白井喬二の「祖国は何処へ」第三巻。尖端篇を読了。
幕府は、島将軍一派を多数捕まえる方針を立て、捕まえた者達を閉じ込めておくため、下総の国の下志津原に、新しい牢獄を建設する計画を立てます。その所長は衣笠陣内という者で、西洋の牢獄を実地に見てきており、新しく西洋式を取り入れた牢獄を建設します。南條芳之とその妹のお才、そして金乃美も実はその近くに潜んでいました。新しく建設された獄舎に、江戸から囚人が送られてきましたが、その中に臺次郎がいるかどうか、つまり臺次郎が生きているかどうかが三人の一番の関心でした。お才は洗濯女としてその獄舎に入り込み、囚人の中に臺次郎がいるかどうかを確かめようとします。芳之は、臺次郎を思う金乃美に嫉妬し、思い通りにならない恋に狂い、酒色にふけって、危うく仲間から斬られかけます。しかしながら、金乃美に対し、もし囚人の中に臺次郎がいないことがわかったら、自分と結婚してくれるように頼み、承諾を得ます。お才は、ある時牢番から、獄内の囚人の年齢を聞き出し、三十才以下のものはいないと聴いて、臺次郎はいないと判断します。この結果、芳之と金乃美は結婚することになりました。しかし実はお才の判断は間違いで、臺次郎は牢の中にいました。牢番の中に、昔臺次郎が助けたことのある喜徳がおり、喜徳は昔の恩を返そうと、臺次郎の牢の鍵を外しておき、臺次郎を逃がします。金乃美は婚礼の当日に、臺次郎が脱獄したことを聞き、初めて臺次郎が生きていたことを知ります。
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