手塚治虫の「陽だまりの樹」を読了。これも学生時代にリアルタイムで読んでいました。作中に出てきてタイトルにもなっている「陽だまりの樹」(日当たりも良く、風もあまり吹かない庭にあった大木が、いつの間にか中が虫に食われてボロボロになり、ある時の地震で真っ二つに倒れたもの、作中での徳川幕府の象徴)のシーンが妙に記憶に残っています。それが今勤めている会社の姿ともちょっと重なっている所があります。
主人公二人の内、手塚良仙は手塚治虫の曽祖父(ひいじいさん)です。女好きでちゃらんぽらんな人物に描かれていますが、手塚が自分の先祖を格好良く描くのを遠慮したからではなく、ある程度事実だったようです。もう一人の伊武谷万二郎は、愚直でまっすぐである意味古武士の良さを保った武士ですが、結局滅び行く幕府と運命を共にします。漫画の幕末にありがちなように、西郷隆盛や坂本龍馬など有名人が登場しますが、それに寄りかからず手塚らしく重厚な物語を語りきっています。
手塚治虫の「陽だまりの樹」
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