トワイライト・ゾーンの”Walking Distance”を観ました。ニューヨークで広告代理店のメディア担当の部長として働く、36歳のマーティン・スローンはある日そんな暮らしが嫌になり、車を飛ばして田舎を訪れます。ガソリンスタンドで給油とオイル交換をしようとしますが、その店員にホームウッドという町までどのくらいの距離かと聞き、1.5マイルという答えに歩いてそこを訪れることにします。その町は彼が25年前まで住んでいた故郷でした。昔のままのドラッグストアで昔頼んでいたアイスクリームソーダを注文したら、その価格が昔のままの10セントでした。彼は自分の生家の方に近付いたら、彼と同じくマーティンという名前の10歳くらいの男の子と知り合います。その子はマーティンが10歳の時にしたように、自分の名前をメリーゴーランドの柱にナイフで刻んでいました。彼が話しかけると男の子は怒られたと思い駆けだして逃げていきました。その男の子の後を追いかけると、ある家に入って行きました。それはマーティン自身の生家そのままでした。そしてドアをノックして出てきたのは、彼の(彼が10歳当時の)両親でした。しかし、両親はマーティンのことを狂っていると思って相手にしません。その内マーティンはあることを思い出し、免許証が入った財布をそこに落としたまま、男の子を探しに行きます。男の子はメリーゴーランドに乗っていました。マーティンは彼に注意しようとしますが、男の子は逃げ回り、その内間違ってメリーゴーランドから落ち、足を折ってしまいます。マーティンはまさにそのことを注意しようとしていたのでした。そこにマーティンの父親がやってきて、免許証の名前やまた未来の日付の紙幣などを見て、マーティンが未来から来たことを理解します。そして彼に元の世界に戻るように忠告します。そして突然彼は元の時間に戻り、ドラッグストアに再度入りますが、クリームソーダの価格は35セントになっていました。マーティンは過去の思い出を胸にニューヨークに戻っていきます。タイムトンネルで真珠湾攻撃の時に、トニーが死の間際であった実の父に会い、その父もトニーが自分の息子であることを認めるというシーンがありましたが、あれを思い出しました。
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白井喬二の「私の歴史文学観」(エッセイ)
白井喬二のエッセイ「私の歴史文学観」を読了。「季刊 歴史文学」という雑誌の1974年11月発行の創刊号に寄せたものです。この時白井喬二は85歳ですが、「歴史と文学」という名前の雑誌からまだ意見を求められるぐらいの知名度はあったようです。内容については、これまで白井が色んな所で述べていることと大きなずれはないのですが、ちょっと面白いのは「国史挿話全集」について言及していることです。これは白井が全国のいわゆる歴史上の有名人物に関する逸話(アネクドーツ)を集めたものですが、全国の知事が収集に非常に協力してくれたと書いています。白井の真骨頂の一つは、怪しげな文献(多くは実在しない)に基づいているとする不思議なエピソードをちりばめることですが、単なる想像だけではく白井の場合はどのような文献があるかを小説家としてこれ以上いないくらい知った上でそうした怪しい文献を創作しているのであり、そこに「いかにもありそうな」という疑似リアリティーが生れます。白井の「国史挿話全集」はさすがの私でも、全部読むことは出来ず、パラパラと眺めた程度ですが、実は日本の大衆の歴史観を知るという意味で貴重な文献なのかもしれません。
NHK杯戦囲碁 志田達哉8段 対 田中康湧3段(2022年4月10日放送)
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が志田達哉8段、白番が初出場の田中康湧3段の対戦でした。志田8段は棋風通り着実に実利を取って打ち進めていましたが、上辺で白に割り込んで節を付け、切って行ったのはいいかと思いますが、その切った石をあっさりシチョウで取らせたのはどうかと思います。確かにその後シチョウアタリを打てて右辺に展開出来ましたが、AIの評価もそれまでの黒優勢から白優勢に変わりました。白はその後右辺の黒への攻めを見ながら左辺に打ち込み、左辺の黒を2つに分断して結局1線を渡らせるなど寄り付き、中央の地こそ出来ませんでしたが、下辺を盛り上げ、黒もヨセで追い上げましたが届かず、白の1目半勝ちに終わりました。
