真空管アンプ用電源トランスの電源ON時の突入電流の実測

真空管アンプの突入電流がどうなるのか、趣味的にも仕事的にも気になりますので、日置電機のクランプメーターを購入して、真空管アンプ用の電源トランスを用いて突入電流を簡易的に測定しました。


真空管アンプ用電源トランスでの突入電流の実測

以下の実験はあくまで目安程度のものです。誘導負荷での(励磁)突入電流は、電源電流のスイッチON時の位相によって変わります。(位相で電流が0の時にスイッチが投入された場合が最大になります。)
以下の測定の時、突入電流が観測出来なかったもの(5回に1回くらい)は除いています。(なので統計的な意味はあまりありません。)

試験仕様
電源トランス:春日無線変圧器KmB250F2
(1次側 0V-100V、2次側 0V-30V-170V-230V AC 290mA DC 180mA
0V-6.3V-12.6V-14.5V-16.0V AC 2.0A、静電シールド付き)
電源スイッチ:NKK S-331トグルスイッチ、定格20A 125V/250VAC
クランプメーター:日置電機 CM4371-50
トランスの2次側負荷:0-30V端子に270Ω50Wのメタルケース抵抗を接続(計算上で0.11A)

10回測定(上記のように突入電流が観測出来なかった場合を除く)結果

1次側定常電流:0.12A(電源投入後約20秒くらいでの安定値)
突入電流:最大2.93A、最小0.47A、平均1.69A
突入電流の定常電流に対する倍率:最高24倍、最低4倍、平均14倍

ちなみに、2A3無帰還シングルアンプの電源トランス1次側の定常電流を実測したら約1Aでした。(このアンプにはスパークキラーが入っているので突入電流の実測は出来ません。)
上記の突入電流の倍率がそのまま適用出来るとすると、スパークキラーや遅延リレーで対策していない素の状態では平均で14A、最大で24Aの突入電流が発生する計算になります。

なおスイッチOFFの時の突入電流(電源が急激に減少することによる逆誘導起電圧による)は今回の方法ではまったく発生しませんでした。よく考えたら、電源回路の高容量のコンデンサーがあるので、スイッチOFF時は急激に電流が0になることはなく、逆誘導起電圧はほとんど発生しないと考えるべきでしょう。

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