真空管アンプの本を色々読んでいますが、「スイッチの接触が悪くなったら接点復活剤を使いましょう」なんてのが書いてあってびっくりします。市販の接点復活剤はほとんどが化学的な合成油を溶剤に溶いたようなものが多いようです。この場合ピンポイントにスイッチ接点だけに付けて拭くのならまだいいですが、大抵がスプレー式で隙間から細いノズルを入れて吹き付けるようなものが多いようです。この場合油ですから乾かずにそのまま絶縁物や金属の表面に付着したまま残ります。機器をクリーンルームで使っているならいいですが、普通家庭で使うならホコリ・ゴミが無いということはありえません。油の上にそういったゴミやホコリが積もって混じり合い、スラッジという泥状のものになります。そうなると絶縁性が低下し、場合によってはトラッキング現象が起きて最悪発火という事になりかねません。また逆に接点間にそういうものが入ることによって接触抵抗が上がってスイッチとして使えなくなるという可能性もあります。そもそも安物のロータリースイッチとかなら接点が外部に露出しているものもありますが、普通はスイッチの内部にあって接点だけに直接接点復活剤を付けることはまず不可能です。また一時的に接触が復活したように見えても中長期ではトラブルになる可能性大です。そもそもスイッチの接点の損傷は、硫化といって銀の表面が黒くなるようなもの以外に、アークによってスイッチ接点の材料がどんどん減っていくのと2種類が主で、前者に接点復活剤は多少効くかもしれませんが、後者には無意味です。スイッチを長持ちさせるには、
(1)(電源スイッチなら)スパークキラーを入れる
(2)時々操作する
などが基本です。それで最終的に接点が本当にダメになったらそれは交換するしかありません。スイッチは基本的に消耗品です。
スイッチと接点復活剤
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