白井喬二の「紫天狗」を読了。大日本雄弁会講談社の「講談倶楽部」の昭和25年の秋の大増刊(8月発行)です。ヤフオクで落札したものです。「日本の古本屋」よりも最近はヤフオクの方が白井喬二の新しい作品が見つかる確率が高いです。お話は沙門明智という怪しげで好色な聖者と称する男が、奇跡を行う振りをして人々をだまして金儲けや女漁りをするのを、篠原兵馬という若い武士(紫天狗)が懲らしめるという話です。しかし結末で沙門がやっつけられるのがあまりにもあっさりしすぎで、これは失敗作と思います。とある後家さんと兵馬の師匠である中山陣兵衛の娘の胡夜(こよ)という二人の美女が登場してどちらも沙門に苦しめられますが、さして劇的な展開もなく終わってしまいます。
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