白井喬二の「祖国は何処へ」[4]心影篇

jpeg000-12白井喬二の「祖国は何処へ」第四巻、心影篇読了。
下志津原の模範牢を脱獄した臺次郎は、途中で寝ていた少年の衣服を盗み、その少年がその後で自害してしまったため、その少年と間違えられて、今は死んだと思われていました。臺次郎は再び江戸に出てきて、名を白瀧の乙五郎とし、侠客として暮らし始めます。臺次郎の敵である水野忠七郎は、越後の地主阿佐太夫と組んで、小作人の娘を支那船に売ったり、米の買い占めを行って暴利を得たり、海鮮物に新たな規制を導入して、そこから利益を得ようとするなど、悪の限りを尽くします。その過程で臺次郎の古巣である品川の海産問屋木戸屋が標的にされ、大変な目に遭うのを臺次郎が恩返しをしようと奔走します。臺次郎には、母親を阿佐太夫によって飢え死にさせることになった田村喜徳や、以前水野忠七郎によって姉を陵辱された妻木幡乃助や不良少女のお吉と一緒に水野一派と戦っていきます。忠七郎はお吉を暴力で犯そうとして臺次郎の住処をしゃべらせたため、臺次郎と幡乃助は再び江戸を出奔し、船で島将軍のいる島を目指すことになります。

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