今回のロフチンホワイトシングルアンプには、初めての試みとして2次側にもヒューズを入れました。それで色々調べて電流定格は1Aにしました。電圧はB電源の電圧が大体405Vですから、500Vのを探しました。そして最初AC用しか出て来なかったので買ったのが、右のEATON/BUSSMANNのものです。しかし増幅回路は言うまでもなくDCであり、そこでAC用のヒューズでいいのか悩みました。調べてみたら、溶断特性はDC用でもAC用でも同じで、過大電流が流れればヒューズ自体は切れます。ではAC用とDC用で何が違うのかというと、ACならば切れる時にアークが発生しても、ご承知の通り電流の流れる方向が1秒間に50回ないし60回変わる訳ですから、アークは短時間で切れ、結果的に問題なく回路がしゃ断されます。しかしDCの場合は、ヒューズの導体が切れたとしても、その後その切れた間をしばらくアークが流れ続けます。(同じ電圧ならDCの方が厳しいのはスイッチの接点も同じです。)これではヒューズの意味が無くなりますし、また最悪ヒューズ管自体が破断する、とかになる可能性があるようです。そこでDC用のヒューズということになりますが、この中には珪砂が詰まっています。アークが発生するとこの珪砂が一部蒸発して熱を奪い、アークを消し、なおかつ溶けた珪砂が再度固まって完全にアークを消去します。ということでDC500V/AC600V定格の左のヒューズ(Littelfuse製)に変えました。それはいいんですが、問題は価格で右のAC500V定格のは一本200円程度です。しかし左のDC500V定格のはRSコンポーネンツで一本3,000円以上します。真空管アンプを自作する人で2次側にも保護回路を入れているのはあまり見ませんが、こういう理由もあるようです。なお、エレキットや音の工房のアンプでは、ヒューズ以外の方法で2次側に保護回路を入れており、良心的です。