本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が辻󠄀篤仁4段、白番が上野愛咲美上流名人の対戦です。最初の見応えのある折衝は右辺で、白が下辺で右下隅の黒に利かしに来たのに黒は手を抜いて右辺で白2子を取り込もうとする手を打ちました。しかし白も手を尽くしてその白2子を下方に連絡し、黒の一団は眼が一つだけという状態で残りました。また下辺では白が黒2子をポン抜いて非常に厚くなりました。しかし先手を取った黒は左上隅の白に付けてから上辺に三間開きで展開し、右上の白を攻めつつそれなりの地を持って治りました。非勢を意識した白が左辺の黒に付けて行く勝負手を放ちましたが、その結果中央下部に白地を付けられそうになりましたが、その代償として左上隅の白がかなり危なくなりました。その後黒が中央でケイマしたのに、白が出切って行くという再度の勝負手を放ちました。この手の結果、黒は左右の石の両方をしのがなければならず、形勢は不明に戻りました。しかしながら白も薄い部分があって攻めきれず、黒は両方を活きて勝勢になりました。その後懸案だった左上隅の白について、劫になりましたが、白の劫立てが無劫であり、黒が劫を解消して左上隅を取り切ったためここで決まりました。途中のヨセでは黒白双方にミスがあり、形勢は揺れ動きましたが、後でミスした白の方が罪が重く、形勢の逆転には至りませんでした。黒の中押し勝ちでした。
NHK杯戦囲碁 辻󠄀篤仁4段 対 上野愛咲美上流名人(2023年6月18日放送分)
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