白井喬二の「江戸から倫敦へ」の連載三回分を読了。大日本雄弁会講談社の「現代」の昭和6年(1931年)二月号・三月号と昭和7年(1932年)一月号です。(ちなみに亡父が生まれたのが1932年の1月26日です。)
読んでみてびっくり、白井喬二の猶太禍捕物帳の第二弾です!
第一弾というのは、「傀儡大難脈」で、何故かユダヤ人が日本の色々な伝統芸能の家の秘伝書を盗んでいくのを、名与力の千面小三郎が暴いていくという話でした。この話を収めた「至仏峠夜話」という本の後書きで、白井自身が「猶太禍捕物帳」を更に書いていく予定があるようなことを述べていました。しかし私はそれで終わったのだと思っていたら、恐るべし、白井喬二、ちゃんと書いていました!
しかも、ユダヤ人が伝統芸能の家の秘伝書を盗んでいくという設定はそのままこの「江戸から倫敦へ」でも使われています。それどころか更に陰謀はこれを入れて全部で10あり、他は日本語を乱れさせる、教育を頽廃させる、機械により人間の職を奪う、風紀を紊乱する、女性の良い所を無くす、武術を貶めて文弱にする、国土をならす、重職にある武士の暗殺、という実に恐るべきものです。しかしいくらなんでも、江戸時代の日本に対して何故ユダヤ人がそんな陰謀を企むのかその辺りはまったく書いていないように思います。
ともかく一話読んだだけでも、荒唐無稽の極地で、ユダヤ人差別はいただけませんが、ストーリーとしては実にわくわくさせる展開でした。この頃の「現代」は日本の古本屋さんサイトで後2冊見つけて取り寄せ中ですが、全部(18回)読んでみたいものです。
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