アンソニー・ホープの「ヘンツォ伯爵」を読了。「ゼンダ城の虜」の続篇です。本篇で、王様をゼンダ城に捕囚していた悪党のうち一人のヘンツォ伯ルバートが死なないで逃亡してしまっていましたが、そいつが悪巧みをたくらんで、フラビオ王女のラッセンディルへの手紙を手に入れ、それをネタに自分の地位の回復を図ります。それに対して、ラッセンディルが再びルリタニア王国へやってきて、愛する王女のために手紙を取り戻そうとします。そうする中で本物の王様がルバートに殺されてしまいます。今や本物の入れ替わりではなく、本物そのものとして行動しなければならなくなったラッセンディルですが、彼が最後に下した決断とは…ホープはこれしかないという結末をこの物語に与えます。それはいわゆるハッピーエンドとは少し違いますが、非常にすがすがしい最後です。