アーウィン・アレンの1960年代のTVドラマ作品の最後のものである、「巨人の惑星」全51話を観終わりました。例によってProsとConsを。
Pros
巨人の惑星の何気ない昆虫や動物がキャプテン達にとっては驚異の怪物となるという、まあ単純な面白さ。
キャプテン達を何とか捕まえようとするコービッド捜査官とキャプテン達のだましあいの面白さ。
巨人の惑星のリトル・ピープルならではの思わぬ活躍の仕方の多彩さ。
Cons
一応SFの筈だが、巨人の惑星が人間のサイズ以外はほとんど地球そのまま(キャプテン達の時代の地球から見たら遅れているけど、TV放映時の現実の地球から見たらほとんど同じ)で、SFという感じがあまりしない。ガリバー旅行記の巨人国と同じで、別に地球のどこかであっても構わないという感じでした。
このシリーズに限ったことではないですが、脚本のチープさ。ウィリアム・ウェルチの脚本が何本もあったのには本当にうんざりしました。
話の展開がかなりワンパターンで、ほぼ毎回誰かが巨人達に捕まってそれを皆が助け出す話が中心でした。
総じて、アーウィン・アレンの1960年代4部作の中では一番地味だったと思います。
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「巨人の惑星」の”The Marionettes”
「巨人の惑星」の”The Marionettes”を観ました。これが最後のエピソードで最終回ということになりますが、例によってキャプテン達が地球に戻るという話ではまるでなく、普通の巨人の惑星での出来事です。最後でよりによってまたウェルチ脚本です。キャプテン達がサーカスに火薬を盗みに忍び込みます。そこには自分の芸を売り込もうとする芸人が多数来ています。そうこうする内にボボというゴリラが逃げ出します。ボボは森の中に逃げ、ヴァレリーを捕まえてしまいます。そして罠に引っ掛かって足を挟まれます。そしてボボはヴァレリーを手に抱えたまま木に登って…ってこれ、ゴリラは巨人にとっては普通のサイズですが、キャプテン達にとっては巨大ゴリラ=キング・コングで、ほとんどそのままです。その内、マリオネット使いの老人がやってきて、ヴァレリーを助けてくれます。またベティーが別の罠にかかっていたのをも助けてくれますが、その時に彼自身が手を挟んで骨折しマリオネットを操れなくなります。恩を感じたベティーとフィッチューが、自分達がマリオネットに化けて老人のオーディションを手伝います。ベティーとフィッチューは歌うマリオネットの芸を披露します。(ベティーの歌が非常に上手いです。)しかし、サーカスの支配人はゴリラがヴァレリーを捕まえたことでキャプテン達が入り込んでいることを知っており、マリオットが地球人であることに気がつきます。キャプテン達はゴリラの檻に爆薬を仕掛けて鍵を壊し、ゴリラを暴れさせ、その隙に全員無事逃げ出します。キャプテン達はマリオット使いの老人に地球の方法を教え、なおかつ小形テープレコーダーを使って歌うマリオネットもフィッチューとベティー無しで実現して目出度し、という話でした。
クラレンス・ブラウンの「緑園の天使」(ナショナル・ベルベット)
エリザベス・テイラーとミッキー・ルーニーの「緑園の天使」(ナショナル・ベルベット)を観ました。いやー、エリザベス・テイラーの可愛らしいこと。この映画を観たのは名犬ラッシーの最初の映画にテイラーが出ていて、そのテイラーの2本目の映画がこれで観てみたくなったもので、テイラーはこの2本の映画でスターの地位を確立しています。面白いのが、この映画でのテイラー(ベルベット)のお父さんが、名犬ラッシーの少年のお父さんを演じていたのと同じドナルド・クリスプです。ミッキー・ルーニーが演じるマイはかつて騎手でしたが、レースで複数の馬がもつれて落馬し一人の騎手が死んでしまうという事故を経験し、馬に乗れなくなり、浮浪児のような生活をしています。たまたま亡くなった父親の住所録にベルベットの母親の名前があったので、ベルベットの住む村にやってきたものです。実はベルベットのお母さんは若い頃女性で初めてドーバー海峡を泳ぎ切った人で、その時のコーチがマイの父親でした。しかしマイはそのことを知りません。最初、一家の金を盗もうとしたマイですが、ベルベットの馬にかける情熱にほだされて、いつしか協力するようになります。実はこのエリザベス・テイラーとミッキー・ルーニーの二人が、眞子様と小室さんにかぶっていました。お母さんが「善を成すには悪を克服しなければならない」と言ったのが心に染みました。