白井喬二の「幽閉記」を途中まで読了。昭和5年に創刊された「日曜報知」に連載されたもので、おそらく10回くらい連載されたのだと思いますが、残念ながら第1回~6回までと第8回しか入手できませんでした。皮肉にもそういうお話に限って結構名作だったりするのですが…お話はかつては殿様の相談役として権勢を誇った氷駿公がその後殿様の勘気を被って、今は六層の高楼に幽閉されています。二人の武士の間で、そういう幽閉の暮らしが、すぐに死んだ方がいいか、いやそれでも生きていた方がいいかの論争になり、結局氷駿公に直接聞いてみようということになります。一方の武士が夜中に高楼に昇って、氷駿公を呼び出してみると、そこにいたのは氷駿公ではなく、まだ三十にもならぬ若者でした。という具合に始まり、途中の展開も意表を突いて、なかなかの傑作だと思うのですが、最後まで読めないのが返す返すも残念です。
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