コガモの羽の色

kogamo03
コガモの次列風切羽のところ、一般的には「緑」色とされていますが、これは横から見た場合で、斜めに見た場合には青色に見えます。この写真で見ると、左右で色が違ってみえています。おそらく、カワセミの翡翠色と同じで、元々緑色になっているのではなく、光の屈折で緑や青に見えるのでしょう。

石井不二雄先生

2009年5月のレコード芸術(クラッシック音楽の雑誌)は1970年代特集です。
その特集で、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの70年代の精力的な活動について、ドイツリート研究家の喜多尾道冬氏が書いていますが、その中に石井不二雄先生の話が出てきました。(よほどドイツリートを聴いている人でなければ、石井不二雄、誰それ?って感じでしょうが。日本で最大のシューベルト研究家、ドイツリートの研究家です。)
お二人は友人関係だったようです。
それによれば、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウのシューベルト歌曲全集が発売された時に、その膨大な数のリートの対訳を石井不二雄先生がわずか一ヶ月で仕上げられたのだとか。

石井不二雄先生から、大学の時にドイツリートの講義を約10ヶ月受けることができました。その講義の直後、先生は入院され、わずか数ヶ月で急逝されました。
思えば、石井不二雄先生が亡くなられたのは46歳の時で、既に私はその歳を過ぎてしまいました。私のライフワークのシューベルト「冬の旅」のレビューは、いつか先生のためにも仕上げたいと思っていて、まだ果たせていません。(現在所有している「冬の旅」のレコード・CD・テープは60種類以上です。)

大学で、ドイツリートを石井先生に習い、J・S・バッハについて、杉山好先生に教わり、そして音楽史を戸口幸策先生に習い、と今考えれば何と贅沢な環境だったんでしょう。石井先生のドイツリートの講義の隣の教室では、高辻先生(ワーグナーの対訳で有名)がブルックナーの講義をしていました。

なお、石井不二雄先生はヤナーチェクの専門家でもあり、ヤナーチェクを日本に紹介するのに功績がありました。マッケラス指揮の「利口な女狐の物語」の日本語対訳は石井不二雄先生によるものでした。

小池一夫センセのネタの使い回し

koike-01
劇画原作者として一世を風靡したのが小池一夫先生です。実はあまり知られてはいないのですが、ローゼン麻生閣下が大好きな「ゴルゴ13」の初期の作品には、小池一夫原作のものがいくつかあります。当時小池一夫はさいとうプロに所属していたのです。その後、小池一夫は独立して、「子連れ狼」で大ヒットを飛ばしますが、実はこの「ゴルゴ13」と「子連れ狼」で、主人公と時代設定、場所設定が変えてあるだけで、ほとんど同じ話があります。
私はたまたまこの2つの作品をほぼ同じ時期に読んだので、類似性にすぐ気がつきました。画像はどちらも最後の方の場面で、上2/3がゴルゴ、下が子連れ狼です。どちらも悪党の親玉が、相手がゴルゴ13や子連れ狼だということに気がついていて、そのことを誰にも言わないから(言っていますが)命を助けてくれ、と叫んでゴルゴや拝一刀に殺されて終わります。

ここに詳しい顛末が書いてあります。

ゴルゴ13といえば、かなり昔ですが、吉本新喜劇で、岡八朗(岡八郎)が演じる「ゴルゴ十三(じゅうそう)」というパロディが好きでした。

PENTAX F、FA望遠ズーム その2

[4]SMCペンタックスFズーム70-210mmF4-5.6 – 9群13枚。(隠れED)
[5]SMCペンタックスFズーム80-200mmF4.7-5.6 – 7群11枚。
[6]SMCペンタックスFAズーム70-200mmF4-5.6 – パワーズーム可。8群10枚。
の良く似たスペックの3種類の望遠ズームですが、フィルター径49mm、最短撮影距離1.1mの仕様は共通です。ぱっと見た目では[6]は[5]をパワーズームにする際に少しだけいじったように見えますが、ところが!、[5]はズーミングしても全長が変わらない「インナーズーム」です。3本のうち[5]だけがそうです。というわけで、良く似ていてもこの3本はまったく設計が違うようです。

写りを見ても傾向はわかります。上の写真は、1.1mくらいのところから、最望遠側にズームして開放(F5.6)でカレンダーの細かい文字を撮ったものです。ビューアーで200%に拡大しています。
gugen02
写真、上中下の順で[4]-[5]-[6]です。
[4]がやや大きく写っているのは210mmだからですが、色収差が少なく他よりシャープなのが確認できます。
[5]はこれに比べるとはっきり色収差が出ています。
[6]は色収差は余り目立たないものの、全体にコントラストが弱く色目も他の2つと傾向が違うようです。

[4]はEDレンズを使用しているのに、製品名に「ED」がつかない(色収差の補正というより小型化のためにEDレンズを使っているもの)「隠れEDレンズ」と呼ばれますが、テスト画像でもそれは確認できます。

全体に、望遠ズームで49mm径というのは、小型を優先したのでしょう。[5]はインナーズームでもあり、その設計方針はある意味徹底しています。これに対して[5]パワーズームをつけたために、全体が大きく重く長くなって、いまいち設計思想がちぐはぐです。(FAシリーズのズームは最初すべてパワーズーム付きで行く計画だったそうなので、無理矢理なパワーズーム化もやむを得なかったのでしょうか…)

