白井喬二の「宇都宮釣天井の真相」(エッセイ)

白井喬二のエッセイ、「宇都宮釣天井の真相」を読了。サンデー毎日の昭和28年5月の新緑特別号に掲載されたもの。これも「築城秘話」と同じで、城に関する蘊蓄なら白井喬二、ということで書かれたもののように思います。宇都宮釣天井とは、本多正純がその居城であった宇都宮城に釣天井(天井が二重になっていて下の方のは縄で吊り下げられていて、この縄が切られると天井が落下し、その部屋にいたものを圧死させるという仕掛け)を作って将軍秀忠の暗殺を企てた、ということで、本多正純が流罪とされた事件です。白井喬二はこの事件の真相を推理します。この事件について記録を残している浅野丈助のわずか二百字ばかりの覚書を元に、そこに女性の縁も関係しているのではという記述を見つけ、それによって将軍秀忠の姉であった加納殿(元の宇都宮城主の未亡人)が、古河城に移らされる時に、本多正純から杓子定規な対応をされ、それを恨んで復讐を図ったのでは、と推理していきます。このエッセイの白井の推理はごくまともで、今日真相とされている説そのままです。ちょっと白井を見直しました。

白井喬二の「宇都宮釣天井の真相」(エッセイ)」への2件のフィードバック

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