本日のNHK杯戦囲碁は、黒番が世界一厚い碁の今村俊也9段、白番が鈴木歩7段の対戦です。鈴木7段は旦那さんの林漢傑8段もNHK杯戦に出場しており、夫婦での出場です。
対局は左辺に黒が展開していたのに白が打ち込んでから動き始めました。黒が左上隅で厚みを作って、さらに左辺で一目を噛み取ったのがどうだったか。左辺は確かに安定しましたが、その間に白に2回当たりを打たれて凝り形になったと思います。ここでAIの評価も黒白30:70になりました。その後黒が右辺、白が下辺に展開した後、白は右上隅の星に付けて行き、隅の地を稼ぎました。その代償で右辺の黒模様が立派になりましたが、白は軽くケイマで消しに行きました。黒は受けずに下辺左の白に肩付きしましたが、白は受けず右辺で黒に付けて行きました。ここで黒が割り込んだのがどうだったか、白は1子を捨てて右辺をいい形で割ることが出来ました。この結果、AIの評価は黒が急落し、20%を割りました。しかし今村9段は諦めず、下辺左の肩付きした黒を動きだし、白が途中緩手を打ったこともあって、下辺で居直り、形勢をある程度挽回しました。さらに左下隅から延びる白と左辺の白の分断を図り、これが一時は成功してAIの評価は五分五分に戻りました。しかし下辺で一手かけて引いたのが緩手で、白から8の16の切りという好手を打たれてしまいました。この手に対して黒は受けなければなりませんでしたが、白はこの切りが働いてそのまま左下隅と左辺の白を切り離す手を防いでおり(黒が切りに行くと逆にダメヅマリで取られてしまう)、先手で切り上げ中央に回りました。この結果、AIの評価値もほぼ白勝ちになり、その後右辺から延びる白を狙い続けましたが、右上隅で白から逆襲の出切りを打たれ、白を取りにいった数子が逆に取り込まれて投了となりました。うーん、やっぱり私はAIの形勢判断はあまり見たくないですね。どしてもそれによって先入観を持ってしまいます。