[5]の小型軽量さは、持ち歩く上で十分な付加価値があります。

ともかく、ペンタックスのこのクラスの望遠ズームは短期間に右へ行ったり左へ行ったりして混乱しています。このF、FAの時代はペンタックスはAFで出遅れて、それを挽回するために方向性が揺れた時期であり、それがレンズのラインナップにも出ているようです。もし中古で買われるのなら、私は[4]か[5]をお勧めします。(FA80-200mmF2.8という☆レンズがありますが、これは中古でも十数万円しますので、お好きな方はどうぞ、としか言いません。)

最後に撮影例、これも[4]-[5]-[6]の順です。差があるといっても、 わずかです。4-015-016-01

PENTAX F、FA望遠ズーム

ペンタックスの昔から今までのレンズの中で、割と最近のシリーズでありながら、人気がないのが、FとFAのシリーズで、基本的にはオートフォーカス対応以降のレンズです。もちろんすべてが人気がない訳ではなく、☆レンズの中には非常に人気のある銘レンズもあります。ただ、全体にマニュアルレンズであったMやAシリーズに比べると、外見がプラスチックぽく安っぽく見えるのが多いようです。そのせいか、暗いズームレンズなんかは、ほとんど投げ売り状態で、程度の良いのがオークションで1本1万円以下で買えます。

ただし、この時代のレンズは、端(はた)から見てとてもわかりにくい構成になっています。80-200mmといえば、この時代、標準ズームである28-80mmとセットで使うもので、売れ筋の大事な製品ですが、ペンタックスのこの焦点の望遠ズームはとても混乱しています。
以下、Wikipediaや「使うペンタックス」などで調べた、AシリーズからF、FAシリーズの80-200mm前後のズームレンズ一覧です。

[1]ペンタックスA70-200mmF4
[2]SMCペンタックスA70-210mmF4 – 10群13枚。
[3]SMCペンタックスA80-200mmF4.7-5.6
[4]SMCペンタックスFズーム70-210mmF4-5.6 – 9群13枚。(隠れED)
[5]SMCペンタックスFズーム80-200mmF4.7-5.6 – 7群11枚。
[6]SMCペンタックスFAズーム70-200mmF4-5.6 – パワーズーム可。8群10枚。
[7]SMCペンタックスFAズーム70-200mmF4.7-5.6
[8]SMCペンタックスFA★ズーム80-200mmF2.8ED[IF] – パワーズーム可。13群16枚。(ED)
[9]SMCペンタックスFAズーム80-200mmF4.7-5.6 – 7群11枚。

おそらく、[3]→[5]→[9]は同じレンズでしょうね。
他は、焦点距離が微妙に変わったり、F値が変わったりと売れ筋のシリーズの割りには、ころころとレンズ設計が変わっているのが見て取れます。

写真は、左-中央-右の順で、[4]-[5]-[6]です。
個人的には、この3本以外に、FA★ズーム80-200mmF2.8ED[IF]([8])も持っています。
なのでペンタックスK-1のフルサイズ機が発売されても、この焦点距離の望遠ズームは買いません。
80-200mm

smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm

gyogan01gyogan02gyogan04 ペンタックスのsmc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED [IF]は魚眼レンズなのにズームでもあるというユニークなレンズです。最短撮影距離が14cmなんでレンズの前玉ぎりぎりまで寄ることができ、マクロレンズ代わりに使え、なおかつ周囲の様子も写し込んでくれるという便利なレンズです。発色はちょっときつめなので、私はケンコーのブラックミストというフィルターをステップアップリングにつけ、ガムテープでこのレンズにつけて使っていました。

セイタカシギ

seitakashigi04
千葉の谷津干潟で撮影したセイタカシギです。シャコをつかまえた所です。
シャコは水質の汚い所でも棲息できるため、シャコがいたから水が綺麗になったというわけではありません。セイタカシギは昔は珍しい渡り鳥だったみたいですが、今では東京湾一帯に一年中定住しているので、比較的容易に見ることができます。

ヤナーチェクのイェヌーファ

ちょっと間が空きましたが、3月5日に、新国立劇場でヤナーチェクのオペラ「イェヌーファ」を観てきました。1年以上前から待ちに待った公演でした。素晴らしい公演でした。特に良かったのが、指揮のトマーシュ・ハヌスと東京交響楽団の演奏でした。ハヌスはヤナーチェクの専門家らしく、緩急自在でヤナーチェクの音楽の魅力を十分に味合わせてくれました。
歌手では、ラツァを演じたヴィル・ハルトマンが出色の出来。タイトルロールのイェヌーファを演じたミヒャエラ・カウネも悪くなかったです。反面、一番大事な役である義母コステルニチカを演じたジェニファー・ラーモアは、重みがもう少し欲しかったです。演技は非常にうまかったですが。
このオペラは、義母がイェヌーファの産んだ不義の子を冬の凍った河に沈めて殺してしまうという陰惨な話なのですが、イェヌーファとラツァの結婚式でそのことが明らかになり、結婚式に来た人が皆去ってしまう中、ラツァはイェヌーファを支え、一緒に生きていくことを誓う、という希望が持てるラストになっており、このラストが音楽ともあいまって非常に感動的でした。ヤナーチェクのオペラも色々バラエティに富んでいますが、私はこのイェヌーファが最高傑作だと思います。