マイはベルベットに信用されて立ち直り、一緒に夢を追うようになります。眞子様と小室さんについては、日本中の人がよってたかって難癖を付けて二人の夢をつぶそうとしています。眞子様と小室さんについてもこの映画のようにハッピーエンドになればいいと心から思います。映画は結局全英の大障害レースにベルベットの馬のパイが出るのですが、予定していた騎手がベルベットを見て馬鹿にし金のためだけに騎乗しようとしているのを、ベルベットが怒って自分が髪を切って騎手になりすましてレースに出ます。何頭も落馬する過酷なレースですべてをパイに任せたベルベットは、30もの障害を次々に乗り越え、最後は見事優勝しますが、直後にベルベットが落馬して、運び込まれた医務室で少女であることがばれ…という話です。いい映画でした。
スター・トレックの第2シーズンの”The Omega Glory”
スター・トレックの第2シーズンの”The Omega Glory”を観ました。脚本はジーン・ロッデンベリーが書いているのですが、何だか変な話でした。エンタープライズ号がオメガ4という星に接近すると、そこにはUSSエクスターが周回軌道を回っていました。しかし通信にエクスターは答えなかったため、カーク、スポック、マッコイ達4人はエクスターに転送で移動します。そこではクルーは体の水分をすべて奪われ、結晶物だけが残っていました。残されたログから、エクスターのクルーは何かの病原菌に冒されたのであり、カーク達も既に感染しており、助かるためには惑星に降り立つしかないと言われ、カーク達はそうします。そこには中国のようなコムズという部族と、野蛮なヤングズという部族が争っていました。細菌はどうやら過去の両部族の細菌兵器による戦争のためみたいでした。そこにまたエクスターの船長のトレーシーがいました。トレーシーはコムズに味方して、フェイザーで多くのヤングズを殺していました。その理由はこの星には細菌への抗体だけでなく、1000年も生きる長寿命を可能にする何かがあると思ったからでした。トレーシーはマッコイに長寿の秘密を探らせ、カークは捕まえていたヤングズの2人(男女)の檻に入れ、争わせます。途中でカークはヤングズ達が英語を理解することを発見し、一緒に協力して牢屋の窓の鉄棒を外しますが、外し終った時ヤングズの男はカークを殴り倒して逃げます。その後気が付いたカークがスポックと共に逃げますが、またトレーシーと争いになります。しかしその争いの間に全員ヤングズに囚われてしまいます。そしてカーク達がヤングズ達の儀式を見ていると、彼らが誓いの言葉を述べているのは、なまっていますがアメリカの「国旗への忠誠」でした。そして彼らは旧い星条旗も持っており、また彼らが聖典として持っていたのは合衆国憲法でした。トレイシーはしかし、カーク達が天国から追放された悪魔だと言い張り、証拠がスポックの耳だと言います。結局カークとトレーシーは素手でどちらが正しいか戦うことになります。スポックはその戦いの間にヤングズの女性に催眠術をかけてコミュニケーターをONにさせます。その音声で状況を把握したエンタープライズ号のスールー達が救援隊を転送させ、キャプテン達は解放され、トレーシーは逮捕されます。
という内容ですが、しかし何故遠く離れた惑星に地球と同じヤンキースと中国人がいるのかの説明はまったくありませんでした。星条旗や合衆国憲法まで出て来るのはご都合主義的過ぎます。まあヤンキースの方が原始人みたいに描写されているのは面白いですが。
巨人の惑星の”A Small War”
巨人の惑星の”A Small War”を観ました。父親に与えられた、リモコンで操作する兵士のおもちゃにすっかり夢中の少年が、キャプテン達を敵のValvoのスパイだと思いこんで、オモチャの兵士、オモチャのタンク、オモチャの飛行機などでキャプテン達を攻撃します。その少年はキャプテン達の宇宙船もたまたま見つけてしまい、オモチャの飛行機で石ころを使って「爆撃」までします。マークは少年が本当に自分達を殺そうとしていると、少年を攻撃に行きますが、捕まって捕虜収容の小屋に閉じ込められます。少年は鉄条網に高圧電流まで流します。しかしダンがオモチャの機関銃によって傷つき、血を流したのを見て、なおかつベティーが説得したのでようやく少年もキャプテン達がValvoではないことを理解します。しかしそこに少年の父親が戻って来て、話を聞いてそれはオモチャの兵士ではなく、リトル・ピープルだと言って、捕まえたら賞金がもらえると、キャプテン達を探し回ります。運悪くフィッチューとベティーが父親に見つかり、モグラ穴の中に閉じ込められます。そこでキャプテンがオモチャの飛行機に乗り込み、父親を攻撃しますが、逆に石を投げ付けられてキャプテンは気絶してしまいます。しかし少年がリモコンで飛行機を無事に着陸させたのでキャプテンは助かります。しかし子供がミニチュアの何かでキャプテン達を困らせるというのは、前にミニチュアの街の話でもありました。
