宗像教授の間違い

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この漫画は、星野之宣の「宗像教授異考録」の「虫めづる姫君」の中の一場面です。(単行本に収録されたものではなく、雑誌ビッグコミック連載時の場面。)どこがおかしいかおわかりになりますか?
ここで描かれているのは説明と違ってアゲハチョウの幼虫ではありません。キアゲハの幼虫です。キアゲハの幼虫は、パセリ、ニンジンの葉、セリなどを食べ、ミカンの葉の上にはいません。昭和三十・四十年代の小学生にはほとんど常識だったことで、初歩的な誤りです。(キアゲハの幼虫の写真は、ここをどうぞ。)

三遊亭圓生の「子別れ 上/中/下」

jpeg000 114今日の落語、三遊亭圓生の「子別れ 上/中/下」です。
志ん朝の「お化け長屋、子別れ 下」を先に買ったのですが、「子別れ」の下だけを聴くのもなにかと思って、この圓生の全部揃ったのを別に買い、先に聴きました。(「子別れ」は普通は下だけが演じられ、上/中/下を通して演じられることはほとんどありません。)この「子別れ」の上/中だけを聴くと、主人公の大工の熊さんはとても嫌な奴で、笑える所がほとんどありません。特に酔っ払って悪態をつく所は、圓生のとてもうまい語りを通して嫌な男ぶりが目立ちます。この嫌な熊さんが、下になると、心を入れ替えて、酒を止めて仕事に励み、豹変します。上/中から続けて聴くと、その対照が鮮やかです。それで自分の子供の亀にある日ばったり出くわして、子供を鎹(かすがい)にして、別れた夫婦が元の鞘に収まるという人情噺の傑作です。笑うというより泣ける噺です。

小林信彦の「紳士同盟」「紳士同盟ふたたび」

jpeg000 103jpeg000 105小林信彦の「紳士同盟」と「紳士同盟ふたたび」を再読了。「紳士同盟」が1980年、「紳士同盟ふたたび」が1984年に出版されたもので、どちらも週刊サンケイ(現在の週刊SPA!)に連載されたものです。小林信彦の作品としては結構部数が出たようで、「紳士同盟」の方は、薬師丸ひろ子主演で映画にもなっています。(薬師丸ひろ子が歌う主題歌を今でも記憶しています。)ただし、映画のストーリーは原作とはほとんど無関係です。
おそらく、映画の「スティング」の影響で、日本で初めての「コン・ゲーム」(詐欺ゲーム)小説です。ジェフリー・アーチャーの「百万ドルをとり返せ!」の影響もあるかもしれません。パズラーと呼ばれる謎解きのミステリーが、ほとんどあらゆるパターンが出尽くして手詰まり感があったのに対し、コン・ゲーム小説は新しい可能性を開いたといえると思います。
出てくるコン・ゲームの内容について不満があるのは、小林信彦が得意なTV局関係と映画マニア関係に偏っていることです。この2つに関係ないのは一番最初の銀行を騙す話と、「ふたたび」の方の最後の話での絵画を使った詐欺だけです。また、騙される側として、資産家の医者である宮田老人というのがルーティーンで何度も登場しますが、実際のコン・ゲームでは同じ相手というのはタブーなんではないかと思います。