白井喬二の作品で、これまでは単行本になったもののみを求めていましたが、古書店サイトで単行本になっていない雑誌掲載の物も探し始めました。
白井喬二の「維新の志士を憶ふ」(エッセイ)を読了。昭和19年の「青年読売」(時局雑誌とある)の8月号に掲載されたもの。「竹槍一億本団結だ」という特集の中の一つ。内容としては、維新の志士の団結がいかに強いものだったかを振り返って国民の団結を訴えたもので、この時期の白井によくある時局迎合的なもので、ほとんど取り上げるべき中身はないです。
この雑誌が出た昭和19年7月は、サイパン島が陥落し、首都圏への空襲がきわめて現実的になった時期です。6月末に「学童疎開促進要項」も発表され、学童疎開の計画が具体化し出します。記事の中に、北九州が空襲された時の話が出てきます。この時期に至っても、連合艦隊が健在であるような記事が出てきます。非常に薄い雑誌で、紙質もかなり悪いです。「青年読売」は「月刊読売」が時局の悪化による雑誌統合の時に名前を変えたものです。
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