白井喬二の「忍術己来也」を読了。「自来也(じらいや)」ではなくて、「己来也(こらいや)」です。1922年(大正11年)に「人情倶楽部」に連載されたもの。芥川龍之介が賞賛した作品です。
お話しは、忍術を良くする大泥棒の「己来也」と、面師「烟取下衛門(けむりとりくだりえもん)」の二度に渡る忍術勝負を描いたものです。「己来也」は攻める術を得意とし、「下衛門」はこれに対し守る術を得意とし、二人の戦いはがっぷりとかみ合います。1960年代に忍術ブームがあって、小説では山田風太郎、漫画では白土三平らが活躍しましたが、そうした忍者ブームの原点みたいな作品です。主人公が面師ですが、「富士に立つ影」でも面師が出てきましたし、「神曲 左甚五郎と影の剣士」でも彫刻師の左甚五郎が主人公でした。白井喬二の好きな設定ですね。
白井喬二の「忍術己来也」
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