白井喬二の「私の歴史文学観」(エッセイ)

白井喬二のエッセイ「私の歴史文学観」を読了。「季刊 歴史文学」という雑誌の1974年11月発行の創刊号に寄せたものです。この時白井喬二は85歳ですが、「歴史と文学」という名前の雑誌からまだ意見を求められるぐらいの知名度はあったようです。内容については、これまで白井が色んな所で述べていることと大きなずれはないのですが、ちょっと面白いのは「国史挿話全集」について言及していることです。これは白井が全国のいわゆる歴史上の有名人物に関する逸話(アネクドーツ)を集めたものですが、全国の知事が収集に非常に協力してくれたと書いています。白井の真骨頂の一つは、怪しげな文献(多くは実在しない)に基づいているとする不思議なエピソードをちりばめることですが、単なる想像だけではく白井の場合はどのような文献があるかを小説家としてこれ以上いないくらい知った上でそうした怪しい文献を創作しているのであり、そこに「いかにもありそうな」という疑似リアリティーが生れます。白井の「国史挿話全集」はさすがの私でも、全部読むことは出来ず、パラパラと眺めた程度ですが、実は日本の大衆の歴史観を知るという意味で貴重な文献なのかもしれません。

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