本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が清成哲也9段、白番が富士田明彦7段の対戦です。黒は布石で向かい小目の構えで更に辺の中央に打って、三連星と中国流を少し変えたような構えでした。白はその構えに両方とも内側からかかり、左右同型の面白い構えになりました。結局黒が地で先行し、白が厚みを築いて追いかける展開でした。この対局で白の打ち方は一貫して慌てず騒がず黒を追走し、途中でごく自然に黒を抜き去った打ち方は見事でした。黒の誤算は上辺の黒を逃げていく過程で、最初は軽く打って尻尾は捨てる筈だったのが、途中で方針を変えて全て連絡して打ったのが重く、白にじっくりと攻められ、特に中央に15目以上の白地を作られ、また左辺も地にされ、地合で追いつかれてしまいました。途中、白が左辺で左辺と上辺の黒を連絡させないため、通常はコスミの所を隅の黒に付けるという強手を打った時に、じつは黒が逆襲するチャンスがあったようですが黒は決行せず不発に終わりました。富士田7段の冷静な形勢判断が光った一局でした。