また村上もとかで、「フイチン再見!」を読みました。
「フイチンさん」は上田としこの漫画で、連載当時手塚治虫の「リボンの騎士」に負けない人気を誇った作品です。私はさすがにこの漫画の連載時は幼児であり、また少女マンガを読む習慣も高校生になるまで無かったので、「フイチンさん」も上田としこも知りませんでした。しかし村上もとかは私より10歳年上であり、幼少の頃女の子の遊び友達の家にあった「フイチンさん」をリアルタイムで読んでいます。また「龍-RON-」でハルビンが出てくる話を書くときに、ハルビンで生まれ育った上田としこにインタビューして、それで上田としこの波乱に富んだ人生を知ってこの作品となったということです。「フイチンさん」が人気絶頂の頃、その担当の編集長が、中国大使館から抗議が来ることを恐れて連載をストップしようとする、というのが出てきます。確かにフイチンさんの絵を最初見た時に、現在ではタブー視されている「細くてつり上がった目」という類型的な中国女性描写なので、ちょっと危なさを感じました。しかし実際には中国から抗議は来たりせず、「フイチンさん」は上田としこの代表作として残りました。上田としこは「サザエさん」の長谷川町子の3つ上であり、この2人が女性の漫画家という職業ジャンルを確立したのだと思います。また上田としこは手塚治虫のある意味盟友で、お互いに励まし合う関係だったようです。村上もとかの作品らしく、読後感がとても爽やかです。
村上もとかの「フイチン再見!」
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