白井喬二の「黒衣宰相 天海僧正」の未読分18回を読了しました。これでようやく全83回の全てを読み終えることが出来ました。今回の分で、天海が家康の信頼を得るようになった過程がよく分かりました。天海が家康をもっとも感心させたのは、江戸を治めるにあたって、まず度量衡の制をきちんとしろ、ということを進言したことでした。
また全83回を読んで感じることは、晩年の白井喬二が、これで読者をうならせてやろう、といった邪な心無しで、丹念に天海僧正の一生を追って、丁寧な作品を残しているということです。非常に読み応えのある作品です。これが「大法輪」のバックナンバーを当たることでしか読めないのは、返す返すも残念なことで、どこかの出版社が単行本として出版する、あるいは2030年に著作権が切れた後に、青空文庫に収録されて万人が読めるようになることを切望します。
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