本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が平田智也8段、白番が志田達哉8段の本格派同士の対戦です。この碁は渋い展開でしたが、左辺の攻防で、白が付けて黒がはねたままになっていたのを、白が切って行きました。ここの折衝で白は黒3子を取ってかなり地を増やしましたが、その代わり黒は中央を突っ切った形になり、上辺から中央に展開している白の大石へ黒がどのくらい攻められるかがポイントでした。しかし白は上辺で左側の白に渡る手を見せました。しかし黒はそれを妨げる手を打たず、結局白は全てがつながり、弱い石がほとんど無くなりました。でもそれで白が優勢になったという程ではなく、白は黒の右辺の模様をあっさり確定地にさせたので形勢は非常に微細でした。ヨセの段階でAIは左辺の白地と見える所に手があるという主張をしており、それを決行するという前提で黒が勝率80%程度という判定をしていましたが、結局黒も白もそれを決行したり守ったりしなかったため、一手毎に形勢が入れ替わるという終盤でした。その左辺の手は黒から打てば劫にはなるということみたいですが、劫材が黒が多い訳でもなく、微細な形勢でそれを決行出来ない、しないのはまあ仕方がないかと思います。結局白が左辺を守る展開となって、最後は白の半目勝ちでした。なお、志田8段は普段は無表情で、対局中にたまに「ニヤッ」とすることがあるのですが、本日の対局ではその「ニヤッ」を何でも見ることが出来ました。それだけ対局に没入していたのかと思います。