スター・トレックの第2シーズンの”By Any Other Name”
スター・トレックの第2シーズンの”By Any Other Name”を観ました。エンタープライズ号はある惑星からの救助信号を受信してその星の上に4人が降り立ちます。すぐに男女2人を見つけますが、男は「降伏してエンタープライズ号を引き渡せ」と言います。抵抗しようとしたカーク達はパラライザーで動けなくされます。この2人はアンドロメダ星雲からやってきており、その星雲の放射能レベルが上がって住めなくなり、新しい住処を求めて銀河系にやってきたのが、銀河系の端にあるエネルギーのバリアで彼らの宇宙船が損傷し、一度アンドロメダに戻るため、エンタープライズ号を使おうとしたものでした。すぐに他のメンバーがエンタープライズ号に転送され、エンタープライズ号を制圧します。彼らはまたエンタープライズ号で星雲間飛行が出来るように改造までします。スコットとスポックは、反物質を使ってエンタープライズ号を自爆させることを提案しますが、カークはそれを実行しませんでした。結局エンタープライズ号は上手くエネルギーのバリアを突破し、アンドロメダ星雲に向かいます。カーク、スポック、マッコイ、スコットの4人以外は、食料が不足するとして中和され小さな岩石にされてしまいます。しかしカーク達はアンドロメダのエイリアンがエンタープライズ号を使うためには人間の形を取るしかないことを理解し、彼らが慣れていない人間的な感情を誘発して彼らの油断を引き出そうとします。カークは女性のケリンダに近づき、彼女にキスの仕方を教えます。それを見た一行のリーダーのロジャンはカークに激しい嫉妬を覚えるようになります。一方スコットはあるエイリアンに強い酒を勧め、酔い潰して見事パラライザーを奪いますが、自分も結局つぶれてしまいます。またマッコイはあるエイリアンに興奮剤を注射し、ロジャンと喧嘩するように仕向けます。カークがケリンダと愛しあっているのを見たロジャンは、パラライザーを使わずに肉体の力でカークと戦います。ロジャンを押さえ付けたカークは、このまま人間の体で旅を続ければアンドロメダに着く頃はすっかり人間と同じになり、つまり元の星の人にとってはエイリアンとして扱われると説得し、銀河系の中で最初にエイリアン達がいた星を住処とすることを提案し、エイリアンも結局それに従います。知性で敵わない相手を感情で混乱させるというのは、これまでもコンピューター相手とかで出てきていて、ワンパターンといえばワンパターンです。
「巨人の惑星」の”Graveyard Of Fools”
「巨人の惑星」の”Graveyard Of Fools”を観ました。今までの中で一番デタラメでストーリーが無茶苦茶なお話でした。キャプテン達が二人組の巨人に捕まって、リモコン操縦の模型飛行機に乗り込まされて「馬鹿者どもの墓場」という場所に送られます。途中、キャプテン達がリモコン操作を出来なくして自分達で操縦し出したので、二人の巨人はパワーアクチュエイターという一種の物質転送機みたいなもので、キャプテン達を墓場に飛ばします。何で巨人達がそんな高度な技術を持っているかというと、異星人が置いていった、というだけの説明。もはや何でもありです。結局模型飛行機が運んだのはそのパワーアクチュエイターを修理する部品で、それをチューブの中に取り付けるのにキャプテン達が必要だったということです。しかしキャプテン達は捕まっている間にそのパワーアクチュエイターの動かし方を見つけ、再度模型飛行機に乗り込んで、元の出発場所にいるマークの力も借り、墓場を脱出します。パワーアクチュエイターはしかし加熱して最後は大爆発というオチですが、一体この話は何が言いたかったのかさっぱり分かりません。そういう意味でこれまでで最低です。それからまたもトカゲ恐竜登場、といっても「巨人の惑星」では単なる普通のトカゲがキャプテン達から見て巨大だというだけですが。またマークが捕まえられたフォースフィールドは以前出てきたものの転用ですし、パワーアクチュエイターもどうやら原子力潜水艦シービュー号の原子力エンジンの転用ではないかと思います。
「大魔神逆襲」
