本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が小池芳弘7段、白番が常石隆志5段の対戦です。小池7段は、挨拶で序盤は完璧に研究して来た、と言い切りました。しかし、左辺から左上隅の攻防で、白が左辺と左上隅を地にし、黒は取られている隅の2子にもう一手かけた理屈で、AIは白が優勢と判定しました。しかしそれはAIがまだ左上隅の石が活用可能なのを見ていなかったからで、その狙いは黒が上辺で詰めた後に炸裂し、左上隅の黒は単独では活きない形ですが、それを取りに行くと、上辺の白も眼が無く、攻め合いで劫になります。劫材は黒が多いため、白は左上隅の黒を活かさざるを得なくなり、黒が互角以上に持ち直しました。白も中央の黒地を半分くらいに値切れたため、後はヨセ勝負になりました。中央の黒も眼がなかったため、下辺で攻防が続き、黒が若干上手くやって細かいながら勝勢になりました。結局黒の2目半勝ちでした。小池7段が左上隅の帰趨を全てあらかじめ研究していたならすごいですが、おそらくは多少の誤算があったのを上手く挽回したのかなと思います。