本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が山城宏9段、白番が河野臨9段の対戦です。展開は白が実利を稼ぎ、黒が厚みという対抗になりました。左上隅で黒は三々に入りましたが、黒が上辺を重視したので、白は黒1子を噛み取って隅に10目に近い地を持って治まりました。この碁の焦点は白が黒の左辺と下辺方面の模様を消すために、左下隅の小ゲイマジマリに肩付きしてからの展開です。黒は途中で下辺右で下がって右下隅の白に受けさせようとしました。しかしながら白は手を抜いて左下隅に肩付きした後の一団の白を一間に飛んで強化しました。右下隅を白が受けなかったので黒は三々に打ち込んで行き、結局4目の地を持って活きましたが、白も右辺への連絡を見ながら活きており、結果的には白が上手く立ち回ったように思います。その後黒は左下隅の白への攻めを再開しましたが、下辺で白は活き、上方の白も尻尾を捨ててかつ左辺の黒を攻めながら巧みに凌ぎました。黒は更に下辺で3子を取り込まれる手が残っており、ここで白が優勢になり、盤面でも白のリードとなりました。更にヨセで左下隅の取られた石を攻め取りにさせ更に地合いの差を広げたため、ここで黒の投了となりました。白の名局で、河野9段の打つ手は時にAIが示す候補よりも厳しかった場合が多かったと思います。
NHK杯戦囲碁 山城宏9段 対 河野臨9段(2023年6月4日放送分)
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