NHK杯戦囲碁 田中康湧4段 対 広瀬優一7段(2023年7月30日放送分)令和の新布石?


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が田中康湧4段、白番が広瀬優一7段の対戦でした。布石では、広瀬7段が実に独創的な手を連続して打ちました。まずは右下隅ではさまれた時に二間に飛んだのは、これは昭和の時代に良く打たれた手ですが、その後にさらに上方に三間に飛んだのは初めて見ました。AIが示していた肩付きに比べ黒を固めていないという利点はあるものの、ふわっとした捉えどころの無い手でした。さらに驚いたのが左辺の中央に6線に打った手です。そもそも左上隅、左下隅とも三々なので普通は模様の碁にはしにくい形ですが、それにも関わらず富士山型に6線に打つという発想は面白いです。最近、ほとんどAIの真似ばかりしている棋士が多い中自分の碁を打とうとする姿勢は好感が持てました。
ただ、白は厚みを活かした攻めが上手く行ったかというとそうではなく、上下の黒を追いかけたけど、左右どちらかの白が見合いで取られてつながって活きてしまったのは大きなマイナスでした。ただその後、結局中央の白4子を捨てて、右辺の白3子を引っ張り出し、結局黒4子を取って生還したのは大きな成果で、白がかなり盛り返しました。しかしその後また一波乱あって、結局この取られていた黒4子が復活する順が生じてしまいました。それでも地合を計算してみると、意外にもAIが示している勝率の差ほど開いておらず、ヨセ勝負になりました。しかし最後に白の見落としなのか、2子を当てられて継げない(継ぐと大石が劫になってしまう)ということになり、これで黒が抜け出しました。最終的には黒の2目半勝ちでした。広瀬7段の布石が悪かった訳ではありませんが、まとめるのが難しかったということは言えると思います。