本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が安達利昌7段、白番が蘇耀国9段の対戦です。この碁が動いたのは、右辺下方の白の構えに黒が打ち込んでからです。普通白は付けて渡るのですが、白は何と手を抜いて他を打ちました。結果的に黒が下辺から中央にかけて大模様を築きました。この模様に白が打込み、その石を黒が左辺下方の白と絡みにしながら攻める展開になりました。黒は最初は左辺の下方2子と上方1子を捨て気味に打っていましたが、途中で白の中央の連絡に不備が生じ、劫でかろうじてつながるということになりますた。この劫立てで黒が左上隅を打ち、白が劫を継ぎました。結局この劫立てから左辺の黒の上下が白2子を取りながらつながって地になるという黒にとっては理想的展開で黒が優勢になりました。その後も左辺下方の白の活き死にが不明な状態で黒が寄りつき、更には下方から延びる白の一団も眼がなく、黒の寄り付きが色々利いて黒優勢のままヨセに入りました。そこで白が中央を左に出た時、アタリの白3子を黒が抜いたのが大ポカで、左辺の黒を取る手と上辺の黒を切り離して取る手が見合いになり、結局上辺の黒が取られて、左上隅から上辺にかけて60目を超える白地が出来てしまい、ここで大逆転(AIの勝率が83%→4%)となりました。結局白の中押し勝ちで、黒にとっては終始優勢で上手く打っていたのに痛恨のポカでした。