小林信彦の「紳士同盟」「紳士同盟ふたたび」

jpeg000 103jpeg000 105小林信彦の「紳士同盟」と「紳士同盟ふたたび」を再読了。「紳士同盟」が1980年、「紳士同盟ふたたび」が1984年に出版されたもので、どちらも週刊サンケイ(現在の週刊SPA!)に連載されたものです。小林信彦の作品としては結構部数が出たようで、「紳士同盟」の方は、薬師丸ひろ子主演で映画にもなっています。(薬師丸ひろ子が歌う主題歌を今でも記憶しています。)ただし、映画のストーリーは原作とはほとんど無関係です。
おそらく、映画の「スティング」の影響で、日本で初めての「コン・ゲーム」(詐欺ゲーム)小説です。ジェフリー・アーチャーの「百万ドルをとり返せ!」の影響もあるかもしれません。パズラーと呼ばれる謎解きのミステリーが、ほとんどあらゆるパターンが出尽くして手詰まり感があったのに対し、コン・ゲーム小説は新しい可能性を開いたといえると思います。
出てくるコン・ゲームの内容について不満があるのは、小林信彦が得意なTV局関係と映画マニア関係に偏っていることです。この2つに関係ないのは一番最初の銀行を騙す話と、「ふたたび」の方の最後の話での絵画を使った詐欺だけです。また、騙される側として、資産家の医者である宮田老人というのがルーティーンで何度も登場しますが、実際のコン・ゲームでは同じ相手というのはタブーなんではないかと思います。

小林信彦の「紳士同盟」「紳士同盟ふたたび」」への2件のフィードバック

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