キャプ テン・スカーレットの”Expo 2068″
キャプテン・スカーレットの”Expo 2068″を観ました。何というか、キャプテン・スカーレットの各ストーリーの中でもっとも典型的なパターンの話でした。今回、ミステロンズの予告は北米の東海岸に破滅をもたらす、というもの。狙われたのは、ある発電所に原子炉を輸送するトラックとその運転手で、キャプテン・ブラックが道路標示を細工し、トラックは崖から転落し運転手は死にます。そしてミステロナイズされた運転手は途中で予定の道をそれて原子炉をどこかに持ち込みます。その時に制御装置のバルブを取り外したので、原子炉はゆっくり暴走を始めます。キャプテン・ブラックは、ある博覧会の会場に物資を輸送するヘリコプターの操作手を銃で脅して、原子炉をその会場に持ち込もうとします。キャプテン・スカーレット達がその目論見をキャッチし、キャプテン・スカーレットがその原子炉のコンテナに乗り移って原子炉を止めようとします。それには何とか成功しましたが、操作手がブラックに殺されたため、ヘリコプターはビルの屋上に衝突し大爆発しましたが、例によって大怪我を負ったスカーレットはすぐに生き返るという話でした。
このエピソードを入れて残り4話ですが、ちょっとあまりにもワンパターンで展開が容易に読めるエピソードでした。
全段差動プッシュプルアンプ-電力増幅部の定電流回路
ぺるけさん設計の全段差動プッシュプルアンプでは、定電流回路に、電圧増幅部では定電流ダイオード、電力増幅部では三端子レギュレータを使っています。この内後者の三端子レギュレータについては以前から?と思って来ました。三端子レギュレータは電圧を降下させて一定の電圧を得る部品ですから、それに固定抵抗を付ければ定電流になるという理屈は分かります。しかし定電流ダイオードというそれ専用の部品があるのに何故使わないのだろうという疑問です。確かに電力増幅部での電流値は電圧増幅部に比べると10倍以上高いので、「一本の」定電流ダイオードで、例えば今私が作ろうとしているアンプで必要な56mAを賄えず、例えばSEMITEC(旧石塚電子)のEシリーズだと最大のピンチオフ電流は18mAまでです。しかしもっと高い定電流値が欲しいのであれば、複数の定電流ダイオードを並列に使えばいい筈です。実際に、公称15mAのと18mAの定電流ダイオードをそれぞれ20本買い、先日の方法で定電流値を実測し、56mAになる組み合わせを探しました。その結果、
Rチャンネル用:12.3mA + 14.6mA + 15.3mA + 13.9mA = 56.1mA
Lチャンネル用:11.7mA + 15.4mA + 15.3mA + 13.6 mA = 56.0mA
という具合に4本並列にすることで、2チャンネル分でほぼ目的の定電流値の回路を組むことが出来ました。注意点としては定電流ダイオードは発熱するので、あまり近接させて実装しない方がいいということがあります。まだこれで上手くいくかどうかはやってみなければ分かりませんが、少なくともノイズ源になる三端子レギュレータよりもこの方がオーディオ用としてはまっとうだと思います。
なお、電圧は7.8V x 2で15.6Vであり、各定電流ダイオードはDC30VまでOKですので、まったく問題無いと思います。
トワイライト・ゾーンの”The Sixteen-Millimeter Shrine”(16mmの神殿)
