが訪問して現地人と友好関係を築いた星に、医薬品の原料採取の可能性を求めてカークとスポック、マッコイが降り立ちます。しかしまだ槍とか弓矢の時代だった筈の原住民が火縄銃を持っていて、スポックが撃たれて重体になります。そしてエンタープライズ号は近くにクリンゴンの宇宙船を発見します。結局クリンゴンが2つの部族の片方に火縄銃の技術を教えていたものでした。カークは、白いゴリラみたいなの(原子力潜水艦シービュー号にも出てきました。これはそのぬいぐるみを持っているスーツアクターが演じているのだと思います)に襲われて嚙まれ、その毒で死にかけます。しかしカークの昔の知り合いの奥さんが一種のシャーマンで、呪術でカークの命を救います。カーク達はクリンゴンが銃の技術をもう一つの部族に教えているのを突き止めます。そこでカークが行ったのは、何と「勢力の均衡」のため、もう一方の部族にも同じ銃の技術を教えることでした。マッコイは反対しますが、カークはこれが唯一の方法だと言います。(使用すれば双方が死ぬ核兵器での勢力の均衡はあるでしょうが、このレベルの武器での勢力の均衡というのはあり得ないと思います。)そしてカークの知り合いの奥さんがカークに呪術をかけて誘惑し、フェイザーを奪いますが、それで敵を攻撃しようとして失敗し殺されてしまいます。この女性の描写も未開人の女性は男を誘惑して、という「君の名は」第二部のアイヌの女性の描き方と同じような性格に描写されています。という具合に、これまでのスター・トレックの世界とはまったく逆の偏見に満ちたストーリーでした。(英語のWikipediaの説明によると、ソ連と米国が代理戦争をしたベトナム戦争を暗示しているとのことです。)

LUXMANの真空管プリアンプCL-38uを導入

メインのシステムのプリアンプについては、色々試行錯誤していて、真空管アンプで3種類(エレキット、サンバレー。中華アンプ)試しましたが、どれもそれぞれに問題があり、暫定的に半導体アンプであるアキュフェーズのE-600のプリ部を使っていました。(フォノイコライザーはオプションボードのAD-50)
超三結アンプの時はこの組み合わせは結構良かったのですが、今回パワーアンプをKT88全段差動プッシュプルアンプに変えましたが、この組み合わせだと、若干音が硬質になりました。(全段差動プッシュプルアンプが定位が良くて音が引き締まった感じになりますが、それがある意味真空管らしさを減じている部分があります。)それで最後のボーナスももらったので、マッキントッシュのC8、上杉研究所のU・BROS-2011Pと、LUXMANのCL-38uを検討しました。条件は、(1)フォノイコ付き(2)バランス入力有り(3)リモコン付き(4)適当な価格、で比較して結局(4)の要素が一番効いてLUXMANのCL-38uを購入しました。さすがにいいお値段だけあって、今までの真空管プリとは大違いでした。パーツ類も良質なものを使っているようです。また操作感もなかなかいいです。ただリモコンが音量とミュートだけなんで。、出来れば入力切替えも欲しかったです。全段差動プッシュプルアンプとの組み合わせでは、若干ですがE-600に比べて柔らかさが戻ったと思います。なおフォノイコはMMポジションのみで使い、別に昇圧トランスを使っています。

おかしなインターネット請願の依頼には気を付けましょう。

先日、Facebookの友人が、「薬剤師にコロナワクチンの注射をさせることを許可させよう」というおかしなインターネット請願をシェアしていました。この件は色々調べると当の薬剤師会はそれをやりたいなどとはまるで言っておらず、またイギリスで薬剤師がワクチン接種したから日本でも認めるべきだ、という議論でしたが、これも調べてみたらイギリスでは健康保険制度が半分崩壊していて医者が不足しているため、薬剤師が今回のパンデミックの前から一定の訓練を受けた上でインフルエンザのワクチンを接種していた、という背景があって初めて成立したものでした。
そして今日もまた「医療・介護・保健所の「本気の充実」を求めます」というおかしな請願をシェアしていました。今のパンデミックの時期にこういう訴えはいかにも聞こえがいいですが、では病院や医者を増やす費用を一体誰が負担するのかという視点がまったく欠けている無責任な請願です。今、日本の健康保険制度も崩壊寸前に来ていて、多くの企業の健康保険組合が解散して、国でやっている「協会けんぽ」に移行しています。この「協会けんぽ」には多額の税金が投入されており、「協会けんぽ」の加入者が増えると当然それに使われる税金も増えます。もしこの請願が「医者と病院を増やすために消費税を20%にするか、現役世代の毎月の健康保険料の支払いが倍になることを我慢しよう」という内容だったらあなたは賛成しますか?
またこの請願が書いている統計データがデタラメで、日本の(人口あたりの)医師数はイギリスやアメリカに比べて2割だそうです。どこにそんなデータがあるんでしょうか?次のグラフで見ていただければ、デタラメがすぐ分かります。それにイギリスは健康保険制度がほぼ崩壊しており、病気になってもすぐ医者に診てもらうことは出来ません。またアメリカはご承知の通り、先進国の中でほぼ唯一国民皆保険制度が未だに実現していません。アメリカの医大は非常にお金がかかり、多くの学生は多額の借金(学生ローン)を負って卒業します。なので儲からない開業医(GP)のなり手は減っていて脳外科のように高収入を得られる医者になる人が増えています。そういった関係でアメリカの医療サービスはお金が有り余っている人以外には使えない制度となっており、そのため南米諸国に低価格でそれなりの水準の医療サービスを受けに行くツアーが大人気になっていたりします。そういった背景をすべて飛ばして、単純にアメリカの方が人口あたりの医師数が日本より多い、というのははっきりって人を騙そうとしている論理です。

「巨人の惑星」の”Doomsday”

「巨人の惑星」の”Doomsday”を観ました。キャプテン達が巨人の惑星の国に爆弾を多数仕掛けて戦争を起そうとする陰謀に巻き込まれ、SIDのコービックに恩を売る形でそれを阻止するという話です。ちょっと変わっているのが、フィッチューが陰謀団の女性が仕掛けた爆発物で足を折ってしまうのですが、それの治療に巨人の惑星の薬局から持ってきた万能抗生物質を使うんですが、強烈過ぎて一時的に仮死状態になります。その抗生物質を使って陰謀団の主犯の女性を気絶させて、その間に時計の針を進めて爆弾の場所を告白させるというのがちょっと面白いです。ただSIDとの関係もいい加減マンネリ感はぬぐえませんが。後は主犯の女性のペットのチンパンジーが、鳥籠に閉じ込められたキャプテン達が脱出するのを手伝ってくれるというのもまあ良かったです。

サンチャゴ・ナバスケスの「ギター音楽の3世紀」

私の愛聴盤、サンチャゴ・ナバスケスの「ギター音楽の3世紀」。(Eurodisk)
バチバチノイズだらけになっていたのが、クリーニングマシンによる洗浄で蘇りました。特筆すべきは演奏もですがむしろ録音。きわめて間接音の多い録音でおそらく小さな教会とかで床も壁も石だと思います。その間接音と直接音の混じり具合が絶妙です。全段差動プッシュプルアンプの良好な定位と相性が良いようです。長い間、このギタリストがどういう人なのか分かりませんでしたが、さすがインターネットで情報がありました。1933年生まれのスペインのギタリストです。10枚くらいレコードを出していたようです。