“An oyster of a man”の出典

「新々英文解釈研究」の最初の方に出てくる、”He is an oyster of a man.”の出典と思われるものを突き止めました。(OEDでのoysterやclamで「寡黙な人、非社交的な人」という意味の用例がマーク・トウェインが多かったので、最初マーク・トウェインの何かの作品かと思って、マーク・トウェイン作品のテキストが検索出来るページで調べましたが見つかりませんでした。)John Dunlopというスコットランドの詩人(1755 ー 1820)の書いた歌詞の中に”an oyster of a man”が出てきます。しかし、これは1812年の「ジョージ・マッカルがグラスゴーの『牡蠣クラブ』から引退するにあたって」という歌であり、かなり特殊な文脈で使われていることが確認出来ます。しかもおそらく、ジョージ・マッカルという人は何らかの理由で、「牡蠣クラブ」から引退(または退職)するのであり、そこで「牡蠣のような人」というのは「牡蠣クラブを象徴するような人(または常連客、あるいは従業員)」という意味でほとんどジョーク的に使っていると考えられ、「寡黙な人」という意味ではないように思います。歌詞の中に「白鳥のように自分自身のレクイエムを歌う」とありますから、ますます無口であるという解釈はおかしいです。それに「牡蠣クラブ」はおそらく美味しい牡蠣を食べながら社交を楽しむ人の会かあるいはオイスター・バーの名前ではないかと推察されます(現在でも同名のオイスター・バーが各地にあります)ので、まったくもって「寡黙な人」はおかしいと思います。ちなみに、歌詞の中の”Tiny Lochrians ! huge Pandores !”はどちらも牡蠣の品種だと思います。(前者はOEDに載っていませんが多分「Ryan湖(Loch Ryan、塩水湖)の牡蠣」ということだと思います。18世紀の始めから牡蠣の養殖場で有名のようです。後者は”A kind of large oyster found in the River Forth, esp. near Prestonpans.”とあります。)ジョージ・マッカルは、そういう色んな牡蠣に愛される人間だけど牡蠣みたいな人、って言っているんでしょうね。調べてみたらスコットランドのグラスゴーは今でも牡蠣で有名で色んなオイスター・バーやレストランがあり、そういう町で「牡蠣のような人」というのがネガティブな意味では決してないと思います。

John Dunlop (writer)
https://en.wikipedia.org/wiki/John_Dunlop_(writer)

“Dunlop of that ilk : memorabilia of the families of Dunlop … ; with the whole of the Songs ; and a large selection from the poems of John Dunlop”

ON GEORGE M’CALL RETIRING FROM THE “OYSTER
CLUB” IN GLASGOW (1812).

[His letter of demission ended with four verses wretched poetical lines.]

The Oyster Club, in sable clad,

Laments for George M’Call,
Who, swan-like, his own requiem sings.

Weep ! Weep ! ! ye oysters all.
Tiny Lochrians ! huge Pandores !

Forget him, if you can ;
He was, creation must confess,

An oyster of a man ! !

拙試訳
牡蠣クラブ、喪服を着て
ジョージ・マッカル氏を悼む
氏は、白鳥のように、自分自身のレクイエムを歌う
ああ悲しい、悲しい、牡蠣のみんなよ
小さなリャン湖の牡蠣、大きなパンドレス牡蠣よ
もし可能なら彼を忘れよう
氏は、創造主は告白しなければならないが、
まさに人間牡蠣だった。

NHK杯戦囲碁 瀬戸大樹8段 対 林漢傑8段


本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が瀬戸大樹8段、白番が林漢傑8段の対戦です。布石は4隅で定石(但し今風)が進行しましたが、黒が左下隅でダイレクトに三々に入った結果、左辺は白の大きな模様となりました。黒は左辺に侵入せず、上辺から押していって左辺を囲わせ、その代わり右上隅に上辺から掛かりっぱなしになっている白2子を孤立させこれを攻める作戦に出ました。白はそれを承知で左辺をぎりぎりまで受け続けました。いよいよ取られかねないというタイミングで白は右上隅を動き出し、黒の断点を覗きました。ここでの折衝で白は中央の黒の切断や右上隅の黒への圧力などを上手く使い、結局右辺で一手寄せ劫に持ち込みました。この劫が黒が右上隅を活きにいった関係で白が一手ダメを詰めることが出来、本劫になりました。白は周辺に劫立てが多く楽な劫争いで、結局白は劫に勝ち黒6子を取ってしのぐという、白から見て上々のシノギとなりました。黒は代償で左辺の白模様を侵略しましたが、ある意味地だけの問題で、形勢は白のリードでした。その後下辺でまた劫争いが始まりましたが、白は左辺の地を減らされた代償に左下隅で地を稼ぎ、白のリードは変わりませんでした。最後ヨセで若干白のミスがあったので差が縮まりましたが、結局白の2目半勝ちに終わりました。