本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が横塚力7段、白番が張栩9段の対戦です。両者は先期のNHK杯戦で今年の1月に対戦しており、その時は張栩9段が考慮時間を1回も使わないで勝っています。布石は上辺で白が理想的な構えを取ったのに黒が左上隅で左辺からカカリました。それに対して白は何とツケで、以前はこれは置碁の下手の手でした。しかもそのツケにハネてツケノビ定石になるのではなく、白は上方に伸びて地を取りに行きました。結果として白が厚み、黒が実利という展開でしたが、白は黒がハネてカケついだ所を覗き、その石を引っ張り出す攻めを狙っていました。その攻めを緩和するため黒が中央に飛んだのを白が受けなかったので、黒は上辺に大ゲイマで踏み込みました。これに対し白は強く遮って行きました。この後の折衝で白は上手く黒の連絡の不備を付いて、黒にただつながるだけの手を打たせ、結果的に上辺と左上隅は無事で、黒の左辺からの一団はまだ切断を狙える形で、白が優勢になりました。白はその後左辺の黒への攻めを見ながら左辺と左下隅も地にし、上辺から中央にかけても厚みを築き、容易に負けない形になりました。黒がその上辺から中央に展開した白に迫ったのに白が手を抜いて右下隅に先着したので黒はここの白をイジメに行きましたが、白も問題なく応じて大きな損はなく治まりました。その後左辺で白が3線に這い込んで黒に断点を継がせようとしたのに手を抜いて右下隅を打ったため、若干黒が盛り返しました。しかし白は左辺からの黒の一団を攻め、結局白が切断を決行した結果、切り離された中央の黒は単独で活きなければならなくなりました。しかし黒のシノギに誤算があり、左上隅の黒の活きと見合いにされてじまい、中央の黒が全滅し、黒の投了となりました。張栩9段がまったく危なげなく打ち回し勝利した一局でした。横塚7段のリベンジはなりませんでした。