ウディ・アレンの「ラジオ・デイズ」

ウディ・アレンの「ラジオ・デイズ」を観ました。ゴールデンウィークに日本ラジオ博物館に行ってから、すっかりラジオ少年の血がよみがえり、その一環で観たものです。まだテレビが無くて、ラジオが日常の娯楽のほとんどすべてだった1938年から1944年ぐらいまでの、ウディ・アレンの少年時代を描いた作品です。冒頭でいきなり、ある家に押し入った強盗二人組の所に、ラジオの曲当てクイズの番組から電話がかかってきて、思わず出てしまい、3曲見事に当てて、その2人は50ドルくらいの物を盗んだだけなのに、次の朝それをはるかに上回る賞品がその家に送られてくる、というのでまず笑わせてくれます。ラジオがいいのは、テレビだと皆画面を見入ってしまって、お互いの会話とかほとんどありませんけど、ラジオだと皆自由に聞いて会話も成立する、という所です。ミア・ファローの演じる歌手志望の女性がチャンスをつかんでいくエピソードで、たまたまある店で殺人の現場を目撃して、目撃者として殺されそうになったのに、その殺し屋が実は同じ町の出身と分かってすっかり仲良くなり、その殺し屋のコネでチェーホフのラジオドラマの役をもらいます。その本番中に、突然ニュースのアナウンサーがスタジオに乱入してきて、「日本軍がパールハーバーを攻撃しました。」というニュースを読む、という演出がいいです。そこから戦争になりますが、灯火管制とかもありますが、日本とは豊かさがまったく比べものにならなかった、というのがこれを観るとよく分かります。その他、例の「火星人が襲撃してきた」というラジオドラマが本当だと受け取られてパニックになるという話と、主人公の叔母さんでオールドミスで常に結婚相手を探しているビーが、相手にほったらかされてしまう、というエピソードとからめていて、上手い演出です。全体に肩が凝らない楽しめる作品でした。

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