4月29日放送のNHK杯戦の囲碁(旅行中だったため録画で視聴)は、黒番が今村俊也9段、白番が山城宏9段の対戦。布石は黒が2連星、白が星と三々という昔の新布石時代を思わせるようなものでした。この碁の最初の焦点は、左上隅の白の星に黒がかかったのに白が手を抜いて右辺の開きを打ち、黒が左上隅を両ガカリしてという展開になった後、白が中央に顔を出し、二間に飛んでいた所を、黒は上辺から一間に中央に飛ぶ覗きを打ち、さらにその左下に割り込んでいって、強引に白を切断に行った手です。結果として黒は白の分断に成功しましたが、その後の展開は山城9段がうまく黒の攻撃をかわして打った感じで、黒の強攻策はやや空振りの印象が強いです。その後はあまり戦いらしい戦いもなく、地味なヨセ勝負になりました。白からすれば右上隅の黒をそのまま地にさせず、何か手を付けていきたかったように思います。その後白は下辺を渡る手を打って下辺に大きな地をつけましたが、その代わり黒も中央にそれなりの地が出来ました。また右下隅のヨセで、黒は右辺の白と下辺の白に対しての両方のヨセを打った感じとなり、おそらくここでポイントを挙げて黒のリードになったのではないかと思います。結果として黒の1目半勝ちでした。白はもう少し何かやりたかった感じです。