NHK杯戦囲碁 河野臨9段 対 依田紀基9段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が河野臨9段、白番が依田紀基9段の対戦です。この碁はあまり布石がなく、下辺でいきなりのっぴきならない戦いになりました。というのも下辺の白と黒の競い合いで、黒は左下隅をまずがっちり守り、中央はむしろ白に攻めさせました。その過程で白がケイマに煽って来たとき、解説の石田芳夫二十四世本因坊が、「まさか出切りは無いでしょう、黒も怖い筈」と言った直後、その出切りを敢行しました。下辺の黒と白は(1)活き活き(お互いに活き)(2)セキ(3)攻め合い、の3つの可能性がありました。河野9段は白の眼を取り、攻め合いに行きました。この辺り読み切って仕掛けたのではなく、おそらく行けるだろうという半分勘で打ったようですが、結果的に一手か二手黒が攻め合い勝ちで、出切りは成功しました。下辺で攻め取りとはいえ十数子を取られた白は、後は中央の黒を攻めそちらとの攻め合いに勝つか、あるいはそれを利用して上辺を大きくまとめるかでした。しかし河野9段は常に最強手を打ち続け、右上隅に策動してきた白には妥協せず隅を確保し、中央の黒も右辺に無事連絡し、上辺に残った黒も上手くしのいだため、ここで白の投了となりました。

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