本多猪四郎の「マタンゴ」

本多猪四郎の「マタンゴ」を観ました。これもかなり前に買ってまだ観ていなかったもの。1963年東宝の作品で、何となく怪獣もの系のイメージがありますが、結構本格的な怪奇スリラーという感じでした。何より監督が本多猪四郎、特撮が円谷英二、原案(元は海外の小説でSFマガジンの1961年の別冊に日本語訳が載ったもの)が福島正実と星新一、音楽が別宮貞雄で、かなり豪華なスタッフ陣です。そして俳優にはレインボーマン父+クイズグランプリ司会の小泉博、ウルトラQの純ちゃんの佐原健二が出ています。(二人とも途中で死にます。)女優二人は私にはなじみが無い人です。
金持ちのボンボンの豪華ヨットが低気圧で難破し、乗っていた7人が無人島に流されます。そこは霧に覆われていてキノコ以外の食物はほとんどなく、ただ難破船の中に「キノコを食べるな」というのがあり、最初は皆手を出しません。しかし食料が尽きると一人二人とキノコに手を出し始め、最後は生き残った一人以外は全員キノコを食べてキノコ人間化して、というストーリーです。ちなみにマタンゴと化した人間の声がケムール人やバルタン星人のものと同じでした。しかし生き残った一人の述懐にもありましたが、全員がマタンゴになれば別にそこで人間対マタンゴという対立は無くなるので、そこでキノコとして生きていく方が良かったのかも。なおキノコを食べるとハッピーになるということで、5年ぐらい後から始るサイケの世界を先取りしています。なお、生き残った一人の婚約者がキノコを食べて「このキノコ本当においしいのよ」と艶然と微笑むのが秀逸。