トワイライト・ゾーンの”The Sixteen-Millimeter Shrine”(16mmの神殿)を観ました。バーバラ・トレントンは大女優で、1930年代に何本もの大ヒット映画に主演しました。しかしそんな彼女ももう40代半ばとなり、容色は衰え、仕事のオファーは母親役です。彼女はそんな現実に目を背け、自宅の一室でかつての自分の主演映画の16mmフィルムを何度も何度も観て、スクリーンの自分の演技を真似するのが日常でした。そんなある日、彼女と昔共演した男優が彼女を訪ねてやって来ます。喜んで化粧して若作りした彼女でしたが、現れたのはビジネススーツを着たくたびれた中年男性でした。「あなたはタキシードを着て、シャンパングラスを片手に持って…」と彼女が言うと、元男優はそれは20年前の話で、今はシカゴでスーパーマーケットを経営していると言います。それから彼女の自分の映画への耽溺はいっそうひどくなり、寝る間すら惜しんで16mmフィルムを見続けていました。そんなある日、家のお手伝いさんが彼女の部屋に行くと、そこに彼女の姿は無く、ふとスクリーンを見ると、そこにかつての自分の映画の世界に行ってしまった彼女がいた(昔の若い自分とは別に)、という話です。何かちょっと原節子を思い出しました。トワイライト・ソーンはあまりSF色は強くないこういう話が多いようです。
真空管アンプ-定電流ダイオードの測定
真空管アンプ作り、今日は差動アンプの肝の部品である定電流ダイオードのピンチオフ電流のばらつきを測定しました。定電流ダイオードのバラツキは、実はプラスマイナス20%ぐらいもあってかなりばらついていますので、左右の回路で一本ずつ使う場合にはそのピンチオフ電流が揃っている必要があります。測定方法は下の右の写真の通りで、定電流ダイオードと1KΩくらいの抵抗を直列につないで、スイッチング電源で9Vをかけて、抵抗の両端の電圧を測定し、それを抵抗値で割って電流値を出します。思ったほどよりはばらついていませんが、それでも工程能力指数は1ギリギリでしかも下側に偏っています。今回のアンプには2番と14番のを使います。
本日の「カムカムエヴリバディ」と獅子文六の「悦ちゃん」
今日の「カムカムエヴリバディ」(朝ドラはいつも最初の5分くらいだけ観て家を出ますが、カムカムの後半の怒濤の伏線回収が見事で録画して観ています)、怒濤の展開で今日はついにアニー・ヒラオカがラジオ番組のインタビュー中で突然日本語で自分のことを語り出し、るいに対して「普通の暮らしがしたかっただけなのに…」と呼びかける内容でした。浜村淳さんお年を召されたなあ、と思って見ていました。いわゆる放送事故ですが、これはひょっとしたら獅子文六の「悦ちゃん」へのオマージュもあるのかなと思いました。「悦ちゃん」では和製テンプルちゃんとして売り出した悦ちゃんがラジオに出演し、「パパママソング」を歌うのに途中で歌詞を変え、「碌さん(悦ちゃんのお父さん)どこにいるの、帰って来て!」と叫ぶ放送事故を起こし、それで和製テンプルちゃんの地位は失うけど、放送を聴いた行方不明だった碌さんがスタジオに駆けつけ、という話です。ちなみにNHKの朝ドラの最初のは1961年の「娘と私」ですが、この原作が獅子文六で、ここで言っている「娘」が悦ちゃんのモデルです。「カムカム」の中でも雪衣さんがこのドラマを一生懸命観ているという話がありました。
真空管アンプ-塗装後のシャーシに部品を再取り付け
川口マーン惠美の「メルケル仮面の裏側 ドイツは日本の反面教師である」
川口マーン惠美の「メルケル仮面の裏側 ドイツは日本の反面教師である」を読了しました。私はちょっと前まではドイツのメルケル元首相を現在の世界の政治家の中では優れた政治家だと思っていました。しかし最近ちょっと違うのではないかと思うようになり、この本を読んでみました。作者は右よりの人で出版社もPHPなんで、内容には注意して読みましたが、作者はメルケル元首相の才能自体は認めており、また大体において事実を追っていっており、特に偏見丸出しでメルケルを批判している本ではありません。しかし、読み進める内に、今まで知らなかったメルケル元首相の隠れた面が色々見えて来て有用でした。
(1)学生時代にロシア語を深く学び、ロシア語コンテストで優勝してご褒美でモスクワ旅行しているほどのソビエト・ロシア好き。(東ドイツはソ連の東欧支配時代、ソ連から見てワルシャワ条約機構加盟国の中の優等生でした。)
