白井喬二の「源平盛衰記」(上)を読了。昭和元年10月から昭和4年2月まで「時事新報」に連載されたもの。白井喬二としては、一番脂ののった頃の作品で読み応えがあります。上巻では、平家が西国の海賊を退治して次第に勢力を増していき、そして保元の乱で源氏の半分を倒し、そして平治の乱で残りの源氏も片付け、平家の天下になるまでを描きます。白井の源平話は人物に重きを置くもので、鎮西八郎為朝、悪源太義平などが実に魅力的に描かれています。また平清盛のちょっと変わった性格もよく描写されていると思います。今回読んだ版は昭和5年のもので、たぶん初版ではないかと思います。大衆小説家による源平の話には吉川英治の新・平家物語などもありますが、もう少し白井作品も再評価されてしかるべきではないかと思います。
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