「大魔神逆襲」を観ました。これが三部作の最後で1966年の11月の公開です。今回は雪山の魔神で、冒頭では決して良いだけの神ではなく、人間に災害をもたらす荒ぶる魔神として描写されます。またこれまで2作は女性の涙で大魔神が呼ばれましたが、今回は悪い武士に捕まって労働をさせられている木こり達を探しに行く子供達4人(途中で一人溺れて3人になります)が、大魔神を呼び出すことになります。更には新機軸としては、大魔神の化身として鷹が登場します。子供たちが親たちを探しに魔の山に入って行く過程がちょっと長すぎて中間がだれます。また前2回のように悪者が直接魔神像に対して何か不敬なことをやるというのがなく、最後に悪者が大魔神にやられるシーンが今一つカタルシスに欠けるような気がします。今回人間側が大魔神を攻撃する武器として大砲が登場しますが、これも大魔神は蹴散らします。この第三作は興行的にはあまり良くなかったため、これが大魔神シリーズの最後になってしまいます。しかしこの三部作の成功は、何といっても大魔神の造形と特撮で、よくもここまで恐ろしい魔神を作れたものだと思います。
「大魔神怒る」
「大魔神怒る」を観ました。大魔神シリーズの2作目で、1966年のお盆に公開されたようです。夏の公開のせいか、今回の大魔神は湖の中の小島に鎮座しています。それでいつものパターンで悪逆な武士達が領民を苦しめ、大魔神の石像を爆破し、石像の破片は湖に沈みます。そしてあるお姫さま(藤村志保)の祈りと涙によって大魔神が登場する訳ですが、そのシーンでは湖の水が真っ二つに割れて、とこれは明らかにセシル・B・デミルの「十戒」の映画でモーセが海を割ってユダヤの人々を逃がすシーンのパクリです。パクリと言えるのはもう一つあって、最後に沈んだ大魔神の小島の鐘が湖の底から鳴り響くのですが、これはハウプトマンの「沈鐘」からのようです。後私にとってうれしかったのは、度々平と昇太の母親役で橘公子が出ていたことです。この時45歳くらいでしょうか。(橘公子は戦前の「富士に立つ影」や戦後すぐの「狐の呉れた赤ん坊」などで知られる美人女優です。)
それから今回は人間側の大魔神への攻撃もスケールアップして火薬で大魔神を爆破しようとしますが、大魔神はびくともしないのはお約束通り。しかし、この映画でも特撮の見事さは光っていて、大魔神と普通の人間がからむシーンで違和感がまったくありません。実際には大魔神は着ぐるみで中には人が入っているので、実サイズは等身大です。いわゆるブルーバック合成で画面を作っています。
スター・トレックの第2シーズンの”Patterns of Force”
スター・トレックの第2シーズンの”Patterns of Force”を観ました。1960年代のアメリカのSFものTVドラマには必ずといっていいほど登場するナチスドイツもの。エンタープライズ号は、エコスとジーオンという2つの星系の監視に派遣されていた、元カークのアカデミーでの先生だったジョン・ギルからの連絡が途絶えたのを調査するため、エコスに向かいます。エンタープライズ号からの呼びかけに対しギルからの返事は無く、カークとスポックは転送装置でエコスに降り立ちます。そこは何とナチスドイツそのものの社会で、2人はジーオンのスパイだとして捕まります。そしてジョン・ギルがエコスで「総統」と呼ばれて崇拝されているのを知ります。カーク達はジーオンの地下工作員と協力してなんとかギルに会って訳を聞こうとします。そして総統のジーオン攻略作戦のための最終スピーチが行われる会場に忍び込みます。カークはギルが薬物によって昏睡状態で強制的に喋らされていることを察知し、マッコイをナチの軍医の格好で転送するよう命じます。マッコイが打った気付け薬でギルはなんとか質問に答えられるようになり、ナチス式を導入した理由は、エコスの無法社会に対してはナチス式がもっとも短期間に有効な結果を残せるから選択したと答えます。しかし途中でメラコンという男がギルを裏切って自分でジーオン征服を進めようとし、ギルを昏睡状態にして操っていたということです。カークはギルに再度気付け薬を打ち、ジーオンへの侵略作戦を中止する演説をさせ、そしてメラコンこそ裏切り者であることを暴かせます。逆上したメラコンがギルのいる部屋に向かって銃を撃ち、ギルは倒れます。ギルはカークに向かって「歴史家が歴史に学べなかった」という言葉を残して息絶えます。なおこの回は1995年まではドイツでは放送されなかったそうです。日本でもタイムトンネルで真珠湾攻撃と硫黄島での戦いの2話は放送されませんでした。