白井喬二の「筒井女之助」を読了しました。週刊朝日別冊の1960年11月号に収録されています。この筒井女之助というのは、尼子十勇士の中の一人の井筒女之介(実在した可能性がある人物のようです。かぶき者で女装し女性の髪型をしていた、と伝えられています)をモデルに白井が創作した人物だと思います。女之助は安芸の境備後の子ですが、5歳までは女装させられて育ち(昔は魔除けの意味で男子に女装させて育てるのは珍しい話ではないと思います)、めそめそ泣いてばかりいた弱虫でした。元々「翁丸」という名前でしたがそういう所から「女丸」と呼ばれるようになり、これが転じて「女之助」になったと説明されています。この女之助は9歳で初陣に出ますが、11歳頃から功名手柄をあらわして、そのうち自分で曰く「戦さやくざ」となり、戦場の高揚した雰囲気ではないと満足を感じなくなります。女之助は松永弾正から稚児にされかけますが、これを敢然とはねつけます。また青屋広忠の娘の露姫が女之助に恋しますが、これもまったく相手にしません。そのうちに松永弾正は織田信長との戦いになり、戦さが大好きな女之助はその見物に出かけます。そこで露姫に再会しますが、露姫は女之助を思う気持ちが昂じて正気を失っていました。さらに露姫は松永弾正に毒殺された父親の仇を討つために弾正を付け狙っていました。弾正が信長との最後の戦いで追い詰められていた所に露姫がかけつけ仇を討ち同時に火中に身を投じます。それを見ていた女之助も同じく火中に身を投げ自害するというちょっと不思議な話です。
3枚目の写真はオマケでこの週刊誌のグラビアにあった若き日の黒柳徹子です。(左側)
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