(2)ともかく権力の座への執着が非常に強く、選挙で勝つためにはそれまでと180度政策の方向性を変えても平気。政敵を陥れる権謀術数にも長けている。
(3)東ドイツ出身でしかも女性という政治家が、元々これ以上ない右より政党のCDU/CSU内で出世出来たのはヘルムート・コール元首相が取り立ててくれたからですが、そのコールが1999年に違法献金問題でマスコミに攻撃されると、新聞にCDUはコールと手を切るべきだという論文を発表し、平然とコールを斬り捨てます。(ちょっと小池百合子を思い出しました。)
最近、メルケルがまだドイツ首相だったらロシアのウクライナ侵攻は起きなかったといったことを、根拠も示さず言う人がいますが、話はまったく逆であり、プーチン政権をもっとも支えてきたのはある意味メルケル時代のドイツです。だからこそゼレンスキー大統領はドイツ議会での演説でドイツを強く批判しました。ちなみについ最近までドイツのエネルギー面でのロシア依存度は実にほぼ5割でした。(ウクライナ侵攻前で、石油が35%、天然ガスが55%、石炭が50%)参考までにイギリスは10%未満です。そうなった原因は、メルケルが元々は担当大臣として原発を推進していたのを、2011年の福島原発の事故をきっかけに180度転換して原発廃止に走り、元々の社会民主党や緑の党の原発廃止案よりむしろ過激で短期間での廃止案を実施に突っ走りました。その結果ドイツのエネルギー自給率は大幅に低下し、代替発電の開発も短期間には進まず、家庭の電気代は倍になり、ロシア依存が強まりました。
後はこれはメルケル元首相だけの問題ではありませんが、ドイツの議会における「大連立」のおかしさ。ドイツは西ドイツ時代の1960年代後半と、メルケル政権で2度の合計3度この大連立をやっており、保守のCDU/CSUとリベラル、左のSPD、緑の党、中道のFPDなどが連立を組んでいます。最初の大連立がどうなったかというと、議会内において野党がほとんどいなくなり、政府に反対する野党勢力は議会外で活動しました。これをAPO(Außerparlamentarische Opposition, 議会外反対勢力)と言います。その連中が何をやったかというとテロです。1970年代後半のドイツでは財界の要人の誘拐や殺害、ハイジャックなどのテロ事件が頻発しました。これを「ドイツの秋」と言います。(ファスビンダーの1978年の映画「秋のドイツ」にちなんだ用語)日本でも1970年代前半に左翼が内ゲバやテロに走り一般市民からの支持を失いましたが、この時のドイツでも同じでした。そしてその暴力路線の極左が暴力路線の行き詰まりの打開のために加入したのが「緑の党」で、この政党は元々保守派の環境運動団体でしたが、ある意味極左に乗っ取られました。なので私は緑の党は基本的に信用していません。
次にメルケル時代の2度の大連立(2005~2009年、2013年~2021年)で何が起きたかというと、
(1)メルケルが選挙に勝つため、SPDや緑の党のリベラル政策を積極的に取り入れ、この結果SPDの政策の新味が無くなり国民の支持を失って没落します。(日本で1990年代に自民党と組んだ社会党があっという間に没落したのと似ています。)
(2)本来これ以上右は無いという政党だったCDU/CSUをメルケルがリベラル路線に変えたため、元々の保守の支持層は離れCDU/CSUの代りにAfD(Alternative für Deutschland、ドイツのためのもう一つの選択肢、という意味)という極右勢力支持に流れ、AfDが5%条項を超えてそれなりの議席(2021年の連邦議会選挙では83議席)を確保することになります。(ドイツではワイマール時代の小党乱立からナチスが生れた反省から、得票率が5%を超えないと議席は0という仕組みがあります。)ちなみにAfDは一部でネオナチと批判されています。
まあこんな感じでドイツの政治の状況を整理出来たのは有用でした。メルケル元首相とトランプ元大統領は、ある意味ポピュリズムという同じコインの裏表ですね。しかし民主主義において何かをやろうとしたら選挙に勝つしかなく、政治家がポピュリズムに走ってしまうのはある意味仕方がないのかもしれませんが。