小林信彦の「小説探検」を読了。小林信彦の作品はほとんど読んできたつもりでしたが、この本は未読だったようです。1993年に出版されたもので、元は「本の雑誌」に1989年から1993年までに連載されたものです。
「小説世界のロビンソン」は、小林信彦自身の読書体験を振り返りながら、20世紀における小説の変遷を追いかけたものですが、この「小説探検」は、「ロビンソン」で扱いきれなかった作品(たとえばプルーストの「失われた時を求めて」とか中里介山の「大菩薩峠」とか)を扱うのと、小説を「いかに語るか」の語り口の分析と、それをどう読み取るかについて分析することが目的となっています。
取り上げられている作家は多岐に渡っていて、パトリシア・ハイスミスやスティー ヴン・キングのような小林信彦好みの作家から、フレデリック・フォーサイスや ミッキー・スピレーンみたいなメジャーな作家、それから日本の作家では前述の中里介山、永井荷風、川端康成、三島由紀夫、そして谷崎潤一郎などが論じられます。
小林信彦の本に関するエッセイを読むと、読書欲を強く刺激されます。また同時に、自分がいかに小説を読んでいないかを思い知らされます。これでも小学生の頃は1日2冊ペースで本を読んでいて、小学校ではたぶん一番の読書家だったのです が、まるで敵いません。
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